著者 東海林さだお
発行所 文藝春秋
発行年月日 2006.06.15
価格(税別) 1,095円
● 「富士そば」の全メニューを制覇する試み。ぼくも「富士そば」にはお世話になっているので,楽しく読んだよ,と。
著者の文章の滋味を味わうものでしょうね。
● 以下にいくつか転載。
もうほとんど座る店に変えているんです。(中略)座るほうが売り上げがあがるんですよ。一店で一日七万円から多いところは一〇万。(中略)女性客が増えて売り上げも上がってきた。(丹道夫 p128)
立ち食いだとアイドルタイムにお客さんが入らない。(中略)十一時半から二時頃までをピーク,三時から四時をアイドルタイムというんです。(座るようにしたら9女性やサラリーマンがどんどん入ってくる。(丹道夫 p129)
うちのかき揚げはその辺のフランス料理よりうまいと思ってる。(丹道夫 p132)
かつ丼セットは,ざるそばかかけそばにかつ丼でしょう。こっちでそばを茹でてる間にかつ丼ができてこなくちゃいけない。いかに両方のタイミングを合わせて出すか,ものすごく研究した。(丹道夫 p134)
立ち食いそば屋はどんな高級そば屋よりもおいしいダシがとれるんですよ。うちは一日,二,三回とるんですけど,一回に四百人分つくる。お米だって一合や二合炊くより,たくさん炊くほうがおいしいでしょう。しかも,そのダシを一晩寝かせて使ってる。そばのダシって,そってすぐのは香りがいいんです。あんまり香りがいいのは寝かせてないと思ってください。ごまかされないように。(丹道夫 p135)
あんまり熱いと本当のダシの味が抜けちゃうんですね。それに,熱すぎるとどんどん煮詰まってダシが本当の味じゃなくなっちゃう。これが一番の強敵なのね。(丹道夫 p138)
日本人はそばを食べなくなるんじゃないかと思う。(丹道夫 p148)
母音語である日本語が一番自然に近くて,人間にストレスを与えない言語だし,言語というのは民族の魂と一緒なんですよ。(黒川伊保子 p268)
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