2017年8月2日水曜日

2017.08.02 ブング・ジャム 『筆箱採集帳 増補・新装版』

書名 筆箱採集帳 増補・新装版
著者 ブング・ジャム
写真 鈴木省一
発行所 廣済堂出版
発行年月日 2014.10.20
価格(税別) 1,500円

● ブングジャムとは,きだてたく,他故壁氏,高畑正幸の3人組。この世界ではいずれも有名な人たち。写真は鈴木省一さんが担当。

● 年齢,職業を問わず,いろんな人に,筆箱見せてとお願いして,それについてブングジャムの3人が語っていくという内容。
 増補・新装版ではない,以前の『筆箱採集帳』も読んでいる。というか,見ている。

● 以下に,いくつかの筆箱について高畑正幸文具王が語っているところを転載。
 小学生漢字王・小林逸人さんの筆箱 鉛筆・消しゴム・定規,小学生の筆箱であることは間違いないが,そこからは物に対する執着をほとんど感じない。おそらく彼にとって鉛筆は鉛筆でしかない。しかし同時に,(中略)ただひたすらに内なる知的探求にのめり込んだ人たちに共通する匂いのようなもの,本質的な何かに強烈な指向性を持つ人たちに特有のベクトルを感じる。(p40)
 専門学生・山口冬馬さんの筆箱 大切に使われるべくして生まれたものが使い込まれて風格を持つケースは,紳士の道具にはよく見られることだが,ごく普通の日用品が酷使され続けた結果,持つに至った説得力にもまた,前者とは異なる魅力がある。無関心な信頼の集積が,層を成す漆のように深みを持ち,いつしか魂を持ち始める。(p79)
● そうそうそう,これなんですよ。「ごく普通の日用品が酷使され続けた結果,持つに至った説得力」っていうやつ。
 自分が使っている「ごく普通の日用品」にそうした説得力を与えてやりたい。文具を選ぶんじゃなくて,何気に手に取ったモノ,人からもらったモノを,ガシガシ使っていって,傷だらけになったそのモノが自ずから帯びる説得力。
 そういうモノに囲まれたいんですよ。使いこまれたモンブランのたたずまいも美しいと思うんだけど,同じように使いこまれて,セロテープを巻かれ満身創痍になったPreppyも同じように美しいんですよ。

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