編著者 美崎栄一郎
発行所 日本経済新聞出版社
発行年月日 2012.07.25
価格(税別) 1,500円
● 著者自身の花王での化粧品開発と,次の7人の事例を紹介しながら,アイデアの出し方を解説。
柳井秀政:カルビー
馬場保仁:DNA
渡邊将志:松井証券
風間茂明:サントリー
工藤 元:ワコール
清水昌浩:アクセンチュア
藤原 亨:クリナップ
● アイデアを生むのは才能ではない。では何か。懸命に考えること。自分の業務に関する経験と知識を充実させておくこと。仕事に対する熱意と情熱。そういうものだ。
つまり,才能じゃないから楽しててもアイデアは出るというわけではない。むしろ逆だろう。
アイデアを出すことは難しいことではありません。考え続ける意思「ねがい」が,一番よいアイデアを出すための私の秘訣です。(p38)
アイデアを出すために必要なこととして,こういった知識や経験を自分の中に貯めておくことが大事で,これは才能ではありません。日々の努力なのです。(p58)
ゲームは嗜好品であり,実需品ではないから,極論すれば,それがなくても生きていけるのです。だからこそ,嗜好品としてお客様に“こだわり”をもっていただくことが必要で,それは制作者の“熱意”“思い入れ”が生み出すものです(p75)というわけだから,この本を読んだからといって,アイデアが湧きだすようになるわけではない。技法という言葉はこの本にも出てくるんだけど,技法は方便でもあって,その前にしておかなくちゃいけないことが膨大にあるわけだ。
● 本書は,アイデアを出すための指南書としてよりも,「プロジェクトX」的な楽しみ方をするためのもの。スラッと読めるようになってるし。
読んで,ああ面白かった,と,それで終わっていい。それで終わらせた方がいい。
● 「消費者は,今あるものに対してよい悪いと批評することはできるけれど,ないものを具体的にイメージすることは難しい」(p143)。にもかかわらず,「お客様の要望を聞きまくる」(p161)。
それはムダではないか。そうではない。なぜなら,それが「ひらめきのアイデアが生まれやすい状況をつくる」(p161)からだ。
● その他,引用。
途中,どれほど大きな苦労を乗り越えてきたとしても,最終的に導いた結論と直接関係のない内容は思い切って削ってしまうことが,アイデアをより光らせるためには必須なのです。(p132)
アパレルファッション業界では,トレンドを生み出すシステムというものが確立しているのです。 トレンドを生み出すシステムの中で,まず決められるのが,流行色です。 今年の,あるいは今シーズンの流行色というのは,自然に消費者に選ばれたり流行ったりするのではありません。実際は,国際流行色委員会(インターカラー)という組織が決めています。(p144)
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