編者 NHK「らいじんぐ産~追跡!にっぽん産業史」制作班
発行所 アスコム
発行年月日 2012.03.12
価格(税別) 1,200円
● 取りあげられているのは,回転寿司,ウォッシュレット,クオーツ時計,自動販売機。
たとえば回転寿司について,玉村豊男さんが「もともと寿司自体が,今まで食べられなかったものや流行っているものを取り入れたりとか,そいういうものだったんですよね。それが,変に硬直してきたのをぶっ壊して,寿司の持っているアバンギャルド性みたいなものを,もう1回取り戻したということかもしれませんね。後はやはり,子供がこれだけ喜ぶというのがね」(p59)と語っている。
● なるほどと思う。たいていのご家庭では,寿司屋=回転寿司になってますよね。わが家も同じ。たまには回らない寿司屋に行きたいよねとよく言っているけれども,豚児を回らない寿司屋に連れていくというのは考えられない。
たしかに,回転寿司は寿司と家庭を近づけた。
● ただ,回転寿司が普及してすぐに目につくようになったのは,回っている寿司皿を取る人はあまりいなくて,たいてい注文して握ってもらっていることだった。
開店寿司に来て注文するなよと思ったこともあったんだけど,今ではぼくも普通にそうしている。店側もそれを慫慂するしね。第一,回っている寿司皿はそんなにないし。
もっというと,回っているのは捨て寿司。ずっと回っているから,ご飯なんか固くなっているしさ。
● だから,これからは回っている寿司の値段で,目の前で握って出すという形態になるんだと思うんですよ。レーンは撤去しちゃう(タッチパネルで注文して,注文品がレーンで流れてくるというのもあるけどね)。
回転寿司の最大の功績は,寿司を大衆化したってことですね。寿司をファストフードにした。寿司ってもともとファストフードだったはずだし。そこが,玉村さんが仰るアバンギャルド性の最たるものなのだと思う。
● ナビゲーターを務めている佐藤可士和さんの発言からひとつ転載。
「快適」「楽しい」「新しい」という人間の欲求の「根源」に訴えるものがあったからこそ,多くの人から共感されたのだと思います。(中略) 特に,「新しい」が抜け落ちると,人間は反応しないと僕は考えています。なぜならば,人間は基本的に前に進むことを求めているからです。(中略)マンネリ化して止まってしまうと,ストレスを感じてしまうものなのです。(p11)
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