2017年12月29日金曜日

2017.12.29 堀江貴文 外 『新世代CEOの本棚』

書名 新世代CEOの本棚
著者 堀江貴文 外
発行所 文藝春秋
発行年月日 2016.03.25
価格(税別) 1,400円

● 堀江貴文,森川亮,朝倉祐介,佐藤航陽,出雲充,迫俊亮,石川康晴,仲暁子,孫泰蔵,佐渡島庸平の10人が著者に名を連ねている。もちろん,ライターがインタビューして文章をまとめている。

● 最も意外だったのは,森川亮さんが『7つの習慣』を愛読書にあげて,フランクリン・プランナーを使っていること。できる人って,こういうものに目もくれないものだと思っていたので。
 もちろん,そのように思っていたことに,確たる根拠などはない。たぶん,そんなものなのだろうなぁと思っていただけ。

● 最も印象に残ったのは,佐藤航陽さんが,知りすぎるとすべてが相対的に見えてしまって,経営者としてはパッションを持ちにくくなる,と語っているところ。
 そういう人は学者になればいいのかもしれない。そうはいっても,経営者が知る努力をやめてしまってはいけないのではないかとも思うし。
 出口治明さんなんかは,どうやってパッションを維持してきたのだろう。

● 堀江貴文
 座右の書とか,人生で影響を受けた本というのはありません。本1回読んだら終わり。何度も読み返す人は,何のために読み返しているのか,逆に聞きたいくらいです。(p11)
 本を読んだら,読んだ感想をすぐにアウトプットする習慣をつけるといいと思います。ブログとかで簡潔にまとめる。簡潔というのがポイントで,読書感想文をだらだら書くとよくないんです。(中略)ネットは文字数制限がないから,自分で意識して短くまとめないと,ついだらだら文章を垂れ流すことになってしまう。140字のツイッターはすごく練習になります。本のキャッチコピーをつける気持ちで,短く言い切る。そういう練習を普段からしていれば,アウトプットの質は高まります。(p11)
 歴史を俯瞰すると,なるほど,これがこうなって,あっちにつながっていくんだということが見えてくる。この蛇口をひめるとドカンと来そう,という勘所がわかるんです。(p20)
● 森川亮
 僕はこれまでの起業家人生でたくさん失敗を経験してきたので,これ以上時間をムダにしたくないという気持ちが強くあります。失敗するのは仕方ないけれど,同じ失敗を繰り返してはいけない。(p34)
 日々,小さな改善をすること。細部にこだわるのは,高速で走っている新幹線はひと粒の石ころでも第事故につながるとの思いがあるからです。(p35)
 1日に意思決定できるボリュームが決っているとしたら,くだらない意思決定ばかりしていると,本当に大事な意思決定ができなくなる。(p37)
 一緒に働くなら相性が重要で,相性が悪い人と無理に仲良くしようとすると,時間がムダになってしまう。会社としては,モチベーションを上げてあげないと働けないような人より,最初からモチベーションがある人と仕事をしたほうが,お互いにハッピーです。(p37)
 いくら計画を立てても,必ずしも計画通りにいくわけではありません。だから,計画は一つ立てて終わりではなく,あらゆる事態を想定して100くらいパターンを用意しておきます。(p38)
 リーダーシップに決まったかたちはありませんが,自分本位だとうまくいきません。(p39)
 地方創生や地域の活性化というと,すぐに皆,よそのまちの取り組みをまねし始めるのですが,横並びでフラット化すると価値がなくなってしまうから,いかに多様性を生み出すか。(p41)
 起業の素晴らしさを述べた本はたくさんありますが,実態としてはむしろつらいことばかり。でも,そこから這い上がっていく中で,人間としても大きく成長できるのです。本当に大事なのは,スキルでも経験でもなく,精神的な粘り強さと誠実さ。(p45)
 みんなが共感する仕組みは何かと考えると,最終的には人間だけではなく,動物も自然も宇宙も共存できるような仕組みではないでしょうか。そういう気持ちでやらないと,世間から排除されてしまうのではないかと思います。(p46)
 大事なのは,本気か本気じゃないかです。自分が納得できないものは本気になれないし,それでは他人を説得することもできません。(p46)
● 朝倉祐介
 先行事例,特に先駆者たちの失敗体験を自分のものにしておくことに意味があります。ITベンチャーの世界でいうと,『社長失格』は最高の読み物です。(p60)
 経営者も人間なので,気を許すと,自然にゲマインシャフト寄りの発想に陥りがちです。目の前にいる従業員とは日々接しているわけですから,「社食がまずい」という声があがってきたら「なんとかしなきゃいけない」と思ってしまう。けれども,株主や投資家とは毎日顔を合わせるわけではありません。(p65)
 本は,読むタイミングが重要です。(中略)必要に迫られて読んだときのほうが迫力もあるし,得られることも多いのです。(p66)
 口にしたことは現実になってしまうという「言霊信仰」のせいか,起きてほしくないことを言葉にすること自体がタブーになってしまう。事業が衰退局面にあることは誰もが気づいているのに,口に出すことさえ許されない雰囲気が支配する。これでは時代の変化に対応できません。(p68)
 他人の話を真面目に聞く人というのはなかなかいません。たとえ相手が「わかった」と答えたとしても,離した通りに行動してもらえると期待するのがそもそもの間違いです。(p74)
● 佐藤航陽
 有名なグーグルの20%ルールも,創業者が意思決定を間違えたときのためのリスクヘッジとして,社員の創意工夫を引き出そうという仕組みです。(p97)
 人間は最も古くて実績のある選択肢を選びがちなので,経済にはどうしても「偏り」が生じる。その偏りをスピーディーに見つけることができれば,市場を押さえられる。(p87)
 ハンガリー生まれのユダヤ人であったソロスは,ナチスの支配下にあったブダペストで,同胞のユダヤ人を密告することで生き残り,そこで十字架を背負います。(p89)
 もともと哲学者になりたかったソロスは,再帰性という自分のロジックがこの世界に当てはまるか試してみようということで,自分の論理を実験する場として株式市場を選びます。だから,ソロスにとって投資はただの手段にすぎない。(p90)
 マネーの歴史を振り返ってみて気づいたのは,経済のスピードはリソースのよってまったく違うということです。人が異動したり転職したりするスピードを1とすると,その間に法人の取引は10回くらい進みます。同じ期間に,資本は100倍に拡大して,情報は1000倍くらい拡散する。(p93)
 ビジネスとうのは,そもそも99%の人が負ける世界です。上位1%が残り99%の利益を総取りする世界なので,他人と同じことをしている時点で勝ち目はありません。(p93)
 重要なのは,インターネットはもはやフロンティアではなくなってきているということです。そうなると,ゲノムや宇宙空間に行かざるを得ない。(p95)
 興味の赴くままにいろいろな本を読んでいますが,一つだけ懸念しているのは,知識量が増えすぎると,全部相対的に見えてしまって,経営者としてはパッションを持ちにくくなるという面があることです。(p97)
 何かを思い込んでいる人がすごい集中力を発揮する。その人の思い込みが強いほど,その熱が周りに伝わり,世の中が動いていきます。ところが,いろいろ考えて,この人の立場もわかるし,この人の立場もわかるとなると,動けない。(p98)
● 出雲充
 「本のキュレーター」でもっとも信頼しているのが,成毛眞さんです。(p111)
● 迫俊亮
 ギリシャ時代から,人間が考え,悩んでいることはだいたい同じです。どれだけ文明が発達しようが,人間そのものはたいして進歩していない。(p140)
 それまでの私はどこかで,「本に書かれていること=正しいこと」と考えていたのでしょう。(p143)
 人の思想や行動は,主体的に生きているつもりでも,知らず知らずのうちに社会構造によって規定されている。この考えがすべての社会学の基本となっています。(p144)
● 石川康晴
 大御所とされるような経営者の方と会食をすると,ほとんどが自慢話だったりする。でも,その話の中で,はっとするような言葉を1個,2個といただけるわけです。(中略)はじめから著者の経験や教えが整理して書かれているのが,本。学びの効率は本に軍配が上がるでしょう。(p160)
 現代アートとは,概念を見るものだと考えています。美しさではなく,裏側にあるクリエイターの「新しい概念」を期待するもの。もはや,哲学なんですね。(p169)
● 仲暁子
 意思決定というのは,最終的には思想の表れです。もっと言えば,経営者の「好き嫌い」でしょう。(p185)
 いまこの瞬間に向き合わなければ,未来計画を立てても意味がない(p193)
 人間はゴールを決めた瞬間がもっともやる気が高く,あとは落ちる一方だ(『スタンフォードの自分を変える教室』)(p193)
● 孫泰蔵
 先進国と発展途上国という区分けにしても,物差し自体がきわめて20世紀的であると言わざるを得ません。(o211)
 やはりアウトプットを意識して読んだほうが,内容をより深く理解できる(p212)
 この,愚直に努力し続けるという姿勢こそ,起業家に最も必要なものではないかと僕は思うのです。(p220)
● 佐渡島庸平
 僕はきれいな言葉をつむぐ人が好きなんです。こればっかりは育てようと思って育てられるものじゃないから,編集者として,その部分は手伝えない。(p234)
 クリエイターの才能を見極めるポイントは観察力だと思います。(中略)伸びる人は,同じものを見ていても,人とは違うところまで見えています。(p234)
 ストーリーづくりの要は想像力だと思っている人が多いかもしれませんが,僕はそうは思いません。実際,ほとんどの物語は,過去の記憶を再編して,そこに10%くらい新しい要素を加えてできています。想像力の果たす役割は1割くらいしかないんです。(p235)
 自分というのは一つではなくて,相手によって違った自分が引き出される(中略)。今,目の前にいる人は,僕が引き出したその人の一面にすぎないわけです。(中略)相手からよりよいパフォーマンスを引き出したいなら,自分が先に変わらなければ,と素直に思えるようになりました(p241)
 今,僕が思っているのは,インターネットの中で先に話題をつくってから,その後のマネタイズの手段の一つとして本があると,成立しやすいということです。(p244)

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