2019年11月2日土曜日

2019.11.02 落合陽一 『超AI時代の生存戦略』

書名 超AI時代の生存戦略
著者 落合陽一
発行所 徳間書店
発行年月日 2017.03.25
価格(税別) 1,300円

● 一読して理解できたかと問われると,何とも心もとない。「時代の速度より遅い進捗は,いくらやってもゼロになる」とは目次(見出し)の一節。
 本文を全部読むより,目次だけを見て,自身の想像と連想に任せてみるのも,本書の読み方としてはアリかもしれない。

● 以下に転載。
 スマートフォンの普及による結果,人はインターネット上に第二の言論・視聴覚空間を作り,住所を持ち,SNSを生み,社会を形作った。言うなれば人はデジタル空間にもう一度生まれた。(p13)
 「AIはAIとしての仕事を,人間は人間らしいクリエイティブな仕事をすればいい」という論調が僕は嫌いだ。この論調は思考停止に過ぎず,クリエイティブという言葉であやふやに誤魔化すことで,行動の指針をぼやかす。(p25)
 ワークライフバランスは一生をいくつかのサブセットに分けて考えることが可能であるということを許容した言葉であり,常時接続性の高い現代には親和性が低い。(中略)好きなことで価値を生み出すスタイルに転換することのほうが重要だ。それは余暇をエンタメで潰すという意味でなく,ライフにおいても戦略を定め,差別化した人生価値を用いて利潤を集めていくということである。(p30)
 全世界の他のすべての人と比べて「自分らしい」というのと,あるコミュニティの中で「自分らしい」というのを比べると,後者のほうはすぐに実現可能だから,人はコミュニティに逃げ込みやすい。(p39)
 今,全世界70億人の中で自分らしくないといけない。技術は発展するし,個性は無数に存在する。そうなると,日のんではオリジナリティが高いと考えられている文化人や著名人ですら自分らしさを保つことは難しいだろう。(p40)
 ローカルとグローバルというのは,人生をそこに置く上ではその優劣を比べるものではないものだ,と考えることが重要だ。そこに差はなく,「どちらもよい」が正解である。(p41)
 これからやらないといけないことは,全員が全員,違う方向に向かってやっていくことを当たり前に思うということだ。つまり,誰も他人の道について気にかけていない,そして自分も気にしていないというマインドセットだ。今,この世界で他人と違うのは当たり前で,他人と違うことをしているから価値がある。(p45)
 競争心を持ち,勝つことを繰り返すのがレッドオーシャンだったら,ブルーオーシャンは黙々と,淡々とやることだ。(p46)
 すべての生活スタイルにおいて私たちの人間性を許容し,人間とはこうあるべきという「べき論」で語らないことが,超AI時代においては重要なことだと思う。(p51)
 趣味性を持っておかないと,「他人と違って何かをしたい」という原動力は出てきにくい。(p57)
 成果を完成物や可視化して見えるように意識したり工夫をしたりすると,仕事も生活全般もゲーム的にやりやすくなる。(p71)
 遊びにおいては,「とりあえずやってみる」ということも大事だ。(中略)何かを行動を起こす前段階としての「自分らしさ」は必要ないということだ。つまり,「他人の猿マネでもいいからやってみる」ということ。(中略)とにかく何かアクションを起こして,そこからより詳しく問題を探すほうがとっかかりがつかみやすい。(p73)
 今は難しいとされていることも,やがてすべての人々が意識せずに簡単にできるようになってしまうと予測できる。(p80)
 ひと昔前は,会社の寿命は長かった。なぜなら,技術革新が遅いスピードで進化していたからだ。イノベーションはそう簡単には起こらないし,情報の伝達形式もマスメディアが担っていたから遅かった。(p88)
 会議などで用意される「捨て資料」の文化が世の中からなくなれば,社会はずいぶんとよくなると思う。(p95)
 非合理なことと合理性のあることを比べれば,合理性のあることは機械のほうが断然得意である。けれど,合理性はなぜ生まれてくるかというと,ある問題のフレーム,もしくはゴールを設定したときに,そこまでどうやってたどり着くか,という計算できる世界があるから合理性が生まれるわけだ。(p102)
 日本は異常にクイズ番組が多いけれど,なぜクイズ番組をやってきたかというと,受験勉強がほとんど「パターン暗記」だからだ。思考力を問うと言っておきながら,思考ツールとして覚えた解法のパターンを何個まで繋げられるかというレベルの話である。(p126)
 暗記するためにノートにひたすら書いたり,何回も唱え続けたりすることはないけれど,ざっくりとフックがかかっている状態,おぼろげにリンクが付いているような状態が,これからの時代に理想的な知識の持ち方だと思う。(p127)
 スペシャリストであることは,これからの時代では大前提で,スペシャリストになるから受験勉強にも価値があるわけだ。(p132)
 重要なのは,その業界でトップレベルかということだ。資格を取るようなレッドオーシャンの分野では,トップを目指さないと意味がなくなってくる。(p134)
 そのニッチの1位を取るほうが,「一部上場企業に勤めている人」や,「弁護士資格を持っている人」と比べて生き残りやすいかもしれない。(p136)
 「無為自然な感じに生きる」というのが最もストレスを感じない。それでは,「無為自然」とは何かといえば,それは「自分が主体的だと思わない」ということだろう。(p140)
 もしあなたが仕事で溜まったストレスを違うことで発散していたとしたら,その生き方は間違っているということになる。理想的なのは,仕事で溜まったストレスが仕事の中で報われて,仕事の中でストレスから解放されるということだ。(p141)
 「体が資本だ」とはよく言われることだが,体を動かさないと脳の働きは悪くなるし,これは人間とコンピュータを比べたときのかなり大きな特徴である。(p144)
 油に絡まって,しょっぱくて,炭水化物が含まれていたら,それはうまいに決まっている。(p149)
 世の中は,化粧品をはじめコンプレックスビジネスばかりである。そういうものに流されないためにも,「何が自分のコンプレックスなのかを知っておく」ということはキーワードになってくる。そして,「隠さない」ということだ。(p152)
 20世紀は平均値社会だったので,平均値が高い個体であることがすごく重要だったのだが,私たちの平均的なことは(中略)すべてコンピュータがやるようになってくるので,むしろ,ピーク値が高い人のほうが重要になる。(p153)
 好きなものだけを集めていけば,おのずとその人らしさは表れていく。(p156)
 エリート階層の話をすると,たとえば医者だったら,東大医学部を出ている人たちの集まりだけでその業界の話が決まってしまうことがあるかもしれない。(中略)世の中,極めて少ない人数で決まっていることがすごく多(い)(p160)
 たとえば今でも,大物芸能人は都内に住まずに,わざわざ館山や鎌倉のほうに住んでいたりする。(中略)テレビ局の車が迎えに来たり個人で運転手付きだったりするので,本人にとって移動の苦痛がほとんどないからだろう。そして,おそらくこの概念は,自動運転がはじまると,より一般的になっていくと思われる。(p161)
 時代は過ぎるだけであり,長期的には適応のみが残る。(p187)

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