著者 弘兼憲史
発行所 海竜社
発行年月日 2017.07.28
価格(税別) 1,000円
● 御用とお急ぎの方は「まえがき」の4頁だけ読めば,本書を読んだことになる。1時間もあれば本文も読めるだろうけど。
早く完全引退して,好きなこと,やりたいことをして過ごしたいと思っていたのだけど,それは間違いだったかも。全き自由を得てしまうと,“やりたい”や“好き”は死んでしまうのかも。
● ぼくには“やりたい”も“好き”もあって,できる範囲でやってきた。引退すれば思いっきりそれらに時間を注げると思ってたんだけどね。どうもことはそう単純ではないのかもなぁ。
働ける間は働くのがいいのかも。定年後に働く場を見つけられるかどうかの問題はあるけれど。
どうもわからなくなってきた。で,そういうわからない状態にいるのが,じつはボケないためには一番いいのかもしれないね。
● 以下にいくつか転載。
老後を豊かに暮らすことが本当に楽しいのか。ひとりで老後を過ごすことは不幸なのか。人間にプライドは必要なのか。家族団欒はいいことなのか。頭のいい人が幸せになれるのか。個人の権利が優先される社会っていいことなのか。世界のトップレベルの長寿国ということは喜んでいいことなのか。(p4)
楽しく生きるには,ひと言で言うなら「好かれる人(老人)」になることです。(p5)
病院のベッドは,そこで治療して社会に復帰していく人のためにあるもので,高齢者の棺ではありません。(p14)
「汚い」「お金がかかる」「役に立たない」。残酷な表現ですが,これがかつての老人の三大要素と一般的に言われてきました。(中略)「小奇麗な老人」で,「お金を稼ぐ老人」で,「役に立つ老人」でいたほうが社会のためになるでしょうし,自分でも楽しいと思うのです。(p18)
まず60歳,70歳になったら,暮らしのレベルを下げていくのは必要なことだと思います。でもそれは無理に努力しなくても,年齢に従って自然に落ちていくものなのです。(p30)
いいじゃないですか,下流で。下流のどこが悪いのでしょうか。(p32)
楽しいことも辛いことも,嬉しいことも悲しいことも適度に混ざっているほうが人生は面白いのです。(p36)
偉そうな老人,話が面白くない老人,自慢話が多い老人は嫌われます。自分の話ならまだしも,親戚が東京大学出身だとか偉い官僚だとか,誰もそんな話は聞きたくありません。(p44)
「さからわず,いつもにこにこ,従わず」,いい言葉ですね。この姿勢を貫き,毎日の生活を愉しむべきです。そうすれば,少なくとも嫌われずにすみます。(p45)
ケチな老人は嫌われますが,貯め込んだ貯蓄を使えずにいる人たちがまだまだいます。その理由は,自分があとどれだけ生きるかわからないからです。(中略)いつ死ぬかわらかないからこそ,少し楽観的な気持ちになって「この人生を楽しもう」と考えてみませんか。(p49)
もともと男性には,自分の価値観にこだわって人間関係を軽視しがちな傾向がありますから,周りの目を気にしなくなると,孤立して内向するのです。こういう老人が好かれるはずはありません。(p60)
後ろに軍事力があって,初めて対等な交渉が出来るというのが世界の常識ですから,軍備を持たない国は小規模な島国を除いてほとんどないのです。(p65)
老齢になってまで,あえて大勢の人間とわかり合う必要も,ぶつかる必要もないと思います。(中略)自分と考え方の違う人たちがいるという事実を認めてさえいれば,それでいいのではないでしょうか。その事実を認めない人がいるから紛争が起きるのです。(p66)
人生は出会いと別れを繰り返すものですから,自然に関係が希薄になっていったのなら,無理して親友でいようとする必要はないと思います。(p75)
「無常」とは仏教用語で,この世に常なるものはないという意味です。この世のすべてのものは日々刻々と変わっていて,人間だって例外ではありません。「永遠の愛」でるとか,「変わらぬ友情」などというものは,人間の錯覚にすぎません。この真理を忘れないようにしたほうがいいでしょう。(p77)
よほどの信頼関係があっても,「俺が金を出すからみんな協力してくれ」という経営は難しいのです。(中略)最終的に信用できるのは自分ひとりだと思っておいたほうがいいでしょう。寂しいけれど,これが現実です。(p79)
とくに異性に対しては,自分の価値観や考えを話すことはあったとしても,わかり合いたいとか,多くを共有したいなどと思わないほうがいいでしょう。もし,相手にそんなことを伝えてしまったら,暑苦しいオヤジだと思われて,敬遠されるだけです。人は人,自分は自分なのです。(p84)
やはり夫婦というものはどこまでいっても2本の平行線のような関係にあるのが,理想的なのではないかということです。2本の線はいったん交われば,あとは離れていく一方です。同じ距離感を保ってお互いの領域には踏み込まないことが,夫婦関係を長く続ける秘訣だと思います。(p86)
女性は友人をおしゃべりして情報を共有することが最高のストレス解消になるのです。(中略)男性が1日に発する単語数は平均7000語。一方,女性は2万語。(中略)女性が6000語以下しか話せないと脳はストレスを感じやすくなるそうです。(p88)
男が仕事を離れて家庭に軸足を置くということは,妻が自分の人生の中で築いてきた社会に夫が割り込んでくるということなのです。(中略)妻もずっと我慢をしながら家庭を支えてきたのですから,ここでさらに我慢を重ねるようなことになれば,「私の世界から出ていってほしい」と思います。(p91)
親でも兄弟でもなく,他人と共同生活をしているのですから,食事を作ったもらったら「ありがとう」というのが当然です。共同生活の相手がなんらかの理由で食事を作れないときは,作ってあげるというのが普通の関係です。(p92)
雑用とされているような仕事でも工夫しだいで楽しみ方を見いだせます。(中略)楽しもうとするかしないかで同じ時間が活きるんですね。「究極のプラス思考」の根本原理は,とても簡単なひとつのことだけなんです。同じ時間を過ごすのなら,楽しまなければ損。それだけです。(p128)
私の高校の恩師が,いよいよ亡くなるという時に,家族に話した言葉があります。私は,その言葉に感銘を受けました。それは,「これから一生に一度しかない死ぬということを体験できるので,ワクワクしている」という言葉です。(p129)
人間というのは,よくできたもので,戦争や大地震などのあまりにも強烈な被害を受けたら,トラウマにはならないそうです。(p132)
いつか観た映画のなかに,「運命は従うものを潮に乗せ,拒むものを曳いてゆく」というセリフがありましたが,私も基本的には流れには逆らわず生きてきました。(p134)
こだわりや決めつけは生きる幅を狭くしてしまい,柔軟性のない堅い人間を作り出します。(p134)
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