著者 上田正昭
発行所 角川選書
発行年月日 2013.06.20
価格(税別) 1,800円
● 著者が本書で訴えたかったのは,おそらく次の2点。
王化思想の所産である「帰化」・「投化」を意識的に用い,「蕃国」観をはっきりと投影した『日本書紀』にしるす日朝関係史を主軸に,朝鮮関係の史籍や金石文を解釈するその立場は,その根底において問い直す必要のあることは多言するまでもない。 『日本書紀』の対朝鮮観が,いかに八世紀中葉以後,とりわけ近世・近代の日本思想の動向にすさまじい暗影をなげかけたか。それを想うにつけても,『日本書紀』的「帰化」人史観のゆがみをただすことは,今日の善隣友好の課題にかかわっていることを痛感する。(p33)
多くの研究者は「渡来人の影響」というが,それはたんなる影響にとどまらない。古代日本の文化そのものの担い手として活躍し,文化の創造にも注目すべき役割を果たしたというべきであろう。(p134)要するに,副題の「国のかたちをつくったのは誰か」という問いには,それは朝鮮半島からの渡来人であるという解答になるのだろう。
● 史籍の引用も一般向けに読みやすくする工夫をしていると思われるのだが,それでもなかなかついていくのは大変だ。っていうか,ついていけてないと思う。
どの分野にもオタクというのはいるもので,オタクも極めれば(なおかつ運がよければ)大学者に至るわけだ。
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