2020年2月26日水曜日

2020.02.26 平野勝之 『旧型自転車主義』

書名 旧型自転車主義
著者 平野勝之
発行所 山と渓谷社
発行年月日 2012.03.10
価格(税別) 1,905円

● 再読。といっても,ザッとだけど。
 著者の好みはマニアック。許容範囲はピンポイント。そこからわずかでも外れたものは,お呼びじゃないというか。必然的にディープになる。
 旧型なのだからこれから参入するのは難しいはず。安易に著者のエピゴーネンにはなるまいぞ。

● っていうか,一昨年の5月に転倒骨折顔面血だらけ事件を起こしてから,自転車は奥さんに禁止されて今日に至る。それを押してまで自転車に復帰したいという気持ちはなくなってしまっててね。
 でも,復帰するとすればBROMPTON P6Rがいいと思ってる。旧型じゃないけど。っていうか,折りたたみ式だけど。

● でも,日本一周程度なら問題ないだろう。キャンプツーリングもOKだ。
 あと,小径車のいいところはパンクの修理が楽なところ。最後にタイヤをはめこむのがさ。27インチもあるととんでもなく力がいるもんね(なんかコツがあるんだろうか)。

● 以下にいくつか転載。
 「旅」が自転車遊びの最高峰なのは,おそらく一度でも旅を味わったことがある人なら異論はないと思う。だが,自転車遊びの世界は旅やレースだけではない。「自転車遊び」を味わうのに,最も手軽な方法は,自分の生活に,自転車を取り入れてしまうことだ。(p2)
 当時,自動車並みに高額だったこともあり,ハンパな人間はとても扱えない代物だったのだ。そのプライドと気品は,いまでも十分に生きているように見える。「あなたは私と暮らす勇気はあるのかな?」と,(サンビームの)伊達ではない黒塗りの車体がそう語りかけてくる。(p11)
 古いロードスター,とくにサンビームなどは,まさしくメカニズムの魔宮,すべてがオリジナルパーツのため,扱いはおそらく覚悟がいるだろう。それと同時に,自分自身の「格」も上げないと似合うことはないと思う。金があるから,欲しいからといって手を出してはいけない。(p18)
 たしかに体を動かすものだし,峠だってあるからハードな部分はあるけれど,自転車旅行の本質はじつはそこにはないのである。(中略)けっして自然に対して出しゃばらない地味な自転車と服装,それが自転車旅行の礼儀であるべきだ。(p28)
 イギリスの旧車はカッコイイ。フランスの旧車は美しい。(p32)

2020年2月24日月曜日

2020.02.24 髙松明日香 『Friends どんなときでもきみはともだち』

書名 Friends どんなときでもきみはともだち
著者 髙松明日香
発行所 東方出版
発行年月日 2012.05.22
価格(税別) 1,800円

● 髙松明日香さんの写真集。被写体は海の生物。1枚ずつジックリ味わうというよりは,ササッと次々に見ていった方がいいと思う。

2020.02.24 吉村和敏 『マジックアワー 吉村和敏写真集』

書名 マジックアワー 吉村和敏写真集
著者 吉村和敏
発行所 小学館
発行年月日 2010.12.06
価格(税別) 3,000円

● 吉村和敏さんの写真集。マジックアワーとは「夕陽が沈んだ直後から,空に一番星が現れるまでのわずかな時間」(p6)のことだそうだ。
 「この儚い時間を好きになってから,明日という日が待ち遠しくなった」(p62)とも行っている。何を大げさなと思ってしまう人は,写真家にはなれないんでしょ。

● その時間帯の地球の風景を撮ったもの。緯度の高いところが多いけれども,そうではない都市の風景もある。国内でも函館や芝公園の写真がある。

2020年2月22日土曜日

2022.02.22 出口治明 『世界史の10人』

書名 世界史の10人
著者 出口治明
発行所 文春文庫
発行年月日 2018.09.10(単行本:2015.10)
価格(税別) 760円

● 『世界史の10人』の中で最も印象に残ったのは,ロシアのエカチェリーナ2世。人間的な,あまりに人間的な。といっても,あり得ないほどに強靭な。
 ロシアとは縁もなく,ロマノフ家の血は一滴も入っていない。“自分のため”が“ロシアのため”と結果において一致した。その基底にあるのは彼女の覚悟。

● 以下に転載。
 四人の歴史上のj性をリーダーとして選びましたが,彼女たちの歩みをみていくと,その前に力強いロールモデルがいたことがわかります。(p10)
 それは,軍隊と役人,つまり軍事組織と官僚組織です。このシステムを備えないかぎりは,リーダーが言えればその集団も消滅してしまう。(p10)
 大都は二つの特徴を持っています。いとつは,海につながるように設計されていること。もうひとつは,中国歴代の首都の中で,何もない更地にゼロから立ち上げた都はここだけだということです。(中略)これはマンスールがやはり更地に開いたバグダードと同様の発想です。(p68)
 仏教は,今から二千五百年くらい前にブッダの教えという形で始まったものです。当時は気候も温暖で,鉄器の使用によって世界各地で高度成長が始まり,社会が豊かになってしました。(中略)食うや食わずの社会では,どれだけ立派な人物でも誰も面倒を見ないので知識人は生きてはいけず,また文化も生まれません。事実,ソクラテス,孔子,ブッダは同時代に活躍しています。(p76)
 そもそも宗教は,それ自体にエネルギーがあり,是が非でも布教したいと思う人々がいてこそ,遠くにまで伝わるものだと思います。(p78)
 朱子学は,モンゴルのグローバル政策に乗り遅れた人々にとってのうっぷん晴らしだったという一面があります。(p83)
 大陸・亜大陸は,横にいくら旅をしても気候は変わりません。よって,そこに生息する病原菌は同じですが,縦に長い場合は,気候が変わるため病原菌も異なります。そうなると抗体も違ってくるので,人間が南北に移動して別の土地に映ると,未知の病気にかかって死亡する確率が高まる。これを経験から知っていた人々は,移動を控えるようになったのでしょう。(p106)
 白村江以前にも,倭国は何度も半島に派兵していますが,それは,倭国が(中略)傭兵を輸出する政策をとっていたからではないか,という説があります。(中略)倭国が傭兵を派遣したことに対する報酬の最たるものが,実は,中国から半島に伝わっていた漢字や仏教だったのではないか。(p119)
 どの国でも整合的なパッケージで政策を遂行するのはとても難しいことで,普通なら部分最適を集めても全体最適は得られないものです。それを王安石がやってのけたからこそ,軍事力が強くなくても,宋は長続きできたのです。(p160)
 われわれが頭に描く日本文化は,もとをtだせば,ほとんどすべてが宋の文化です。禅や浄土教,茶道も宋から日本に伝わり,日本で発展したものです。(p160)
 大英帝国に追いつき追い越せが至上命題であったドイツの人びとにとって,「あちらがローマなら,こちらはそのローマを破ったゲルマンだ」と考えたのは,けっして悪くないアイデアだったと思われます。(中略)そもそもゲルマンとひとくくりにできるような民族はいなかったという説が有力となっています。(p166)
 (アリエノールが)こうした強い意志をもってやりたいことをやりとげたのは,ロマンティストだったからこそだろうと,私は思っています。歳をとっても夢見る気持ちがなければ,人は保守に傾きがちです。(p188)
 リーダーを評価するとき,人はともすれば,大きな方針を立てて強引に引っ張っていくベンチャー経営者型,理想化肌のリーダーを高く評価しがちです。でも何もしなくても,要は従業員や市民が幸せになれば,それでいいのです。(p252)
 この反乱でエカチェリーナ二世はリアリズムに立ち戻ります。夢のような理想論はよくない。民主主義も議会もまだまだ時期尚早であって,大貴族や軍隊の力を借りなければこの国は治められないと,悟るのです。(p273)
 人間,人生の岐路に立たされたとき,身近にロールモデルがいるかいないかが決定的に重要だと,私は思います。(p277)

2020年2月16日日曜日

2020.02.16 茂木健一郎 『脳HACK大全』

書名 脳HACK大全
著者 茂木健一郎
発行所 PHP
発行年月日 2019.10.08
価格(税別) 1,500円

● 茂木流実用書の集大成という感じ?
 Twitterは情報収集のために使うべきで,ネット上でコミュニケーションするために使うのは時間のムダだという。そうだと思う。“いいね”をしあったってねぇ。まして,リプを付けあったところで。Twitterで“いいね”をするのは,そのTweetを取分けておくためだよね。

● 以下に転載。
 僕はメモはなるべくとりません。やはり脳内で完結するほうが,融通が効くのです。メモをとったとしても,メモをとることを目的とするのではなく,メモをとりながら自分と対話することが大切なのだと思います。(p3)
 脳に入れる情報量を調整するために,スケジュール管理などもインターネットを使ってやっています。今は便利なツールがたくさんありますから,IT技術をフル活用しない手はありません。(中略)脳の回転速度を落とさないために,脳に情報を溜め込まないようにするのです。(p22)
 アポイントメントを求められたら,そこが会議室だろうが居酒屋だろうが,かまわずパソコンを開き,その場で予定を確認します。そして,なるべくその場で(中略)詳細を書き込んでしまいます。(p23)
 アウトプットの時は,なるべく事実を調べず自分の主観に従って,生鮮食品のように取り出すのが正しいと思っています。(p40)
 仕事から仕事の移動に電車やタクシーを極力使わず,自分の足で歩くようにしたのです。それ以来,大げさではなく人生が変わった気がしています。(中略)なにより頭の整理に最適なのです。(中略)歩くことのメリットは,一種の感覚遮断がなされるということです。(p58)
 感情は伝染しますから,やはり明るいエネルギーをもらえそうな人の周りに集まってしまうのでしょう。(中略)顔は自分のインターフェイスです。化粧をしろ,身なりを研究しろ,というのではありませんが,なるべく人に良い気持ちをおすそ分けするつもりで,接するようにしてみてはいかがでしょうか。(p61)
 人の悪いところばかりを気にしていると,ミラーニューロンが働いて,それが自分にうつってしまうのです。(p65)
 ストレスに弱い人のほとんどは,不確かなものに遭遇した時に,ネガティブな結果ばかりを想像してしまいます。しかしそこで「じゃあ,具体的にどう解決すればいいのか」を考えてみる。最悪の自体をシミュレーションできていれば,その中間程度のものは「大したことがない」と思えてくるはずです。ここで大切なのは,シミュレーションした内容を家族や友人に話してみたり,文字にして具体的に書いてみることです。(中略)これを「無意識を意識化する」といいます。(p71)
 勉強にせよ仕事にせよ,この「没我」の境地に達していないと,なかなか向上できません。我を忘れるほどに集中していない状態では,対象と自我の間に壁をつくっているということです。(中略)ここでもっとも大切なのは,本人が,行動に伴う結果ではなく,その行動自体に価値を見出しているということです。(p86)
 ここでポイントになるのは,原文から目を離すということ-つまり一時的に頭の中に記憶し,それを書き写す作業にすべきなのです。(p92)
 「私」を意識すると,脳の昨日が低下する(中略)人がもてる力を最大限に発揮できるのは,「私」を忘れて,無心(フロー状態)でいる時です。(p116)
 でっちあげを楽しむのが会話だと思うと,会話そのものを楽しめると思います。(p125)
 良い会話とは,相手の世界を自分の中に折り入れるためにあるものなのですから。(p131)
 問いの答えを見つける能力よりも,問い続ける能力のほうが人間として大事な気がします。そういう人は,絶対に年をとらない。(p134)
 雑談を楽しめるかどうかは,その人の若さのバロメーターでもある(p143)
 辛い思いは抑圧しているよりは,意識の中に押し出してしまったほうが,そこから自由になれます。(p165)
 子どもは人見知りが激しい反面,仲良くなるまでの時間も短いのです。(中略)人間が大きな成功を収める秘訣は,大人になって経験を積んでもどこかに子どもっぽさを残すことなのではないでしょうか。(p179)
 ポピュリズムに阿るばかりでは本当の文化はつくれません。文化をつくるということは,何ものにも寄りかからないことです。(p195)
 現代の脳科学では,学習は必ずしも秩序立てて行う必要はないと考えられています。断片的なインプットを継続して行うことが大切なのです。(p199)
 自分の中から湧き出てくる言葉や文を,流れるように書いていく。これはある程度のスピードがないと起こりません。(中略)文章を書きあげる際には・ある程度のスピードで一気に書き進めていくエネルギーが必要です。(p208)
 人間の記憶とは,コンピュータのメモリー機能のような過去の蓄積ではなく,体験の「編集」であることがわかるのです。(p212)
 脳の個性は欠点と長所が表裏一体になっています。(中略)苦手のすぐそばに得意があるのです。(p214)
 僕は,人が成長する時のきっかけは「背伸び」だと考えています。そして,背伸びをする時に欠かせないのが,他人の目です。(p227)
● こんなのもあった。
 僕は大事な記憶を忘れないためにも,あえてメモをとりません。脳は,本当に大事なことはメモをとらなくても覚えているものだからです、(中略)忘れてしまうものはたいしたアイディアではありません。
 メモはとりませんが,iPadに自分が今,調べているテーマ別にノートを作っています。アイディアが浮かぶとすぐに書き込むようにしているのです。(p26)
 それをメモっていうんじゃないの。メモってんじゃん。

2020年2月15日土曜日

2020.02.15 岩城宏之 『指揮のおけいこ』

書名 指揮のおけいこ
著者 岩城宏之
発行所 文藝春秋
発行年月日 1999.05.30
価格(税別) 1,524円

● 再読。指揮の才能の他に文才まである。前者は今更としても,後者はぼくにも与えて欲しかったぞ。

● 本は読み物として面白ければ,それ以上は望まないというのが,ぼくの基本的な態度。面白さには色々あるが,文章そのものが味わうに足るものであれば,言うことはない。自分には書けないなぁと思わされる文章を読む楽しみ。
 本書はそれも満たしてくれるのだが,やはり文章以外の,指揮者という職業の大変さや面白さを教えてもらえるという実用的な面も大きい。というか,専門家のエッセイとは必ずそこのところがウリになるものだろう。

2020年2月13日木曜日

2020.02.13 ターシャ・テューダー 『ターシャのシンプルメッセージ 何があっても前を向いて』

書名 ターシャのシンプルメッセージ 何があっても前を向いて
著者 ターシャ・テューダー
訳者 食野雅子
発行所 KADOKAWA
発行年月日 2019.02.21
価格(税別) 1,600円

● 「失敗や間違いを犯さない人はいない」(p105)。
 これをね,意外にぼくら,忘れがちだよね。人に完璧であることを求めてしまいがちなのでは。自分に対してもね。それを望まれた“自分”は辛くてしょうがないだろうね。

2020.02.13 得地直美 『神保町』

書名 神保町
著者 得地直美
発行所 夏葉社
発行年月日 2016.10.29
価格(税別) 1,700円

● 絵を描ける人が羨ましい。発表を意図して描いたのではないと思う。街の中から何をどう切り取るかは,そのときの感覚によるものだろう。でもって,神保町の趣がたしかにスケッチの中に固定されている。

2020.02.13 中原淳一 『中原淳一 ART BOX 美コレクション』

書名 中原淳一 ART BOX 美コレクション
著者 中原淳一
発行所 講談社
発行年月日 2012.11.27
価格(税別) 2,000円

● 戦後に書かれた絵は,眉が太めで,目が大きくて縁取りが濃い。顎は細く,唇は石原さとみのように厚い。オードリー・ヘプバーンの肖像画と見紛うものも。
 戦前のは眉は細く,目は垂れ目気味。もちろん,例外はあり。

2020.02.13 南 伸坊 『のんき図画』

書名 のんき図画
著者 南 伸坊
発行所 青林工藝社
発行年月日 2008.08.20
価格(税別) 1,800円

● 南伸坊のこれは画集と言っていいんだろうか。「絵本みたいに,何回も見てもらえたらたのしい。ていうか,うれしいです」とある。そうでしょうね。そういうふうに“使う”ものでしょうね。
 「あとがき」は糸井重里さんが書いている。

2020年2月9日日曜日

2020.02.09 開高 健 『モンゴル大紀行』

書名 モンゴル大紀行
著者 開高 健
写真 高橋 昇
発行所 朝日文庫
発行年月日 2008.10.30
価格(税別) 1,000円

● この旅は1986年と87年に行われた。本書の元になった単行本も読んでいる。
 今読んでも古さは感じない。それが褒め言葉になるのかどうかはわからないが,古さは全く感じない。美味しい読み物だと思う。

● 巻頭にある司馬遼太郎との対談からいくつか転載。
 遊牧は絶えず移動するので持ち物を少なくしなければいけない。持ち物を少なくするということについては,生活財のセットがある。(中略)フェルト製のゲルから,ビタミンをとるための馬乳酒に至るまですべてセットになっている。(司馬 p10)
 山羊を羊群にまぜるというのは重要なことで,文明時代のギリシャ人はひょっとするとそれを知らなかったためにギリシャは荒蕪の地になったのかもしれない。(司馬 p11)
 ゲルというのは,人間が住むための構築物であることは間違いないんだけれども,文明人には不可欠なものが三つ欠けている。バス,トイレ,キチンがない。(開高 p13)
 何日も一カ所にゲルを張っていても,一晩のうちにどこかへ行っちゃう。立ち去った後を調べてみると,徹底的に無である。何もない。昨夜までここで何十人かが暮らしていたという痕跡は全然見つからない。(中略)遺跡というものが全然ないんですね。(開高 p15)
 北京はいま野菜不足で,近郊のヒンターランドに野菜がほとんどできない。慢性的な野菜不足。それは北方の内モンゴルを耕したからなんです。(司馬 p19)
 いったん草原の土をめくると,もう回復できない。中国は,というより世界は巨大な損失をした。自然はさわるなというのは,ほんとにそのとおりやね。(司馬 p20)
 われわれ農業地帯の人間は,文明とか都会とか,より便利な,よりかっこいい生活をあこがれるけれども,どうも牧畜がベースの社会では,あまりそういうことはないように思う。(司馬 p21)
 こんだけ単純なシンプルな生活,バス,トイレ,キチンが家の中にないという生活をしなければこの高原は守れない。(開高 p24)
 本文からも1つ。
 手つかずの自然なら他にもある。しかし,そこは,人里離れている。ここには,人間や動物と共存しながらなお,手つかずの自然がある。

2020.02.09 帯津良一 『Dr.帯津の老いから学ぶ「大逆転」のヒント』

書名 Dr.帯津の老いから学ぶ「大逆転」のヒント
著者 帯津良一
発行所 海竜社
発行年月日 2019.07.26
価格(税別) 1,100円

● 老いてどう生きるか。その手引書として傑出している。励ましてくれる。その励まし方が上手い。
 自分よりγ-GTPの値が高い人はいないだろうと言いながら,毎晩酒を飲む。検査結果の数値? そんなものを気にするなんて時間の無駄だよと言い放つ。医者にそう言ってもらえると,ぼくなんかとても嬉しい。

● 以下に転載。
 武力で革命を起こしても,しばらくすれば別の武力に倒されてしまうことはよくあります。力では世の中を変えることはできません。手間がかかるようですが,場を変えていくことでしか,地球は良くならないと,私は思っています。(p7)
 作家の五木寛之さんはあっぱれです。かつては文壇の酒豪番付で大関をはったほどの人です。お酒は大好きなはずです。しかし,晩酌は小さなコップについだ日本酒だけです。それも一杯でおしまい。(p22)
 感情も,そのまま外に発散するのでは幼稚すぎます。(p23)
 食欲がなくなるのも,性欲が減退するのも,あまり眠れなくなるのも,すべてからだを守るための自然現象です。ネガティブにとらえないで,流れに身を任せることも大切です。(p25)
 足腰が弱ると,生きる楽しみのかなりの部分が失われてしまいます。(p26)
 大した運動ではなくても,自分が動いていることを意識すれば,筋肉にもいい意味で負荷がかかるのではないかと思います。(p28)
 セロトニンがたくさん出る歩き方というのがあります。ぶらぶらとまわりの景色を見ながら歩いていても効果はないそうです。歩くことに集中することです。(p32)
 スキンシップをすればオキシトシンは出ます。このオキシトシンがセロトニン活性を誘発します。(p35)
 そんなこと(検査数値)をいちいち気にして生きるのは時間の無駄です。(p38)
 いのちをかけてでも成し遂げたいプロジェクトがあれば,そんなときにがんが見つかるのは迷惑ですから,検査なんかしないほうがいいでしょう。(p39)
 食への欲望が少ないほうが健康でいられるのです。何でもかんでもばくばくと食べるのは若さの特権ですが,がつがつしていて人間として未熟だと思います。(p40)
 いくらからだにいいものでも,嫌々食べていては力になりません。食べることがストレスになってしまっては逆効果です。(p42)
 お金を稼ぐことが立派なことだという高度成長時代の価値観から脱却して,手持ちのお金で十分に楽しむことを考えてみてください。(p47)
 人間は必ず死にます。これほどの絶対はありません。逃れようのないことから逃れようとするのは無駄な努力。そんな努力を続けていると,「どうせ死ぬのだから」と厭世的になってしまいます。(p75)
 死後の世界も自分で勝手に決めればいいのです。どんなところかということはだれも知りません。これも自分で決められます。遠路することはありません。(p78)
 かなしみ,孤独という闇があるからこそ,ときめきという光が花火のように目立つのです。(p82)
 不自由な現実の世界を生きているのですから,イメージくらいは自由に広げてもいいのではないでしょうか。(p85)
 楽しいことを思うかつらいことを想像するかはその人の癖です。癖を直しましょう。日ごろから楽しいことをイメージするトレーニングをしていると,どんなときにも楽しいことが考えられるようになります。(p87)
 病気になるというのは「生は有限である」ことを実感するチャンスです。得にがんだと,人生に締切がることを突き付けられます。限られた時間で何をするか。それこそ人生の総決算です。生きる醍醐味です。(p92)
 がんばれば何とかなると信じて,がんばり過ぎて体調を崩す人はたくさんいます。なぜそれが良くないのかといえば,人は一人で生きているわけではないからです。(p104)
 若ければ若いほどエネルギーが大きいというのは大きな勘違いです。確かに体力はありますが,内に秘めた力は年をとればとつほど高まります。人生の晩年というのはもっともエネルギーが高まる時期です。(中略)花鳥風月を愛でるのは,あの世での楽しみにとっておいて,もっとアグレッシブに生きるべきだと思います。(p117)
 年をとると頑固になりますが,逆に年をとればとるほど謙虚で素直にならないといけません。本を読んだり,講演を聞いたり,映画や演劇を見るのも,人の言葉に耳を傾けることです。(p119)
 できないことは重要な指針です。そちらに進む必要はないというメッセージだと,私は理解しています。(p124)
 学びも養生のひとつです。せっかく勉強したのだから生きている間に活かしたいと思うかもしれませんが,死後の世界があると思えば,中途半端な勉強であっても,死んだあとに必ず役に立つと信じて,明日死ぬとわかっていても勉強をすることができます。学びに終りはありません。(p127)
 虚しさの最大の原因は,「死は悪者だ」と信じていることではないでしょうか。(p145)
 死を悪とか不幸とか敗北と考えるのは,死でしべてが終わってしまうと考えてしまうからです。私は死後の世界があると信じています。ですから,新しいことを始めるのに躊躇はありません。途中で倒れても,続きは死後の世界でやればいいという気持ちですから,いつも「今度は何をやってやろう」と目を輝かせています。(p149)
 いのちのエネルギーがあふれ出て,それが色気になる,と私は考えています。いくら着飾って,外見を整えても,いのちが躍動していなければ,色気を感じることはできません。異性にももてません。(p161)
 いつも自分を向上させようと考えて行動することが大切です。年齢など関係ありません。(中略)小さなことに感動し,ときめくことも大切です。(中略)小さな感動はいのちのエネルギーの小爆発です。小爆発がたくさん起これば起こるほど,あるとき大爆発が誘発されます。これが色気になります。(p162)
 邪険にされるには理由があります。たいていの場合,いのちのエネルギーがしぼんでいるからです。(p194)
 私にも足りないところはいくらでもあります。私よりも優秀な人はいくらでもいます。それでも人は人,自分は自分と,割り切って,自分がやりたいことを粛々とやるようにしてきました。人には身の丈というものがあります。(中略)それを見極めて,そこに力を集中すればいいと思っています。(p196)
 人には死にごろがあって,それを逃すと,逆につらいことになる場合がよくあります。人生百年時代などといって,百歳まで生きるのを目標にしている人がいますが,百歳は生き過ぎだと思います。(p199)
 人生はあまり悩んだり迷ったりしなくても,結果的にいい方向に進んでいくというのが私の考え方です。逆に,「こうしてやろう」と力んでしまうと,あらぬ方向に進んでしまって,しなくてもいい苦労をするはめになったりします。(p208)
 老化とは自然の摂理です。(中略)神がすべての生き物が幸せになれるようにとおもんばかってくれたものです。摂理の根底には神のやさしさがあります。アンチ・エイジングは,自然の摂理である老化に逆らうことです。(中略)神のやさしさを裏切ることです。(p215)
 ゲーテは七二歳のときに一七歳の少女に熱烈な恋をしてプロポーズしました。画家のピカソは八〇歳で結婚しています。ホメオパシーの創始者であるハーネマンも八〇歳のときに三度目の結婚をしています。魅力ある人は,常に異性にこころをときめかせていたようです。(p224)
 人生の後半こそ,やりたいことができるチャンスです。ここからが勝負です。昔を懐かしんでいる暇などありません。(p228)

2020年2月7日金曜日

2020.02.04 コグレマサト・まつゆう 『noteではじめる新しいアウトプットの教室』

書名 noteではじめる新しいアウトプットの教室
著者 コグレマサト
   まつゆう
発行所 インプレス
発行年月日 2019.09.01
価格(税別) 1,600円

● “note”の解説書というか紹介本。最後まで読んでみても,noteがどんなものなのか,イマイチよくわからない。noteはいくつか読んだことがあるし,有料noteを購入したこともあるのだが。
 課金できるブログ? SNSとブログの中間のようなもの?

● 現時点では,しかし,ブログから乗り換えようとは思わせない。つまり,ブログを何のために書いているのかという問題だ。人に読んでもらうためか,自分用のアーカイヴを整えるためか。
 ぼくの場合は後者に力点がある。この場合,noteより旧来型のブログの方が扱いやすそうなのだ。

● 何をどう書けばいいかというガイドに関する記述も多い。これは「よい子の皆さん・・・・・・」という感じ。特に目新しいところはないような気がした。
 副題は「楽しく続けるクリエイター生活」。プロ御用達という感じ?

● 以下にいくつか転載。
 「読者は読み急いでいる」ということを頭の片隅においておくと,どうやって文章をつづっていけばいいかというヒントを得やすくなるはずです。(p59)
 SNSも含め,これだけ読むものがたくさんある時代ですから,読み飛ばし前提で文章を書く技術というのも求められているのかもしれません。(p61)
 SNS全盛の時代なので,タイトルで結論まで言い切り,さらに詳しく読んでみたいと思われることが大事なのだといえます。(p64)
 書いた記事は,ぜひご自身のSNSにシェアしてください。そのときには,タイトルとURLだけをシェアするのではなく,記事の要約やコメントなども合わせて投稿するのがおすすめです。(p88)
 SNS時代は出し惜しみをしない,というのもキーワードの1つといえるでしょう。(p89)
 日常生活というのは,少し視点を変えると,実はネタの宝庫なのです。少しでも楽な満員電車の乗り方を日々実践していればネタになります。(p164)
 気になることがあったら写真を1枚撮っておくと,あとからnoteを書くときに役立ちます。メモにもなるし,アイキャッチにもなります。(p165)
 もっとも執筆の効率がよいのは,元気な状態で早起きしているときなのです。とにかく筆が進みます。(p179)
 Twitterの先にnoteがあるんですよね。(p216)
 とにかく書くこと,書くことでインターネットに存在すること,そして書き続けることで存在感が増していくことが,noteのみならず,インターネットでの作法として大事なことだと考えています。(p220)

2020年2月2日日曜日

2020.02.02 和田裕美 『すごいお金。』

書名 すごいお金。
著者 和田裕美
イラスト 上大岡トメ
発行所 SBクリエイティブ
発行年月日 2016.11.29
価格(税別) 1,300円

● 「信じて委ねれば豊かになり,不安で心配すると貧しくなる」ということが縷縷書かれている。じゃあ豊かになるなんて簡単じゃん。簡単なら誰でも豊かになっているはずだから,簡単ではないんだよね。
 このあたり,興味のある人はご一読を。3年前に出た本だから興味のある人はすでに読んでいるかな。

● 以下に転載。
 わたしたちのご先祖は,ずっと前から「信じて委ねれば豊かになり,不安で心配すると貧しくなる」ことを知っていた。(p4)
 「お金がないからできない」が人生から消えることで,どれだけ自由になれるかと考えたらワクワクしました。そんあ気持ちがわたしのエネルギー源になって,「お金が欲しい」ってちゃんと言えるようになった。これが大きかったんです。(p23)
 やり方としては「よかった」と言ってから「なぜ」を探す方法でして,小学生でもできるものなんです。たとえば営業がうまくかなくて落ち込んだら,「うまくかなくってよかった! なぜなら(うまくいかなかったからこそ)トークに磨きをかけられた」とかって考える。そうやって「よかった」を探すことでコインを裏返すように「マイナス」を「プラス」に変換するんです。(p26)
 もしちょっとでも,「不安」という要素がお金が欲しい理由に入っていたら,それ,「貧しいエネルギー」です。(中略)このマインドを持っているかぎり,当然お金の流れはよくなりません。(p33)
 とにかくお金に「ワクワク」できない感情はお金持ちになるには邪魔なんです。(p50)
 嘘だと思うかもしれないけれど,お金に困っている人は共通して,ワクワクして生きるということを,忘れてしまっている人たちです。(p59)
 自分が豊かになればなるほど,周りの人が貧しくみえたりして自分の豊かさに対して罪悪感が生まれてくる人も本当のところとても多いのです。まわりを基準にしてはだめなのです。(中略)もっと自分を認めてあげてほしいのです。(p63)
 お金に対して自己中心的にならなくてはいけません。自分の欲求を満たしてあげればあげるほどに他の人の欲求を満たしてあげる能力が増えるからです。(p65)
 「お金がない」という現実がそこにあるとき,その事実には意識を向けないことが大事なんです。なにより不安ゼロの状態にしないとお金はやってこないからです。(中略)とにかくお金を忘れて,今,眼の前にある自分が没頭すべきことに100%のエネルギーを注ぐことができれば「お金がある」になっていくんです。(p70)
 こういう人の共通点は,「自分は稼げない」とか「お金がない」って口ぐせのように言うことです。(中略)これっていわゆる自己洗脳で,すごくこわいことなんです。(p82)
 お金持ちになったらお金持ちのように振る舞うんじゃなくって,お金がなくてもお金があるように振る舞うんです。これが先に決まっています。(p84)
 ぱっと見て「おいしそ~~食べたいな~」と思ったお弁当が1200円だったとき,「貧しい行動」が染み込んでいる人は,1200円のお弁当を買うことを即決できずに800円のお弁当を選びます。(中略)財布に5000円札が入っていても,「1200円のは高すぎるから800円のにしておこう」「いやいや,節約しないとだから400円のでいいや」と思ってしまう。(中略)節約した400円とか800円はなにをもたらすかというと,それは「節約した小銭よりもっと大きなものを失う」という現実を運んできます。(p85)
 「うわ~3000円の幕の内~」と,食べるときたいていは上がる。この「うわ~」という上がった気持ち。お弁当の蓋をあけるときのワクワクした気持ち。3000円のお弁当を買ったときは,こういう気持ちも一緒に買っているんです。だったらその見えない感情にもまた「プライジング」してみる。「このワクワクは1まんえんくらい」と思ったら,(中略)7000円も得した!と思わるわけです。(p88)
 まずは自分が満たされることをすることです。ここの段階をしっかり経験した方がいいって,わたしは思っているんです。(p117)
 わたしのとっておきの口ぐせが,この「わたしはぜったいお金に困らない」です。(中略)はい。10回。(中略)ゆっくり言ったとしても,30秒かかるかかからないかですよね。でも,でもです。その30秒を実際にやる(口に出して言う)人と,黙読ですませる人の差は,これからどんどん出てきます。言えば言うほど「はは~ん,そういうことか」って,言葉にできないあの感覚がやってきます。そのくらい,声に出して言うのって大事です。(p130)
 もしお金持ちになりたいなら,もっと自分の価値を信じることです。「わたしってすごいんだ」って思う方がお金はぜったい入ってくる。(p141)
 絶対的に本質的なことを言うと,「お金を稼げる人」には,必ず付加価値があります。他の人と同じことをやっても稼げるはずがないんです。(p147)
 付加価値は自分で見つけるものです。自分の脳みそでうんうんうなって考えるものです。(p156)
 どうして今までこんなに大事な付加価値を育ててこなかったんでしょうか? 理由は自分の評価,自分の価値づけが低かったせいだと思います。「わたしなんてこんなもんだから」と思っていれば,まさか自分が誰かの役に立てるだなんて想像もしないですよね。(p157)
 この自尊心,日常の中でより大きく育てる方法があるんです。べつに高価なものを持てとは言いませんが,目にするもの,たとえば名刺ケースとかお財布なんかは,いいものをちゃんと持つという方法です。(中略)言われた通り,素直に3万円のペンを買ってみたんです。(中略)なんかそのペンを持つだけで,自分の価値が上がった気がしたんです。(中略)この豊かな気持ちは,ペンがなくならないかぎりずーっと続きます。それをたったの3万円で買えるなんて,すごいと思いませんか?(p176)

2020年2月1日土曜日

2020.02.01 伊集院 静 『女と男の絶妙な話。』

書名 女と男の絶妙な話。
著者 伊集院 静
発行所 文藝春秋
発行年月日 2019.05.10
価格(税別) 1,000円

● 週刊文春連載の人生相談をまとめたもの。人生相談をするような人ってのは,大体がどうしようもないやつ。でなければ,ホストをおちょくってやろうという手合じゃないかと思ってるんだが,それをどう料理しておアシを頂けるものにするか。本書はその手際を味わうためにある。
 高齢者からの恋愛相談がいくつかあるのが,世相を反映していると言えるだろうか。人はいくつになっても賢くはならないものだよ。
 っていうか,80歳男性とあるんだけど,本当に80歳なのかね。そのまま受けとめた方が情緒があるので,本当なのだと思っておきたいけどね。

● 以下に転載。
 上手くなるにはどうしたらいいか? やめときなさい。ゴルフの上手いのにロクなのはいないから。(p8)
 そのミニなんとかで,身の回りのモノをどんどん捨てれば,物欲が涸れ,迷いが消える? その程度のことで消える迷いは,迷いとは言わんでしょ。いつもわしが言っとるでしょう。すぐにカタがつくよなもんはすぐにまたおかしくなると。すぐに役に立つもんはすぐに役に立たなくなると。(p9)
 手前の人生に何があったかなんてのは,死ぬ間際にチラッと振り返って見て,何もなかったナと思って死ぬの。(p36)
 今でも時々,大学の同級生と逢うのですが,野球を終えてからの人生が大切で,そこでも堂々とやり通し,大きな企業の副社長になった人や,商いをきちんとしている人には,実は現役の時,控えであった選手が多いんです。(p39)
 絵を描いた画家が何世紀の人でどういう生涯を送ったか,などということは,知る必要もありません。ただ絵画を眺めて楽しめばいいんです。(p49)
 平均寿命が百歳なんてのは,もうすぐそこまで来てますよ。大切なことはふたつ。何かを学ぶ姿勢を持ち続けること,やりはじめたらやり通す気力を常に持つことです。青二才に負けてたまりますか。(p63)
 あなたの日記が続かないのは,日記は一日の終りに書くでしょう。普通の人間は一日の終りはもう眠くてしかたないのが,日常というもんでしょう。日記をつけなかった日は,一日あなたが懸命に生きたということです。(p83)
 男というものは,死ぬまで男でしかありません。女の人が考えるより,助平で,どうしようもない生きものなんです。(p104)
 たとえ話の中に面白い部分があっても,長いスピーチをすることは,ゴルフのプレーが遅いことと同じで,私は犯罪だと思います。(p116)
 恋愛ってのは,出逢いってのは,人がこの世に生をうけた価値を証明するかなり程度のイイものだと私は思っている。(p131)
 根本はいかにやり甲斐がある仕事ができるかだ。やり甲斐のある仕事とは,その仕事であなた以外の人がゆたかになれることだ。(p136)
 “渡る世間はアホばかり”というのが,私の基本姿勢だから。(p164)
 男が女をダマすより,女が男にちいさな嘘をついて男がダマされる方が世の中は上手く行くの。カミソリみたいに切れる男なんてたいしたことないから。鈍感くらいの方がいいの。(p174)
 子供に贅沢をさせることは,一番悪い教育のやり方です。(p193)