著者 若宮正子
発行所 中公新書ラクレ
発行年月日 2019.05.10
価格(税別) 820円
● 独“学”のススメといっても,ここでいう学はかなり広範囲。勉強とか読書とか,そういったものよりだいぶ広い。“高齢者版 何でもやってみよう”だね。
若宮さんは,昔の言葉でいえばEQがかなり高い人で,周囲に対して壁を造らない。まずこれがあってこそ,独“学”も成りたつ。
● 以下に転載。
言葉がわからなくても,必死でなにかを訴えれば伝わるということ,交通手段がないからといって諦めずに,他の方法をよく探せば見つかるということを覚え,そしてなんといっても,この旅では度胸が身につきました。(中略)こんなふうに,新しいところに身一つで飛び込んでも,意外となんとかなるということを知ってほしい。(p33)
「言葉が通じなくて気まずい思いをするくらいなら,朝食抜きでもいいか」なんて,諦めないで。(p62)
海外に何度もいっていると,日本人は英語に対する独特のメンタリティーがあると感じます。なにしろ,そばに日本人がいるだけで,とたんに英語がしゃべれなくなってしまうのだから。眼の前の相手よりも,まわりの日本人がどう思うかが気になってしまうのですね。(p63)
大阪のひとは外国のひとから見ると,他の地域の日本人よりも,比較的声が大きく,身振り手振りがはげしく,人なつこいと感じられるようです。この性質ってすごく英語を話すのに向いていますよね。(p65)
無理矢理自分を追い込まなければやらないようなことは,そもそもあなたがやるべきことではないのかもしれません。(p68)
どんな選手にも一律できつい基礎トレーニングを課すというのは,なにも考えていない証拠。(p69)
無駄な努力を尊ぶのは,やめましょう。それは結局,「竹槍精神」を引きずっているのです。竹槍では近代兵器に勝てません。精神力だけで突破できるという考えは,危険だと思います。(p70)
そんなに激しく変化していると,「先憂」しても「後楽」がくるかわかりません。(p107)
会話はキャッチボールだから楽しいんです。ボールを受けてばかりではつまらない。(p135)
教えられたり,教えたり。そういう関係があることは,人生のセーフティーネットになります。だからあんまり,差し伸べられた手を突っぱねないほうがいい。(p149)
独居でも,にぎやかに暮らす。(p151)
じつは,高齢者が介護をするのは,介護される側にとっても嬉しいこと。(p167)
ネイティブのひとは,正しい文法だのスペルだのって,そんなに気にしていません。つまり,英語なんてその程度でいいんですよ。(中略)「英語なんてその程度でいい」と思うひとが増えれば,日本は大きく変わります。(茂木健一郎 p182)
20代以降になると,100歳を超えようが,脳の働きはほぼ変わらない。逆に「歳だから」「シニアはシニアらしく」と枠にはめることで,そのひとの可能性を抑圧してしまう。(茂木 p193)
人間の脳は,「今ここ」を楽しむことによって最も活性化されます。(茂木 p194)
先日亡くなったスティーブン・ホーキング博士も,常に宇宙のことを考えて幸福に生きていた。ケンブリッジで何回かお見かけしたけれど,いつもご機嫌で電動車椅子をぶんぶん走らせていましたよ。(茂木 p195)
AI(人工知能)が進化すると,事務的な作業は機械がやってくれるようになります。そうなった時,人間が担うのは,コミュニケーションや創造的なこと。つまり「遊び」に近くなってくるでしょう。好奇心や冒険心といった,「子ども心」を忘れないひとが社会で求められるようになる。(茂木 p196)
アメリカの,特にシリコンバレーのカルチャーは,性別といった属性と関係なく,そのひと自身を評価する。つまり「らしさ」の壁が,イノベーションの「敵」になることをわかっているからでしょう。(茂木 p201)
他人のためになにかしている時の脳活動は,自分が嬉しい時と同じなんです。逆に,人間の脳にとって最大の危機は「自分が必要な人間とは思えなくなる」こと。(茂木 p202)

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