2020年7月23日木曜日

2020.07.23 和田秀樹 『精神科医が教える すごい勉強法』

書名 精神科医が教える すごい勉強法
著者 和田秀樹
発行所 総合法令出版
発行年月日 2018.04.24
価格(税別) 1,300円

● 受験生の頃,合格体験記を読むのが好きだった。そういう癖って,爺になっても持続するものなのだな。勉強法の本を読むのもいいけれど,もっと大事なのは勉強じたいをすることだよね。

● 以下に転載。
 頭がいいとか悪いということは,多分に「思い込み」だと私は思っています。(中略)学歴の高い人であれ低い人であれ,言葉が使えて計算もできる時点で,知能の差などほとんどないと言っていいでしょう。(p16)
 その社長は,「うちの会社なら,逆上がりができない子に,できるように教えられなかった指導者はクビですね」と言っていました。つまり,どんな子でも逆上がりができる「やり方」はある。(中略)できるかできないかは,子どもの運動能力ではなく,そのやり方を自分で見出すか,あるいは人に教わる機会があるかどうかの問題だというのです。人が「できない」と思っていることの9割ぐらいは,コツややり方を教わればできるようになるものだと思います。(p20)
 子ども個人に合わせた勉強をさせるべきなのに,塾の勉強のほうに子どもを合わせようとして,結果的に子どもを潰してしまうケースはよく見られます。(p24)
 ビジネス雑誌を読んでいるのは,ビジネスパーソンのおよそ「30人に1人」に過ぎません。言い換えれば,ビジネス雑誌を読むだけで,「30人に1人」になれるということです。つまり,ビジネスパーソンの「上位3%」に入ろうと思えば,何の特別な努力もなしに入れてしまうのです。(p26)
 どんなに頭がいいと言われる人でも,勉強のやり方を習っている人にはまず勝てないはずです。それなのに多くの人がやり方を求めようとしないのは,やり方を学ぶことによって成功者になるという経験をしていないからです。(中略)やり方を学ぶことによって成功したという経験をすることで,何かに行きづまったときにやり方を求めるという人生観を持つことができます。これが勉強法を学ぶ最大のメリットなのです。(p27)
 意識したいのは,時間あたりの効率を上げることです。(p34)
 大人の勉強における最大の敵は,復習をしないことです。(p47)
 うつ病の患者さんが病気を治すためには休養が必要です。しかし,寝ていれば治るというわけではありません。スポーツでも趣味でも,好きなことを楽しんでやる時間を持つことが必要なのです。(p57)
 ひとつのことに対して,いろいろな考え方ができる人こそが,「頭のいい人」だと私は思っています。その「頭のよさ」を磨くために私がしているのは,いろいろな人の考え方に触れることです。(p76)
 異性にモテるために勉強するというのは,一見くだらない動機のようにも思えますが,実際にウンチクで異性にモテようと思うなら,相当なレベルの知識が必要になります。(p81)
 英語力やITリテラシーは勉強するための道具にすぎません。それらがあれば,確かに勉強しやすくなるのですが,道具を磨くための勉強にひたすら熱中した挙句,その道具をどこにも使えない,というのは最悪のパターンです。(p83)
 目的は何でもいいのですが,「とにかくバカになりたくない」という危機感を持つということは,重要なポイントだと思います。(中略)人間に生まれた以上は,賢くなりたいと思うのは大事なことだと思います。(p83)
 頭のよさは,一度獲得したらずっと続くものではなく,それを維持,発展させる努力をしなければ失われていくものです。(p85)
 「いまの自分にはまだまだ知らないことがある」という,「知的謙虚」な思考が勉強の原動力になります。(中略)昨日よりも今日の自分のほうが賢いと言える人,学歴などに関係なく「昔の自分はバカだった」と思える人が,真に「頭のいい人」だと言えます。(p87)
 私が何より残念だと思うのは,勉強法の本を読んでも,それを実際に試す人がきわめて少ないということです。(p89)
 日本の金持ちの多くが,この世でもっとも金のかかる趣味に熱中しています。(中略)その趣味とは「貯金」です。この趣味を持つと,ありとあらゆることにケチになります。(p102)
 この国において唯一のチャンスとも言えるポイントは,「金持ちの子どもが勉強しない」ことだと私は思っています。(中略)世界の先進国の中で,その国の代表的な名門大学に小学校からエスカレーターで行ける国は日本だけです。そして,金持ちほど嬉々としてそういう学校に子どもを入れています。(中略)勉強して「頭のいい人間」になれば,頭の悪い「金持ちのボンボン」をだます側に回ることもできます。少なくとも,だまされて搾取される側にはならずに済むと言えるでしょう。(p105)
 手術を執刀する医師や病院にとって,もっともプレッシャーのかかる患者は,多額のお礼を積んできた患者などではなく,いろいろ調べていて,失敗したら確実に訴えそうな患者です。(p109)
 イギリスでは1980年代に,これからは誰もが計算機を使う時代になるからと,学校で計算を教えずに応用問題ばかりを解かせる教育に転換しました。すると,深刻な学力低下が起こり,応用問題がますますできなくなったということがありました。(p113)
 あたりまえじゃないかと思うのだが,現在進行形の渦中にいると,そうしたあたりまえのことが見えなくなるものなのだろうね。
 今後は,(AIによって)ありとあらゆる職業において,「できる人」と「できない人」の差が大きくなるはずです。(p115)
 いまは生産に対して消費が足りない時代です。そんな「豊作貧乏」のような状況にあって必要性が高いのは,生産性を上げる能力よりも,消費者目線で「こういうものがあったらいいな」と考えつく能力です。(中略)そこで重要なことは,勉強している人としていない人では,「これが欲しい」と要求するもののレベルが違うということです。(p123)
 外国に逃れても勝ち残れる能力とは,語学力のことではありません。(中略)AIによる完全な自動翻訳機の実用化も間近になったいま,英会話を必死に習うよりは,別のことを勉強するほうが,有用性は高いと言えます。(中略)誰でも情報を手軽に得られるこの時代,与えられた情報や知識そのものは,あまり価値を持たなくなっています。価値があるのは,その情報をもとに推論を立てる能力です。(p127)
 「誰でも情報を手軽に得られるこの時代」のわりに,情報を持っている人はそんなにいないし,情報と情報を組み合わせるとか,関連づけるとか,そういうことをする人が増えたようにも思えない。スマホはゲームとSNSにしか使わない。何がどう変わろうと,バカはバカのまんまで,ひたすらボーッとしている。何か,そういう感じ。
 「極論に耳を貸さない」という姿勢は必ずしも合理的なものではなく,極論を踏まえることで,推論を立てやすくなることもあります。(p129)
 インターネットで調べればすぐにわかるような情報でも,アウトプットのしかたしだいでは価値のある知識になります。それができるのが「頭のいい人」です。(中略)その単純にインプットしたものを出すのではなく,それをどう組み合わせるかを考えることが重要なのです。(p134)
 年間30冊ほども本を書くという生活をしていると,「これは本のネタに使えるだろうか」とつねに考えながら情報に接することになります。(中略)そういう意識がないと,ただ受け身の姿勢で情報を得るだけになってしまい,せっかくインプットした情報がうまくつながらず,つかえないまま消えていくことになるのだと思います。アウトプットを意識しながらインプットできるかどうかが,情報の「加工力」をつけるためのポイントです。(p136)
 好きなことを趣味で追求する人は昔からいましたが,昔といまの一番大きな違いは,それを外に発信して評価が得られる可能性があるということです。(中略)熱心に本を読んで知識を増やすことだけが勉強ではなく,アウトプットすることも勉強です。むしろ現代ではその方が大切なくらいです。(p143)
 知識を得るための本に関しては,大事なところや,自分にとって必要な情報だけを抽出して読めばいいのです。(中略)本はほとんどが1000円前後,高いものでも数千円で手に入るものです。1冊のうち数ページでも自分にとって使える部分があれば,それで十分に元はとれます。むしろ,全部読み切ろうとする時間的なコストのほうがバカになりません。(p164)
 一定以上の情報量を記憶すると,覚えたことがつながって飛躍的に理解が進む,記憶の「臨界点」のようなものがあるのではないかと思っています。(中略)単なる「物知り」からエキスパートのレベルに達する臨界点があって,そこまで蓄積されると記憶が活きてくるのです。だとすれば,自分には理解力がないと思っている人は,もしかしたら記憶の量が足りないだけかもしれません。(p165)
 事前にミス対策をしておかないために,知識量は足りているのに合格できないということが起こります。ミス対策として,どんなことができるかを考えられるのが賢い受験者であり,他人から指示された通りに勉強していれば合格できると思っているのは,残念ながら「バカな受験者」です。たとえそれで合格できたとしても,ミス対策を考えていない人は,その後の人生でもミスを犯す可能性が高いと言えるでしょう。(p185)

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