著者 帯津良一
発行所 海竜社
発行年月日 2019.07.26
価格(税別) 1,100円
● 老いてどう生きるか。その手引書として傑出している。励ましてくれる。その励まし方が上手い。
自分よりγ-GTPの値が高い人はいないだろうと言いながら,毎晩酒を飲む。検査結果の数値? そんなものを気にするなんて時間の無駄だよと言い放つ。医者にそう言ってもらえると,ぼくなんかとても嬉しい。
● 以下に転載。
武力で革命を起こしても,しばらくすれば別の武力に倒されてしまうことはよくあります。力では世の中を変えることはできません。手間がかかるようですが,場を変えていくことでしか,地球は良くならないと,私は思っています。(p7)
作家の五木寛之さんはあっぱれです。かつては文壇の酒豪番付で大関をはったほどの人です。お酒は大好きなはずです。しかし,晩酌は小さなコップについだ日本酒だけです。それも一杯でおしまい。(p22)
感情も,そのまま外に発散するのでは幼稚すぎます。(p23)
食欲がなくなるのも,性欲が減退するのも,あまり眠れなくなるのも,すべてからだを守るための自然現象です。ネガティブにとらえないで,流れに身を任せることも大切です。(p25)
足腰が弱ると,生きる楽しみのかなりの部分が失われてしまいます。(p26)
大した運動ではなくても,自分が動いていることを意識すれば,筋肉にもいい意味で負荷がかかるのではないかと思います。(p28)
セロトニンがたくさん出る歩き方というのがあります。ぶらぶらとまわりの景色を見ながら歩いていても効果はないそうです。歩くことに集中することです。(p32)
スキンシップをすればオキシトシンは出ます。このオキシトシンがセロトニン活性を誘発します。(p35)
そんなこと(検査数値)をいちいち気にして生きるのは時間の無駄です。(p38)
いのちをかけてでも成し遂げたいプロジェクトがあれば,そんなときにがんが見つかるのは迷惑ですから,検査なんかしないほうがいいでしょう。(p39)
食への欲望が少ないほうが健康でいられるのです。何でもかんでもばくばくと食べるのは若さの特権ですが,がつがつしていて人間として未熟だと思います。(p40)
いくらからだにいいものでも,嫌々食べていては力になりません。食べることがストレスになってしまっては逆効果です。(p42)
お金を稼ぐことが立派なことだという高度成長時代の価値観から脱却して,手持ちのお金で十分に楽しむことを考えてみてください。(p47)
人間は必ず死にます。これほどの絶対はありません。逃れようのないことから逃れようとするのは無駄な努力。そんな努力を続けていると,「どうせ死ぬのだから」と厭世的になってしまいます。(p75)
死後の世界も自分で勝手に決めればいいのです。どんなところかということはだれも知りません。これも自分で決められます。遠路することはありません。(p78)
かなしみ,孤独という闇があるからこそ,ときめきという光が花火のように目立つのです。(p82)
不自由な現実の世界を生きているのですから,イメージくらいは自由に広げてもいいのではないでしょうか。(p85)
楽しいことを思うかつらいことを想像するかはその人の癖です。癖を直しましょう。日ごろから楽しいことをイメージするトレーニングをしていると,どんなときにも楽しいことが考えられるようになります。(p87)
病気になるというのは「生は有限である」ことを実感するチャンスです。得にがんだと,人生に締切がることを突き付けられます。限られた時間で何をするか。それこそ人生の総決算です。生きる醍醐味です。(p92)
がんばれば何とかなると信じて,がんばり過ぎて体調を崩す人はたくさんいます。なぜそれが良くないのかといえば,人は一人で生きているわけではないからです。(p104)
若ければ若いほどエネルギーが大きいというのは大きな勘違いです。確かに体力はありますが,内に秘めた力は年をとればとつほど高まります。人生の晩年というのはもっともエネルギーが高まる時期です。(中略)花鳥風月を愛でるのは,あの世での楽しみにとっておいて,もっとアグレッシブに生きるべきだと思います。(p117)
年をとると頑固になりますが,逆に年をとればとるほど謙虚で素直にならないといけません。本を読んだり,講演を聞いたり,映画や演劇を見るのも,人の言葉に耳を傾けることです。(p119)
できないことは重要な指針です。そちらに進む必要はないというメッセージだと,私は理解しています。(p124)
学びも養生のひとつです。せっかく勉強したのだから生きている間に活かしたいと思うかもしれませんが,死後の世界があると思えば,中途半端な勉強であっても,死んだあとに必ず役に立つと信じて,明日死ぬとわかっていても勉強をすることができます。学びに終りはありません。(p127)
虚しさの最大の原因は,「死は悪者だ」と信じていることではないでしょうか。(p145)
死を悪とか不幸とか敗北と考えるのは,死でしべてが終わってしまうと考えてしまうからです。私は死後の世界があると信じています。ですから,新しいことを始めるのに躊躇はありません。途中で倒れても,続きは死後の世界でやればいいという気持ちですから,いつも「今度は何をやってやろう」と目を輝かせています。(p149)
いのちのエネルギーがあふれ出て,それが色気になる,と私は考えています。いくら着飾って,外見を整えても,いのちが躍動していなければ,色気を感じることはできません。異性にももてません。(p161)
いつも自分を向上させようと考えて行動することが大切です。年齢など関係ありません。(中略)小さなことに感動し,ときめくことも大切です。(中略)小さな感動はいのちのエネルギーの小爆発です。小爆発がたくさん起これば起こるほど,あるとき大爆発が誘発されます。これが色気になります。(p162)
邪険にされるには理由があります。たいていの場合,いのちのエネルギーがしぼんでいるからです。(p194)
私にも足りないところはいくらでもあります。私よりも優秀な人はいくらでもいます。それでも人は人,自分は自分と,割り切って,自分がやりたいことを粛々とやるようにしてきました。人には身の丈というものがあります。(中略)それを見極めて,そこに力を集中すればいいと思っています。(p196)
人には死にごろがあって,それを逃すと,逆につらいことになる場合がよくあります。人生百年時代などといって,百歳まで生きるのを目標にしている人がいますが,百歳は生き過ぎだと思います。(p199)
人生はあまり悩んだり迷ったりしなくても,結果的にいい方向に進んでいくというのが私の考え方です。逆に,「こうしてやろう」と力んでしまうと,あらぬ方向に進んでしまって,しなくてもいい苦労をするはめになったりします。(p208)
老化とは自然の摂理です。(中略)神がすべての生き物が幸せになれるようにとおもんばかってくれたものです。摂理の根底には神のやさしさがあります。アンチ・エイジングは,自然の摂理である老化に逆らうことです。(中略)神のやさしさを裏切ることです。(p215)
ゲーテは七二歳のときに一七歳の少女に熱烈な恋をしてプロポーズしました。画家のピカソは八〇歳で結婚しています。ホメオパシーの創始者であるハーネマンも八〇歳のときに三度目の結婚をしています。魅力ある人は,常に異性にこころをときめかせていたようです。(p224)
人生の後半こそ,やりたいことができるチャンスです。ここからが勝負です。昔を懐かしんでいる暇などありません。(p228)

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