著者 茂木健一郎
発行所 朝日出版社
発行年月日 2014.09.20
価格(税別) 1,300円
● ゾーンというのは,集中とリラックスが両立している状態のことらしいんだけど。自分がその状態になったことがあるだろうかと来し方を思い返してみたけれど,どうもはっきりそうだと思いあたるところはない。
が,子どもの頃にはあったかもしれない。っていうか,あったと思いたいね。
● 以下にいくつか転載。
起業に成功している人の特徴として,あまり世の中や人の意見に左右されていない傾向が見て取れます。(p21)
何かをしている自分と,それを客観的に見ている自分を同時に感じているときは,うまく集中ができているときであるといわれています。(p39)
集中力が高い人というと,何かひとつのことをずっとやり続けるというイメージがあるかもしれません。でも実はそうではなく,意外とみんなが見落としがちなのは,あれこれと多様なことをパッパッと切り替えてやれる人は動的な集中力が高いということなのです。(p56)
お祭り人間になるということがとても大事であって,それは集中力を高めるトレーニングになっていきます。(p65)
心の中で引っかかったものはやったほうがいいということです。何かに集中していると,あるときふとやるべきことが頭に浮かんでくることがあります。(中略)このように思い出したことというのは,大抵の場合優先順位が高くなるべきものだったりします。(p74)
今のビジネス書やセミナーでは,「これをやると何ができるか」あるいは「キャリアアップするためにはこうすべき」といった,いわゆる「意識高い系」が良しとされることが多いわけですが,脳科学の視点からいえばそれはフローという理論から最も遠く,実際,そういう意識過剰ぎみの人が何かに集中しても何も成し遂げられないケースがとても多いと感じます。(p91)
私の友人である堀江貴文さんは,非常に集中力が高い男だといつも感じています。彼の集中力は,ひとつのことを職人のように集中するというレベルではなく,現代の分散型情報処理を必要とする社会においてもひとつひとつのことに達人的に集中することができるというものです。たとえば,原稿をスマホのフリック入力であっという間に書いてしまう,さらに印象的だったのが記者会見のときでした。(中略)堀江さんは記者会見をしながら,片手にスマホを持ってメールを打ったりしていました。(p102)
先生や生徒など他者とのやりとりが頻繁にある学校の教室や予備校はかえってフローに入りにくい環境です。フローというのは,自分のリズムでやらなければいけない。だから,勉強ができる人というのは独学が好きな人が多い傾向にあります。(p106)
集中できない人の意外な盲点は何かというと,それは,「本質的なことは何か」についての認識が低いということです。(中略)世の中には枝葉末節なことが多くて,そこにとりとめのない時間を費やしてしまっている人が非常に多いのです。(p112)
教授といっても授業はせずに,ただひたすら研究だけに打ち込むことができる機関だったのですが,アインシュタインはこのプリンストンでは,あまり成果を上げられませんでした。私はここに,「集中する」ことの本質が隠れている気がしています。大学の研究にしても,授業をやったり,学生としゃべったりするという,そういうちょっとした雑務が大事だということです。(p120)
何よりも大事なことは,ひとつの仕事が終わったときに振り返らないということ。そして名残惜しく思わないということです。(p135)
歩く必要のないエスカレーターで,何かひとつだけと決めてアイデアを練ってメモを取るということもよくやっています。(p140)
集中する気持ちがあるから,集中する行動が起こせるのではなく,集中する行動があるから,集中する心がつくられるということです。(p144)
集中力について考えたとき,意外と見逃されているのは,読書の効用だという気がしています。(中略)本当のは主に文字なので,抽象的な情報をとらえ,イメージで再現していく読書ではかなりの集中力が必要とされるからです。(p152)
美術館に行って作品を観ていると,体を動かしていないのにもかかわらず,疲労感を覚えます。(中略)なぜ,それほど疲れるのかといえば,やはり作品が一個一個の持っているメッセージを読み取ろうと脳が集中するからです。(p155)
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