著者 伊集院 静
発行所 集英社
発行年月日 2011.04.10
価格(税別) 1,600円
● 色川武大(阿佐田哲也)の作品は若い頃にあらかた読んだ。それで作った色川像と本書で描かれている「先生」はだいぶ違う。作者と作品は別なのだから,それがあたりまえ。が,読み方の問題もあるか。
松山の“懐かしい建物”が出てくる。映画館の小屋。「銀映」のことだろうか。もちろん,今はない。
● 以下に上手いなと思ったところを転載。
「ボクはやめました。今の小説を読んであらためてよくわかりました。才能がまるっきりありません」「才能なんて必要なのかな」 Iさんは言って首をかしげた。「一番大事なところじゃないんですかね」「そうかな・・・・・・ボクはそうは思わないな。必要なのは腕力やクソ力じゃないのかな」(p289)
街は用もないのに屯ろしている者の数の多さで,懐の深さがわかる。(p294)
十五分,三十分先に起こることを推測し,それを絵図に描き,描いた絵に惜しげもなく金を放り込む。遊びと言ってしまえばそれまでだが,普段人が為している行為もこれと大差はないような気もする。(p350)
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