2019年10月27日日曜日

2019.10.27 出口治明 『早く正しく決める技術』

書名 早く正しく決める技術
著者 出口治明
発行所 日本実業出版社
発行年月日 2014.05.01
価格(税別) 1,400円

● 数字,ファクト,ロジックを踏まえて,自分の頭で考えること。それ以外の余計なこと(EX:あの上司の好みからすると・・・・・・)を考えない。業界の常識も余計なことのひとつ。
 その3つで決められないときは直感を信じること。決めないで先延ばしするのが最もよくない。ということが説かれている。

● 以下に転載。
 そもそも人間の意識は,その育った社会の常識を映す鏡に過ぎません。(中略)すなわち,民族の特徴などというものは,およそこの世に存在しないのです。人間は,ホモ・サピエンスという同じ種なのですから。(p13)
 「迷ったら,どちらのほうがベネフィット(便益)(がたかいかを考える」のは仕事の鉄則です。事業にとってマイナスのものを選ぶ理由は何ひとつありません。(p24)
 決断ができないと思っている人は,意思決定と,提案を通すこととの区別がついていません。(p31)
 新しいことをやって,誰からも足を引っ張られない話なんて世界中どこでも聞いたことがありません。池に石を投げ込めば,必ず波紋が生じるのです。「新しいことをやる」ことは,「既存勢力に嫌がられる」ことと同義です。(p35)
 イチかバチか賭けてみるか,という発想はビジネスでは絶対にダメです。これは「とってはいけないリスク」です。(p37)
 算数に直すこのができるものは,他の言語で表現することもできるはずです。(中略)一方,日本語でなんとなくわかったような気分になっても,よく考えられていない意見であれば,他の言語に訳すことができず,相手には通じません。(p63)
 データにあたる場合,基本的に他人の意見は無視すべきです。数字,ファクトだけを見るのです。(p69)
 数字は,それ自体ではあまり意味を持ちません。他の数字と比べることでファクトが浮かび上がり,自分のアタマで考えることができるようになります。(p71)
 たとえば「お客様の声」は,統計処理をしてはじめてファクトになります。トップが,「こんなお客様の声を直接聞いた」からということで,なんらかの意思決定をし,社員に指示を出すということはありがちですが,経営にとっては,おそらくあまりいいことではないと思います。(p76)
 どちらのロジックでより正しい解にたどりつくかは,「どちらがより多く変数を持っているか」で決まります。(中略)意見の相違のほとんどは,x(変数)の数の相違です。(p78)
 幹に問題があるのか枝葉に問題があるのかをごっちゃにしないことが大切です。幹となるロジックをしっかり組んでいれば,枝葉を修正すればいいはずですが,いつのまにか枝葉を幹のように捉えてしまい,(中略)全部やり直しをしなければいけないように感じたりしてしまうのです。(p100)
 岩盤まで掘り下げて考えたことなら自信が持てますから,意思決定は簡単です。しかし,ほとんどの人は,「一般的な社会常識と思われていること」や「過去の実績」「周囲の人の意見」といったところをベースに考えはじめてしまします。(p105)
 社会常識・社会通念は地面(地表)であって,そこからスタートするのは「ラクをしている」ということです。岩盤は地表のはるか下にあります。(p166)
 その道のプロや世慣れている人ほどスタート地点が腰高になる傾向があります。掘り下げて考えることを省略し,前提を疑わなくなるのです。一方,素人は何もわからないのでとことん調べます。掘り下げて考えるのです。(p106)
 「各部門がもっと頑張れば,昨年より10%は売上が上がるはずだ」といった「根拠なき精神論」で計画を立てているから,PDCAサイクルが回らないのです。(p112)
 物事を決めるためには,ダラダラと考えていればいいわけではありません。まずは締切りを設けることです。その日までちゃんと考えれば,たいていは結論が出ます。(p127)
 捨てるときには,捨てるべきものを探すことからはじめるのではなく,捨てる総量をまず最初に決めるべきです。(p130)
 どの職場や人間関係も世界にふたつとないものなので,一律のルールなど実はどこにも存在しません。すべてはケース・バイ・ケースです。それが,マネジメントの本質なのです。(p134)
 「忙しいのに,よく続けられますね」と言われますが,執筆する時間のルールを決めてしまえば,意外と簡単に続けられます。「時間がなくてできない」と言う人は,ルールを決めておらず,たとえば,「時間が空いたらやろう」と考えているからできないのです。(p135)
 本当に重要なことだと思ったら,言い続けなければいけません。こちらが一所懸命言っても,人は意外と聞いていないもの。(中略)もうひとつ,仕組み化が大切です。言い続けるだけでは人は動きません。「数字・ファクト・ロジック」で考える習慣をつけさせたかったら,考えざるをえない環境を作るのです。(p136)
 決めるのがリーダーだと言う人もいますが,僕はそう思いません。リーダーは方向性を示す人であって,なんでもかんでも決めるのがリーダーではありません。(p141)
 上司に「どうしましょうか?」と聞くのは,考えていない証拠です。考えす,したがって決断できないというのは,仕事をしていないということです。そういう部下がいたら,上司は決して,その部下の代わりに決めたりしてはいけません。(p143)
 ライフネット生命のマニフェストを作るときは,パートナーの岩瀬と徹底的に議論を重ね,それをプロのコピーライターの方に文章化してもらいました。自分たちで書くとどうしても感情的・主観的になってしまうと考えたからです。(p150)
 最初から完璧を目指せるほど,人間は賢くありません。時間をかけて考えればいいアイデアが出てくるわけでもありません。岩盤まで掘り下げて考えることは必要ですが,いつまでも考えていてはダメなのです。(p154)
 失敗したくなからと他社や過去の成功事例などにとらわれないようにしてください。そもそも,人のマネをしてベンチャーが勝てるはずがありません。人と違うことを考えて,実行して,失敗もするけれど,それでようやく大企業に勝てるものが見つかる可能性が生じてくるのです。(p155)
 トライアル&エラーで大切なのは,「小さく生んで,大きく育てる」ということです。(p160)
 「愚痴を言う。人を羨む。人に褒めてほしいと思う。人生を無駄に過ごしたかったらこの3つをどうぞ」という言葉を先日ツイッター上で見かけました。(p173)
 失敗するのが怖い人には,「失敗すれば多数派」という言葉を贈りたいと思います。(中略)ただし,行動しなければ絶対に成功はありません。(p174)
 フランスでは,「カップルが喧嘩をしたら星を食べに行け」と言われているそうです。ミシュランの星付きのレストランに行って食事をすれば,仲直りできるという意味です。(p179)
 ちょっとしたブレイクを入れるだけで,いつもの自分を取り戻すことができます。冷静さを失いそうになったときは,時間の助けを借りることが最もいい処方箋です。(p180)

 僕はいつも古典を読むことをすすめています。昔から現代まで多くの人に読み継がれている古典は,超一流の人が書いたものです。何事であれどうせ誰かに教えてもらうのなら,超一流の人に教えてもらったほうがいいに決まっています。(p184)
 賢くないだけでなく,人間はとても不器用な動物です。簡単なことも,人に教えてもらって,訓練してはじめてできるようになります。(中略)「考える」ということも,人から教わる必要があります。このとき,誰にでも教わればいいというわけではなく,教えるプロにおしえてもらったほうが,早く上達します。(中略)身近にそういった人がいればいいですが,いなければ本を読みましょう。(p188)

 生きがいとは何なのか。僕は「世界経済計画のサブシステム」と呼んでいます。この世界をどのようなものとして理解し,どこを変えたいと思い,自分はその中でどの部分を担うのか,ということです。(p202)

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