2018年8月24日金曜日

2018.08.24 小山薫堂・佐藤可士和 『SWITCH INTERVIEW 達人達 小山薫堂×佐藤可士和』

書名 SWITCH INTERVIEW 達人達 小山薫堂×佐藤可士和
著者 小山薫堂
   佐藤可士和
発行所 ぴあ
発行年月日 2014.03.15
価格(税別) 800円

● NHKの番組で放送された内容を文字に起こしたもの。読みやすい。二人の仕事観,デザイン観,企画観のエッセンスがわかりやすく語られている。
 もちろん,だからといって,明日から彼らと同じ仕事ができるようになるわけではまったくないが。

● 以下に転載。
 「そもそも観光ってなんだろう?」と考えたときに,僕は,無理に人に来てもらわなくてもいいんじゃないかなと思ったんですよ。それよりも,実際にそこに暮らしている人たちが,まず幸せになるということのほうが先ではないだろうかと。だから,逆に現状で熊本を訪れている観光客の目で現地を見てもらうことによって,実際に住んでいる自分たちでは,もう当たり前すぎてわからないことを,まずは発掘してもらおうと考えました。(小山 p17)
 まずは自分たちが持っているものの素晴らしさを再認識して,それから外に向けて発信することが大事だと思ったんです。(小山 p18)
 目立っているところだけに拍手をするのではなくて,「そこまで気づいてくれたんだ」というところに拍手を送らないと,なかなか組織全体にはメッセージが伝わらないだろうなと思います。(小山 p24)
 企画者ひとりがいくら頑張っても,物事を動かすことなんてできないんですよね。やっぱり,現場にいる一人ひとりがそれぞれ頑張ろうと思わなければ,何も変わらないと思うんです。(小山 p34)
 僕の根底にあるものは,やっぱり「慮る(おもんぱかる)」ことですね。そうです。「慮る」-つまり「思いを量る」ということですね。自分ではない,いろんな人のことを思い量るということが,すべての原点だと思っています。(小山 p37)
 人に生まれ持った使命があるように,「もの」にも,あるいは「場所」にも使命がある。それぞれ何らかの使命があるにもかかわらず,それを100%まっとうしないまま,消えていってしまうのはもったいない,と思うんですよね。(小山 p43)
 「ブランド」とは「感情移入」だと思っています。つまり,自分のものになるというか,自分の身内になるという感覚が大事だと。(小山 p49)
 人が喜ぶことをしてあげて,自分が不幸になる人っていないじゃないですか。やっぱり誰かが喜んでいる姿を見るのはうれしいし,それはなぜかと考えると,自分が存在する意味を見つけた証なんじゃないかと思うんですよね。(小山 p43)
 やっぱり信者こそが最高の宣伝マンなわけじゃないですか。自分で「俺,いいでしょ? 俺の企画,よくない?」って言っても誰も聞いてくれないけれど,「あの人,いいよ。あの人の企画,いいよ」って他の人にほめてもらうことによって,そう思ってくれる人が増えていくっていう。そこがポイントなのかと思いますね。(小山 p55)
 プロジェクトにとっては,まずは「結果」を出すことがもっとも大切だと思います。(中略)プロジェクトの成否にかかわるところで生計を立てている人がいる以上,まずは結果に対して責任を取らなければいけないでしょう。(小山 p59)
 よっぽどじゃないと,メモをとらないですね。メモをとっても,あとで見返した覚えがないので。(佐藤 p73)
 僕はメモはとらないけど,妄想するのは好きなわけですよ。だから,アイデア帳というか,ネタ帳みたいなものはつけていますね。(中略)何かをやろうとするとき,僕はまずノートを買うんですよ。形から入るタイプなので。(小山 p73)
 こういうノートを用意すると,それを埋めなきゃっていうふうになっていきませんか? で,だんだん内容が薄くなっていく・・・・・・。(中略)僕も何度かそういうことをやってみて・・・・・・なんかそのプロセスみたいなものが,素敵な感じで残るんじゃないかと思うじゃないですか? で,残った試しがない。(佐藤 p75)
 空間の整理というのは,そのまま情報の整理とつながってくる話なので。(中略)多くの仕事を抱えていても,こうやっていつも仕事場をシンプルな状態に保っておくことで,頭がこちゃごちゃにならない。頭のなかをスッキリとした状態に保つには,まずは空間から整備するほうがいいと思うんです。(佐藤 p80)
 基本的には決定権のある人-それは必ずしも社長とか会長じゃなくてもいいんですけど,そのプロジェクトのジャッジをできる人と仕事をする,ということを基本方針にしています。(中略)「そもそも誰のために何をしているか」ということがわからなくなっちゃうじゃないですか。(中略)SAMURAIは少数精鋭でやっている事務所だから,そういう調整に追われてしまうと,まったくクリエイティブな仕事ができなくなっちゃうんですよね。(佐藤 p87)
 例えばティッシュなんかは,一般的なナショナルブランドの商品だと,ロゴが大きく目立つデザインになっていますよね。(中略)しかしそうすると,パッケージがどんどん広告化していく。でも,家の中に入ったら,そういうものは必要ないんじゃないかと。(佐藤 p91)
 答えは最初から,相手のなかにあると思っているんです。(中略)その本質をつかんで,バシッと取り出す。それがブランドをよりよくするアイデアにつながると考えているんです。(佐藤 p104)
 「答えは相手のなかにある」というのは,すごくうまい言い方ですね。「あなたのなかに答えがあるんです」っていうのは,経営者にとっても印象のいい言葉だし,実際に刺さるだろうなって思います。(小山 p105)
 経営者の方々って,みなさんすごく面白いことを考えているんですよね。一般的な人の見方ではなく,ずば抜けておもしろいっていうか,ちょっと独特な視点をみなさん持っているんです。(佐藤 p106)
 答えは相手のなかにあると思っているから,アイデアがでてこないんじゃないか,という不安は全然ないんです。(佐藤 p106)
 日本の強みというものを考えると,すごくデリケートな感性というのが挙げられると思います。言い方を換えると日本人は「感性の解像度」が,すごく高い。例えば,料理の味ひとつとってもそうでしょう。(佐藤 p121)
 アイデアというのは,つまり化学反応だと思うんです。(中略)すでにある知識と知識を掛け合わせることで,きちんと新しいものが生まれるんです。(小山 p123)

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