著者 松浦弥太郎
発行所 朝日新聞出版
発行年月日 2018.10.30
価格(税別) 1,200円
● 「知的生産の技術」とか「思考の技法」を説いているのではない。仕事に臨むときの心構えを説いている。
核は,常識に流されるな,ということだろうか。または,最短距離を行くな,ということ。
いまは「考えなくてすむ時代」です。なんでも調べられるから,自分で考えて答えを見つける前に,わかってしまったりします。僕にはこれが,とてもおそろしく,自分をそこなうものに思えるのです。(p7)これに関しては,今も昔も変わらないと思っている。ネットがない頃でも調べ魔はいた。ネットがあっても検索の手間を惜しむ人はたくさんいる。
いつだって「考えなくてすむ時代」なのだ。
「今日,誰をどうやって助けようか?」(中略)僕の場合,この思考を支えているのは,「親切とまごころと工夫」です。(p26)
「その指示よりも,実はもっと良い方法があるかもしれない」という視点が抜け落ちると,自分が成長できなくなります。いつまでたっても仕事が「自分ごと」にならず,「やらされているひとごと」のままでは,やがてモチベーションもなくなっていくでしょう。(p32)
道具というのは,時には鉛筆を使ったりパソコンを使ったりと,使い分けてこそ役に立ちます。(p33)
みんながいいと思って定着している,一見なんの問題もなさそうな部分を疑ったり否定したりするのですから,メインストリームからはずれたものの見方をすることになります。(p39)ぼくは,問題がないなら変える必要はないのではなくて,変えてはいけないと思っていた。じつは今でもそう思っている。
部分は部分だけで存在しているのではなく,常にシステムの一部だ。問題がないのに部分を変えると,全体がギクシャクしてくる。コンサルタントに頼んでもたいてい上手くいかないのは,そのあたりに理由がある。
自分で見つけて自発的にやる仕事は,人に頼まれてやる仕事とは比べ物にならないほど工夫の余地がありますし,自分をひとまわり大きくしてくれます。そして,その仕事を探すには,愛情不足を探すのが一番なのです。(p46)
自分のやっていることは,みんなが現実逃避できるものかどうか?(p51)
「社会貢献=いま,社会で起きている大きな問題」というとらえ方には,首をかしげることが多いのです。社会貢献とは,もっと身近なものではないでしょうか?(p56)
いくらAIが発達したとしても,人をしあわせにできるのは人だけです。いかにして人々に愛と希望をを与えるか。愛と希望を提供するために,自分が何を生み出していけるのか。(p57)
考えることは,希望である。僕はそう信じていて,だからこそ日々,考えつづけています。(中略)考えたあとは,必ずそれを自分の外に出し,表現すると決めています。(中略)しかし注意したいのは,そのアウトプットが単なる情報の伝達になっていないかどうかです。(中略)アウトプットの一番の目的は,人と関わることです。それならアウトプットするべきものは,感動ではないでしょうか。(p64)
注意しなければいけないのは,無関心。斜に構えた冷めた態度でいると,感動のアンテナが折れてしまいます。子どものように喜んだり,驚いたり,感情豊かに暮らすことが,決して古びない感動をアウトプットしていく一番の方法です。(p69)
僕は,自分自身が相手になりきることにしています。たとえば五〇代の男声である僕が,二〇代の女性になり一〇代の少年になり,おばあさんにも子どもにもなり,時には外国人にもなります。(p74)
SNSを見て「大学生にいま人気なのはこれか」と知るよりも,街に出かけて行って,実際に大学生を観察したほうが,はるかに大きな学びとなります。(p76)
「こんなの恥ずかしい」とか「つまらなそう」と思ったとしても,それがいま,世の中に受け入れられていることならば,何かしら理由があります。「どうせつまらないだろう」と疑ったり,「くだらない」と決めつけたりする前に,話題のもの,はやっているものは自分で試そうと,僕は決めています。(p77)
相手の問題をどれだけ考えられるかが,自分を他の人と差別化する方法ではないかと僕は思っているのです。(p86)
もしも成長したいなら,全勝してはいけません。競争において,勝つことだけにこだわっていると,小さくまとまってしまいます。(中略)負けるということはプライドが許さなかったり,苦しかったりつらかったりしますが,負けることでしか学べないことが数多くある。(p99)
会社にいる時間が八時間だとしたら,八時間,精いっぱい働かなくてもいい。僕はそう思っています。八時間ずっと全力投球するのは「考えない働き方」のような気がするのです。(p104)
生産性にこだわり過ぎると,小さくまとまってしまう。僕はそんな気がしてなりません。(p134)
これからお伝えする一二の言葉は,僕の成功哲学であり,ゴールデンルールです。誰かの何かを引用した,尊敬する人に教えてもらったなど,そういうことはまったくない,自分自身のオリジナルで考え出したものです。(p141)
人は,自分の知らないことには興味をもちません。逆に言うと,人は自分が良く知っていることには興味をもちます。(p153)
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