書名 モーツァルトミステリーツアー
著者 中川右介
発行所 ゴマブックス
発行年月日 2006.07.10
価格(税別) 1,300円
● モーツァルトはバチカンのスパイだったかも,などモーツァルトを素材にした楽しい読みもの。著者はひょっとしたら大衆小説も書けるのじゃないかと思いましたけど。
● 楽しく読みながら,しかし,モーツァルトの生涯がわかる。そうか,こんなふうに生きた人なのか。
それと,ザルツブルク,ウィーン,プラハの観光案内もしてくれる。本書を読むと,ザルツブルクやウィーンにはもう行かなくてもいいか,だいたいわかったから,と思わせます。
● 引用をふたつ。
モーツァルトも,ウィーンで活躍した時代は,自分の芸術家としての本能というか魂に突き動かされて,作曲するようになるんだ。そういう意味では新時代の人だった。とはいえ,ザルツブルク時代は,ようするにサラリーマンだった。だから,モーツァルトの曲はなんでもすばらしい,ということになっているけど,初期から中期の作品はつまらないものが多いんだ。モーツァルト信者の言うことを真に受けないほうがいい。(p115)
それにしても,学者とか評論家も,みんなモーツァルトが書いた手紙とかを,そのまま信用するのはどうしてなんだろう。手紙や日記だから,本当のことを書いてある,なんて思うほうがおかしいと思うんだよね。犯罪捜査だって,自白だけでは有罪にはできないし,家族の証言はほとんどあてにならないってことになっているのに,芸術家の書いた日記や手紙は,そのまま信用されてしまう。それこそがミステリーだよね。(p244)
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