書名 「すぐ動く人」は悩まない!
著者 和田秀樹
発行所 海竜社
発行年月日 2016.03.18
価格(税別) 1,000円
● 著者の専門は老人精神医学ということなのだが,それに限定されず,多くの人が悩んでいそうなテーマを的確に捕まえて,精神医学的あるいは心理学的に落とし所を導くという著書がたくさんある。本書もその1つに数えていいのだろう。
タイトルは「すぐ動く人は悩まない!」だが,どんなふうに悩めば,動きを停めないでいられるかという話を展開している。上手な悩み方の解説。
● 以下に転載。
大事に悩んで,些事に悩まず。これは,悩みがなさそうに見える人に共通するものですし,上手な悩み方のポイントでもあると思います。(p30)
いちばんまずいのは解決できないことを悩むパターンです。その典型が「過去」を悩むこと。これは,悩めば悩むほど深みにはまりますし,同じことを何度も繰り返して悩むことになります。(p38)
解決できる悩みに目を転じることです。会社が嫌なら,入ったことを悩むのではなく,どうしたらその嫌な状況から脱することができるか,そのことについて悩めばいいのです。(p39)
なぜ,失敗したか,どこで,失敗したか,ということをきちんと分析する。また,同じ失敗は二度と繰り返さない,と強く自分を戒める。その二つの条件が揃ってはじめて,失敗は成功のもとにも,母にもなるのです。(中略)失敗した結果をただ悩むのか,改善点を見いだそうとして悩むのか。どちらの悩み方をするかで,次の結果は大きく変わってくるのです。(p44)
森田正馬はこんなことをいっています。「人は同時にたくさんのことを悩めない」。つまり,ひとつの悩みの渦中にると,そのことばかりに心が占領されて,ほかに悩むべきことがあっても,それが見えない(p47)
“得意を伸ばし,苦手には目をつぶる” という考え方は,悩まないための処方箋でもあるのです。(p53)
変えられるか,変えられないか。動けるか,動けないか。この二つは悩みを選別する重要なポイントです。悩みが心に入り込んできたとき,まず,この二点でふるいにかける。そうすることで,余計な悩みにつかまらないですみます。(p57)
悩んでいることがすっかりクリアになる。それが解決だと思っていないでしょうか。もちろん,そうなることがベストです。しかし,そこにこだわっていると悩みは尽きないことになるのです。(中略)そこで必要になるのが,「ベターでよし」とする感覚です。(p58)
人間関係のなかには大きな錯覚があります。人の気持ちは変えられるという思い込みがそれです。はっきりいいましょう。自分の対応次第で相手の気持ちを変えたり,相手を説得できると考えるのは,思い上がりです。(中略)その試みはほとんど徒労といってもいい。(p63)
学歴では負けていても,実力をつければ十分 “逆転” は可能なのです。そのために心しておかなければいけないのは,大学入学という時点での負けは,負けとして素直に認めるということです。(中略)それをいつまでも,「東大なんて,ガリ勉していただけだから,性格的に問題があるやつばっかりじゃないか」なんてやっているから,エネルギーがしぼむのです。(p72)
男女を問わず,生理的に受けつけないという感じを持たれていたら,それを変えるのは,まず,不可能だというのがそれです。(中略)永遠に振り向いてくれない相手に執着して悩むのは愚の骨頂。(p77)
何ごとにおいても成功確率を高めるいちばん有効な手段は,この諺(下手な鉄砲も数打ちゃ当たる)のごとく,打数を増やすということなのです。(中略)「蓼食う虫も好き好き」 かりに容姿,性格,境遇に “難” があったとしても,自分を好きになってくれる人がいないはずはないのです。(p80)
経済力のなさはそれほど結婚の障害にならない,という気がするのです。思い込みがそれを障害にさせている。(p88)
拒否する気持ちを覆すのは非常に難しいのです。結局,悩ましさが増すだけです。(中略)自分から誰かが離れていくとなると,「彼(彼女)しかいないのに・・・・・・」という気持ちが高まるものなのです。しかし,それは完全に思い込みです。(p94)
相手をどうにかしようと悩んでも,問題は解決されない。そうではなく,自分がどうするかを悩むことによって問題は解決する。(p107)
人生も先のことはわかりません。だから,試してみることが必要です。生きていれば何でも試してみることができます。わたしは,生きる意味は,案外,そんなところにあるのではないか,と思っています。(p122)
人生に打率は関係ないのです。120打数1安打。120回試してみて,一人素敵な彼女がゲットできたら,それで幸せではないですか。(p124)
フラれたら少しはへこむでしょう。しかし,拒絶されたとしても,多くの場合,相手はこちらに悪感情を持っていないのです。自分が誰か異性に好意を打ち明けられたときのことを考えてみてください。(p124)
人生は,思ったとおりにならないこと,思いもよらないこと,思いがけないことの連続なのです。しかし,だからこそおもしろいといえるのではないでしょうか。(中略)思いどおりにならないことは,けっして挫折などではなく,飛躍のためのステップ,チャンスを拓いてくれるきっかけともなるのです。(p134)
意味があるなしは他人が決めることなのです。(中略)そうであったら,自分に「意味があるのか? あったのか?」と問うてもしかたがないということになりませんか?(p135)
自分の才能はどこにあるのか,才能なんかないのではないか,と悩むのは時間の浪費です。ふとしたきっかけで目覚めるのが才能です。(p140)
老いと戦うことはけっして悪いことではないと思います。(中略)ただし,ある時期がきたら老いを受け容れることも大切です。(中略)誰にでも,「そろそろ爺さん(婆さん)としての自分を生きるとするか」という時期はくるのです。その感覚には抗わないほうがいいですね。老いを受け容れる清々しさというものもあることを知ってください。(p144)
みなさんの周囲にも男女を問わず,“素敵な老人” がいるはずです。人生のいいお手本ではないでしょうか。(p146)
餓死にはきわめて悲惨な死というイメージがありますが,実際のところは,案外,ラクな死に方のようです。(中略)死に向かう苦しさや痛みについては,イメージが先行しすぎている。そのことにちょっと警鐘を鳴らしたい。(p155)
悩みというものは,期限を区切らずに悩み続ければ,いつか,必ず,解決されるというものではありません。(中略)ちなみに,勉強でも,たとえば,数学の問題は解けるまで考えろ,という人がいたりします。まったくナンセンスといわざるを得ません。30分考えて答えが出ない問題は,おそらく,一年考え続けても結果は同じなのです。(中略)悩みの軽重によって長短はあっても,期限付きで悩むという基本スタイルは守るべきです。悩みに決着をつける方法は,それ以外にはありません。(p159)
頭で考えていると,悩みは深くなっていくものです。それを防ぐために有効なのが,紙に書くということです。(中略)その際のポイントになるのが,悩みそのものではなく,その悩みに対して,自分がどう対応したかと書くということです。(p164)
人には何でもない事実を思い込みによって深刻な悩みにしてしまうところがあるのです。その落とし穴にはまらないためにも,「事実」と「思い」を分けて,紙に書くことをおすすめします。(p168)
もし,事故を恐れて飛行機に乗らないというのなら,それよりもっと頻発している交通事故を恐れて,外に出ないということでなければ,論理的にはおかしいわけでしょう。しかし,飛行機嫌いも平気で街中を闊歩している。確率論でものを考えないわけです。わたしは常々,不思議なことだと思っています。不安,恐れ,悩みには,確率論で考えないことが原因になっているものが少なくありません。(中略)確率論で考えるクセをつけませんか? 状況はまったく同じでも,そうすることで,悩みは格段に軽くなります。(p170)
現実に成功した人は,考えているだけでも,悩んでいるだけでもなく,さっさと動いた人,行動に移した人なのです。(中略)そもそも完璧な計画などないのです。悩むこと,いや,悩みすぎることの愚かしさは明白です。(p188)
人事を尽くさなければ,成功はおぼつかないのです。しかし,最終的には天命にまかせるしかないわけですから,人事を尽くすことも適当なところで切り上げる。ここは大事なポイントです。(p192)
短く悩んで動き,じっくり悩んで改良,再チャレンジをする,というのが,成功へのルートです。(p195)

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