著者 堀江貴文
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2013.10.31
価格(税別) 1,400円
● 「なにもない自分に小さなイチを足していく」が副題。
● 出所後の初出版が本書。これまで逡巡なく社会や一般人を斬る的なもの言いをしていたのが,本書ではわりと内省的になっているという印象。それはそうだ。
ただし,内省的といっても,悔い改めるとか,これまでの過去をリセットして新規まき直しで頑張るとか,そういうことではない。
● 以下にいくつかを転載。
隠すことでもないだろう。僕は無類の寂しがり屋だ。(中略)これまでの人生で,「ひとりになりたい」と思ったことがないのだ。(中略)働いていれば,ひとりにならずにすむ。働いていれば,誰かとつながり,社会とつながることができる。(p25)
ゼロになることは,みんなが思っているほど怖いものではない。失敗して失うものなんて,たかが知れている。なによりも危険なのは,失うことを怖れるあまり,一歩も前に踏み出せなくなることだ。(p30)
どんなにたくさん勉強したところで,どんなにたくさんの本を読んだところで,人は変わらない。自分を変え,周囲を動かし,自由を手に入れるための唯一の手段、それは「働くこと」なのだ。(p33)ぼくも今ならそれがわかる。勉強とか読書というのは,学者先生がするものならいざ知らず,ぼくらがやる勉強や読書というのは,極端に言ってしまえば暇つぶしの域を出ないものだ。消費のひとつだ。
たしかに仕事をすることなんだよね。大人になったら,仕事を価値の第一順位に置けないといけない。ぼくは最後までそれができなかったんだけど。
僕にとってなによりも大きかったのは,自分の能力を生かし,自分が大好きなプログラミングを通じて誰かを助け,しかも報酬まで得ることができた,という事実だ。(中略)そうか,働くってこういうことなんだ(p67)
たしかに附設中には頭のいい生徒が大勢いた。小学校時代,あれだけトップを独走していた僕が,逆立ちしても敵わないような生徒たちだ。しかし,彼らと一緒にいることで刺激される部分があったかというと,決してそうではない。(p69)
歯を食いしばって努力したところで大した成果は得られない。努力するのではなく,その作業に「ハマる」こと。なにもかも忘れるくらいに没頭すること。(p76)これまた激しく同意。そのとおりだと思う。
ようやく女の子と普通に接することができるようになったのは,30代の中盤になってからのこと。情けない話だが,これは事実である。(中略)じゃあ,対人関係全般を苦手としていたのかというと,それは違う。(中略)いまとなっては,よくわかる。結局これは,女の子を前にしたときの「自信」の問題なのだ。そして僕には,自信を形成するための「経験」が圧倒的に不足していたのだ。(p92)
誘われるがままに乗ってみたヒッチハイクは,どうだったか? 最高だった。(中略)10台に声をかければ1台は乗せてくれる。どんな不運が続いても,30台に声をかければ確実だ。(中略)好きなときに,好きな場所に,1円も使わずに出かけられるフリーパスチケット。財布が空でも勇気ひとつでどこにでも行ける圧倒的な自由。(p96)
チャンスとは,あらゆる人の前に流れてくる。(中略)ぼくはこの「チャンスに飛びつく力」のことを,向上心とか目的意識とか,そんな堅苦しい言葉で飾りたくはない。もっとシンプルな,人としての「ノリのよさ」だと思っている。(p100)先の「ハマる」ことと「ノリのよさ」は親戚かもしれない。非常に近い関係にある。「ノリのよさ」を持たない人は「ハマる」こともできないだろう。そのとおり。ぼくはできなかった。
仕事を“部活のノリ”でできる人は最強だと思う。どんな仕事だって,さほど深刻がるほどのものではないのだ。
チャンスの見極め方がわからない?(中略)僕に言わせると,その発想がすでに「ノリの悪さ」を表している。チャンスを見極める目なんて,必要ないのだ。少しでもおもしろいと思ったら,躊躇せずに飛び込む。(p101)
起業して数年の間は,私生活のすべてを捨てた。友達とも連絡を取らず,もちろん大学に行くことも,飲みに行くこともない。会社にベッドを置いて,毎日のように泊まり込む生活だ。誇張でもなんでもなく,睡眠以外の時間はすべて仕事に充てていた。(p110)
いまも昔も,ぼくはお金がほしくて働いているわけではない。自分個人の金銭的な欲望を満たすために働いているわけではない。そんな程度のモチベーションだったら,ここまで忙しく働けないだろう。(p117)
やりがいとは「見つける」ものではなく,自分の手で「つくる」ものだ。そして,そんな仕事であっても,そこのやりがいを見出すことはできるのだ。(中略)マニュアル(前例)どおりにこなすのではなく,もっとうまくできる方法はないかと自分の頭で考える。仮説を立て,実践し,試行錯誤を繰り返す。そんな能動的なプロセスの中で,与えられた仕事は「つくり出す仕事」に変わっていくのだ。(p123)
人はなにかに「没頭」することができたとき,その対象を好きになることができる。(中略)ここで大切なのは順番だ。人は「仕事が好きだから,営業に没頭する」のではない。順番は逆で,「営業に没頭したから,仕事が好きになる」のだ。(中略)つまり,仕事が嫌いだと思っている人は,ただの経験不足なのだ。(p128)
どうすれば没頭することができるのか? 僕の経験から言えるのは,「自分の手でルールをつくること」である。(中略)ルールづくりのポイントは,とにかく「遠くを見ないこと」に尽きる。(p129)
やってもいないうちから「できっこない」と決めつける。自分の可能性にフタをして,物事を悲観的に考える。自分の周りに「できっこない」の塀を築き,周囲の風景を見えなくさせる。だからこそ,次第に「やりたいこと」まで浮かんでこなくなるのだ。(p133)
お金を使って信用を買うことはむずかしい。(p146)
仕事や人生においてラクをすること。それは,掛け算を使うということだ。5+5で10の成果を出すのではなく,5×5で25の成果を出す。(中略)しかし,人は誰しもゼロの状態からスタートする。そしてゼロの自分にいくら掛け算をしても,出てくる答えはゼロのままだ。(中略)掛け算を覚える前に,足し算を覚えよう。他者の力を利用する前に,自分の地力を底上げしよう。(p152)
僕は一度その対象にハマり込んでしまうと,異常なほどに没入してしまう。(中略)なぜそこまでハマるのか,昔は不思議でたまらなかった。でも,おそらくこれは,僕なりの生存戦略だったのだ。なにかに没入することで,死を遠ざける。死について考える時間を,可能な限り減らしていく。(p205)
ネガティブなことを考える人は,ヒマなのだ。(p206)
営業マンの無駄話に付き合わされているとき,あなたは「他人の時間」を生きている。大好きな仲間と飲みにいくとき,あなたは「自分の時間」を生きている。与えられた仕事をやらされているとき,あなたは「他人の時間」を生きている。自ら生み出す仕事に臨んでいるとき,あなたは「自分の時間」を生きている。(p208)
「飽きっぽさ」と「惚れっぽさ」はコインの裏表のような関係にある。すぐに飽きる人は,別のなにかにすぐ惚れる。好奇心むき出しで,さまざまなジャンルにチャレンジできる。(p215)
将来について不安を抱いたり,将来を悲観したことは一度としてない。それは僕がテクノロジーの力を信じているからだ。(p218)
情報を得ることは,未来を知ることである。だからこそ,情報弱者と情報強者の間では,「未来を見る力」に決定的な差が生まれてしまう。情報に鈍感な人が損をするのは当然のことなのだ。(p219)
ツイッターでも,自分と意見の合わない有識者を一定数フォローすること。そして常に自分の頭で情報を精査し,その先にある未来を見極めていこう。(p220)
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