2018年10月6日土曜日

2018.10.06 立花 隆 『死はこわくない』

書名 死はこわくない
著者 立花 隆
発行所 文藝春秋
発行年月日 2015.12.10
価格(税別) 1,000円

● 臨死体験とは,脳が非常時に見る夢。それ以上のものではない。そういう方向に固まりつつあるらしい。
 ぼくらが知りたいことの究極は,死後の世界があるかどうか。それがあって欲しい(霊魂不滅)という前提があるからだろう。
 意識はなぜ生まれるか。その研究も鋭意,なされているんですな。

● 以下にいくつか転載。
 いま日本では安楽死を認めていませんが,幾つかの国では外国人に認めていますから,安楽死を求めて国を渡る人たちが出ています。(p26)
 視覚と触覚を切りはなすと,人間は簡単にあり得ないことを信じるようになるのです。同じ装置を使って体外離脱の疑似体験ができるようになっていました。(p42)
 フォールスメモリー(偽の記憶)の植え付けを巧みに行えば,冤罪事件を作りあげることは,十分に可能なのです。人間の脳というのは,本質的にフォールスメモリーの植え付けに弱いという弱みをかかえているのです。(p43)
 いざ死の危機に直面すると,人間って,その状況を把握したり,その対応に駆け回ったりするのに精一杯で,死を心配している余裕なんてない。それが普通なんです。暇な人だけが死の恐怖にとらわれるんじゃないでしょうか。(p58)
 臨死体験は脳が最後に見せる夢に近い現象ですから,いい臨死体験ができるように,死に際の床をなるべく居心地よくしておくのが肝要です。(p65)
 いちばんの問題は,その意識の中に「主体性」を持ちこむことが可能かどうかという点に,未来社会の最大の分岐点があるような気がします。機械に主体性を与えなければ,機械は機会を使う人間の道具ないし奴隷でしかありません。(p170)
 これからも,科学は常に解釈の余地を残し続けると思いました。科学が解釈の余地なしに,臨死体験とはこういうものだと事実として突きつける,そういうことは起こりえないように思います。(p180)

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