2019年5月19日日曜日

2019.05.19 池上 彰 『日本がもし100人の村だったら』

書名 日本がもし100人の村だったら
著者 池上 彰
発行所 マガジンハウス
発行年月日 2009.11.26
価格(税別) 952円

● 2001年に出た『世界がもし100人の村だったら』が大ヒットし,以後,類書がたくさん出たようなのだが,本書もその流れの中にあるものだろうか。
 たしかに,100人の村だったらという措定を置くと,マクロの理解がしやすくなる。自分のようなバカでもわかったような気分になれるというか。

● 64人は大人で13人は子供,23人はお年寄り。そのうち75歳以上は11人。2009年の時点でそうなので,2050年には子供は9人に減り,お年寄りは38人に増える。
 今の年金制度はそのままでは維持できるわけないね。国だって打ち出の小槌を持っているわけじゃないんだから,さてどうなっていくんだろうか。その頃,自分はたぶん生きていないと思うけど。

● 個人の金融資産は1,400兆円あるらしい。その8割を50歳以上の人が持っている。年寄りはお金を使わないから,これではお金がどこかに眠っちゃって,金回りが悪くなるのは当然か。
 金融政策の有効性はかなり減殺されるだろう。ひょっとして,デフレの一因は年寄りがお金を握っていることにある?

● 本書が出版されたのは,まさに民主党政権が誕生した直後。池上さんと池田香代子さんの“あとがき対談”で,「動くということを実感した今,10年後が楽しみです」と池上さんが語っているのだが,動けばいいというものではないことが明らかになった。
 バブル崩壊後,失われた20年などと言われたが,あれは時代の転換期に世界に先駆けて日本が対応した例だった。先駆的体験でもあって,“失われた”をあまり強調すべきではないように思う。
 しかし,民主党政権時代に失ったものは,まさに失っただけで,何の見返りもない。民主党の面々は政治家のなかの言論人的な色合いが濃かったと思うのだが,言論人に政治はできないことが明らかになった。国民はさすがに学習していると思う。

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