2019年6月17日月曜日

2019.06.17 櫻井秀勲 『ツキを呼ぶ「空気」の読み方』

書名 ツキを呼ぶ「空気」の読み方
著者 櫻井秀勲
発行所 海竜社
発行年月日 2007.08.14
価格(税別) 1,300円

● 今,若者の憧れは堀江貴文さんや田端信太郎さんや箕輪厚介さんなのだと思う。旧来の秩序や常識など歯牙にもかけるなとハッパをかける。前提としてインターネットがある。
 対して,本書の著者の櫻井秀勲さんはその旧来型のやり手。本書執筆時で76歳。

● おそらく,両者はトレードオフではなく,かなり近い位置にいるように思える。登山口は違っても頂上は同じという,ありふれた比喩になってしまうのだが。

● 以下に転載。
 合コンの席上で,相手がOKサインを出しているにもかかわらず,それに気づかないのは,圧倒的に男が多いのです。女性が男の前でケータイを出してくれば「あなたのメアドが知りたいの」というサインだ,と考えていいのに,それを見送ってしまう。(p31)
 パソコン派を超えて,すでにケータイ派が最大グループを形づくっているのですから,早くそれになじまないと,ユビキタス社会で落ちこぼれになってしまうでしょう。落ちこぼれとは「取り残される」というだけでなく,「落ち零れ」といって,おちぶれる,見る影も形もなくなる,という意味です。こうなっては,運命の逆転もありえません。(p36)
 あるとき私は偶然,田中角栄元首相と,民主党代表だった前原誠司のそばにいたことがあります。もちろん時代が違いますが,このとき私は田中元首相のそばにいながら,電気に触れているような熱い気分でした。これに対し前原元代表は,私の隣に立っていながら,それと気づかないほど,無味無臭,つまりただの人だったのです。時代というのは,常に華のある人物によってつくられるという,不思議な決まりがあるようです。(p39)
 家の中の空気がよどむほど,怖いことはありません。(中略)アメリカ人が比較的陽気だというのは,塀というものをつくらず,隣家と芝生がつづいているという環境と強い関連があるのです。(p44)
 いつの世でも,老人は若い人に伝統や教えを残したい,という強い気持ちをもっています。私の例でいえば,本棚の何千だか何万冊だかの蔵書を,私の死後活かして使ってくれる人はいないだろうか,と考えています。上智大学の名誉教授で英語学の権威の渡部昇一さんは七十七歳ですが,つい最近,書斎と書庫を新築しました。蔵書は十五万冊といいますから,これはもう図書館並みですが,このためにいまからローンを数億円組んだそうです。(中略)老人だからといって,古いだけではないことがわかる,好例だと思うのです。(p48)
 あなた自身にも,あなたの匂いの付いた空気が漂っています。(p49)
 会社でも家庭でも,狭いところにいた頃のほうががんばれた,という人は意外に多いものです。(中略)大きなオフィスを構えてしまうと,空気は薄くなり,それと共に,幸運の確率も減るような気がしてなりません。(中略)小さな場に一緒にいるほうが,考えがわかり合うものです。つまりは,「場の空気が読めない」といったケースは,起こりようがないのです。これも実際例ですが,大きな家を構えている家庭にかぎって,息子や娘が警察のご厄介になる率が高いのです。(p52)
 私は基本的には「次の時代の風は裏通りに吹いている」という考え方の持ち主です。かつての高利貸しは銀行という巨大産業に発達しましたし,裏通りの怪しげな生計美容医院は,いまや堂々と都心のビルに進出してきました。(p59)
 これまでの日本は,常に西風を受けてきました。文化は常に西風に乗ってきたのです。仏教もそうでしたし,キリスト教もそうでした。(中略)戦後の一時期,日本の東に当たるアメリカが脚光を浴びましたが,大きく捉えるならば,西に目を向けるほうが正しいでしょう。(p59)
 かくいう私もその一人で,一時期は,株式投資その他で,莫大な損失を出してしまいました。(中略)なぜ庶民は,そんな危ない橋を渡って,マンションや土地を買うのでしょうか? 大勢という熱気です。(中略)ババを引かない唯一のコツは,誰か一人でも専門家が「危ない」といい出したら,それを信じることです。(中略)みんなで渡ることだけはやめるべきです。(p62)
 ギリギリに出社する人は,ミーティングでもギリギリです。旅行でもなんでもギリギリになるのです。それは「間に合えばいい」という考え方から,抜け切れないからです。しかし,それでは空気になじめません。なじめないどころか,せっかくの空気をかき乱す存在になってしまい,人生を誤ってしまう,とさえいえるのです。(p65)
 みんなで盛り上がっているのに,一人だけ冷めていたら,仲間外れになって当然ですし,コミュニケーションのできない人間として,職場でもいやがられるのです。(p70)
 夜話す声は低くしたほうが,どんな場合でも効果が上がるのです。(p76)
 区切りを多くして,「こんな説明でよろしいでしょうか」「ご質問があればお願いします」といった低姿勢が必要になってくるのです。学生に対しても,あるいは会議の出席者に対しても「わからないことは,あとで聞いてくれ」といった強引な態度では,反感をもたれるだけです。(p87)
 私はマスコミの世界で何十年も生きてきましたが,どうもおとなしい人は,うまくいかないように感じます。(中略)おとなしい人は,人と会うのが苦手なので,そこで遅れをとってしまうのです。その結果徐々にですが,うつが溜ってしまうのです。(p89)
 一日に一回以上「ありがとう」という感謝の言葉を口に出しているかどうか,よく考えてみましょう。出していなければ,今日から口にしてみることです。劇的に,周囲となじめるようになります。(p90)
 女性が作家や詩人,画家,ミュージシャンに心を捉えられるのは,これらの仕事に携わる人々は,基本的に女性の心と同一であり,ロマン性をもっているからです。もう一歩進めれば,これらの芸術家には涙があります。(中略)だから人間的な幅を広げるには芸術は欠かせません。(p96)
 非社交的な人ほど,外見を変えるのをイヤがります。(中略)こうしているうちに,他人の空気を読むことに鈍感になるのです。(中略)「生き方下手」と呼ばれる人は,往々にしてこのタイプです。これらの人たちは,実はとても大勢います。(p99)
 リッツ・カールトンといえば,世界最高のサービスを誇るホテルとして鳴り響いていますが,ここではセンスとか能力を,社員んは教えないといわれます。もともとそれらをもっている社員を採用するのだそうです。ここは非常に重要です。(p101)
 最初は序々にゆっくり,真ん中は複雑に展開,そして最後はすばやく集結,という形にすると,観客に非常に快いものです。(p103)
 日本だけではありませんが,どこの国にも闇の権力があります。この権力は「金」生命線であって,それ以外のモラルはありません。トップが豪邸に住んでいる企業などは注意しなければなりません。(p117)
 家の中が冷えきっていると,一刻も早く床に入って寝てしまおうと,非常に消極的な生き方になってしまうのです。(p128)
 心のあたたかい人は,必ず足を使うものです。これだけは間違いありません。(p137)
 収入の差が一人ひとり,大きく異なる場では,自分は中流以上だな,と思ったら,絶対,相手のプライドを傷つけてはいけません。(p143)
 最近では,メジャーに行くプロ野球選手がふえましたが,記者会見でウケる選手の会見は,下手ではあっても英語を使っています。これはどの国でも,自分の国の言葉を使ってくれるのがうれしいからで,たったそれだけで,国民の言葉を鷲づかみにできるのです。(p148)
 そんなに険悪化して,なにがトクになるのでしょうか?(p174)
 実は学習効果のない人たちは,下流ほど多いのです。それはなぜなのか? いつも仕事が浮動しているからです。(p178)
 先方の怒りをときには,まず誠意とスピードであって,品物ではありません。(p180)
 女性は「ゆっくり長く」というものに関しては,とても寛容です。セックスでもそうですが,そんなにイケメンで男のもちものがよくても,あわただしく短い時間ですませるような男は拒否するのです。この女性の性格を知っておくことは,男の人生を大きく左右するだけに,とても重要です。なんによらず,ゆっくり長い時間かかってする男には,好感をもってくれるのです。(p183)
 彼女の言動に左右されるようでは,空気を読めませんし,彼女もイライラするだけです。彼女の低気圧を追い払うような高気圧こそ,男に必要な空気といえるでしょう。(p190)
 後年,心理学を勉強していくうちに,視線の効果の大きさに驚くようになりましたが,勉強ができなくても,黒板や先生の顔をじっと見ているだけで,3の成績はとれるのだ,ということを知ったのです。(中略)このことはとても重要です。(中略)恐らく目の力は,自分が考えているより,よほどの霊力があるのだと思います。頭脳をしぼるより,目力を加えるほうがたやすいし,効果は絶大だと思うのです。(p192)
 仲間の空気に浸かったほうが,実は人生を強い意志で渡れるのです。(p197)

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