2020年2月1日土曜日

2020.02.01 伊集院 静 『女と男の絶妙な話。』

書名 女と男の絶妙な話。
著者 伊集院 静
発行所 文藝春秋
発行年月日 2019.05.10
価格(税別) 1,000円

● 週刊文春連載の人生相談をまとめたもの。人生相談をするような人ってのは,大体がどうしようもないやつ。でなければ,ホストをおちょくってやろうという手合じゃないかと思ってるんだが,それをどう料理しておアシを頂けるものにするか。本書はその手際を味わうためにある。
 高齢者からの恋愛相談がいくつかあるのが,世相を反映していると言えるだろうか。人はいくつになっても賢くはならないものだよ。
 っていうか,80歳男性とあるんだけど,本当に80歳なのかね。そのまま受けとめた方が情緒があるので,本当なのだと思っておきたいけどね。

● 以下に転載。
 上手くなるにはどうしたらいいか? やめときなさい。ゴルフの上手いのにロクなのはいないから。(p8)
 そのミニなんとかで,身の回りのモノをどんどん捨てれば,物欲が涸れ,迷いが消える? その程度のことで消える迷いは,迷いとは言わんでしょ。いつもわしが言っとるでしょう。すぐにカタがつくよなもんはすぐにまたおかしくなると。すぐに役に立つもんはすぐに役に立たなくなると。(p9)
 手前の人生に何があったかなんてのは,死ぬ間際にチラッと振り返って見て,何もなかったナと思って死ぬの。(p36)
 今でも時々,大学の同級生と逢うのですが,野球を終えてからの人生が大切で,そこでも堂々とやり通し,大きな企業の副社長になった人や,商いをきちんとしている人には,実は現役の時,控えであった選手が多いんです。(p39)
 絵を描いた画家が何世紀の人でどういう生涯を送ったか,などということは,知る必要もありません。ただ絵画を眺めて楽しめばいいんです。(p49)
 平均寿命が百歳なんてのは,もうすぐそこまで来てますよ。大切なことはふたつ。何かを学ぶ姿勢を持ち続けること,やりはじめたらやり通す気力を常に持つことです。青二才に負けてたまりますか。(p63)
 あなたの日記が続かないのは,日記は一日の終りに書くでしょう。普通の人間は一日の終りはもう眠くてしかたないのが,日常というもんでしょう。日記をつけなかった日は,一日あなたが懸命に生きたということです。(p83)
 男というものは,死ぬまで男でしかありません。女の人が考えるより,助平で,どうしようもない生きものなんです。(p104)
 たとえ話の中に面白い部分があっても,長いスピーチをすることは,ゴルフのプレーが遅いことと同じで,私は犯罪だと思います。(p116)
 恋愛ってのは,出逢いってのは,人がこの世に生をうけた価値を証明するかなり程度のイイものだと私は思っている。(p131)
 根本はいかにやり甲斐がある仕事ができるかだ。やり甲斐のある仕事とは,その仕事であなた以外の人がゆたかになれることだ。(p136)
 “渡る世間はアホばかり”というのが,私の基本姿勢だから。(p164)
 男が女をダマすより,女が男にちいさな嘘をついて男がダマされる方が世の中は上手く行くの。カミソリみたいに切れる男なんてたいしたことないから。鈍感くらいの方がいいの。(p174)
 子供に贅沢をさせることは,一番悪い教育のやり方です。(p193)

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