著者 吉本隆明
発行所 講談社
発行年月日 2010.10.18
価格(税別) 1,000円
● 吉本さんが15歳の中学生を相手に話したことをまとめたもの。吉本人生論のエッセンスが読みやすく圧縮されている感じ。
● 次のようなことがらが語られている。
書いてみると,自分でも気がついていなかった自分自身の気持ちがわかることがあるし,それをもっと深く掘り下げていくこともできる。〈話し言葉〉が相手に何かを伝えるための道具だとしたら,〈書き言葉〉は自分の心の中に降りていくための道具だといってもいい。(p12)
なんかよくわかんねえなって思ったら,わかったふりをしないで,わかんねえなって思ってりゃいい。そこでいいことをいおうとすると,たいていまちがいだぞっていうのがある。(p21)
人は誰でも,誰にもいわない言葉を持っている。 沈黙も,言葉なんです。 沈黙に対する想像力が身についたら,本当の意味で立派な大人になるきっかけをちゃんと持っているといっていい。(p23)
誰に才能があって,誰に才能がないとか,そんなことはないというのが僕の考えです。 たとえばいい文章を書くということにしても,才能によるとか,資質によるとか,あるいは感覚がどうだとか,細かく数えるといろんな要素があるわけですが,そういうことは全部,二の次だと僕は思っています。そんなのはたいした問題じゃない。大事なのはしょっちゅうそのことで手を動かしてきたか,動かしてきていないかのちがいだけです。これは物書きに限らず,何でもそうですよ。(p25)
じゃあ,どのくらい手を動かしたらいいのか。 僕は昔っから,「十年やれば一人前になれるよ」っていってきたんですよ。「十年やって,ものにならなかったら俺の首をやるよ」ってね。(p26)
人の人生には,どうしても避けがたい不可避なことがある。 そういう受け入れざるをえないことを,どう受け入れるか。人が「生きる」っていうのは,もしかすると,そういうことなんじゃないか。(p39)
ジタバタしてりゃあ,なんとかなっていくもんですよ。僕なんかはやりたいと思うことを好きにやって,遊んじゃった方がいいんじゃねえかって思っちゃうくらい。ちゃらんぽらんが身を助けるってこともあるからね。(p85)
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