2017年11月17日金曜日

2017.11.17 朝日新聞社編 『文士の肖像 一一〇人』

書名 文士の肖像 一一〇人
編者 朝日新聞社
発行所 朝日新聞社
発行年月日 1990.06.20
価格(税別) 4,757円

● カメラマンは木村伊兵衛,土門拳,濱谷浩,秋山庄太郎の4人。錚々たる大家。

● 最も面白いと思ったのは,土門さんが撮った土井晩翠と正宗白鳥の写真。下からアングルを取っていて,鼻毛まで写っている。

● 巻末で安岡章太郎さんによる「文士の顔」と題する本書の解説が載っている。
 四十過ぎたら,自分の顔に責任を問われるものだとしても,その顔は時代によって確かに違ってくるのである。 政治家や実業家とは明らかに異なった何かが,文士の風貌には共通してあるようだ。 それはみずからの人間としての弱さを,閉ざしも隠しもしていないということであろうか。
● とあるんだけれども,今となってはどうだろうか。いや,当時からどうだったろうか。
 職人は言うに及ばず,今なら,ホームレスの中にもこの種の風貌を見つけることができるのではないか。ホームレスと「文士」は意外に近しいのかもしれないが,職業が風貌を作るというのはあまりなくなっているように思う。

● 業界を通貫する一流の顔というのはあるのかもしれない。が,ぼくには見分けがつかない。
 ただ,おしなべていうと,異形の顔というか怪異な風貌というか,そういうものと一流は相性がいいんじゃないかと思っている。

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