著者 西川 治
発行所 PHP
発行年月日 2014.03.04
価格(税別) 1,300円
● 写真と文章で世界の食を紹介。調理法も材料も彩りもじつに多彩。世界は広いと感じさせる。
● 次の文章が出てくる。
ベトナム人の金銭的な収入はお世辞にも豊かではない。だが,ここに並んでいる料理屋天秤棒を担いで売りにくる食べ物の豊穣さは,うらやましくもある。それに比べ今の東京の若者たちの単純な食生活を見ていると,暗澹たる気持ちになる。(p30)自分もそうだと思う。ぼくの食生活はファストフードで満たされているから。
● 昔,貧しさがそこここに溢れていた日本の農村では,今からではあり得ないような贅沢なものを食べていたことも記憶している。天然のワラビ,ゼンマイ,山菜。純度百パーセントのヨモギ餅。たけのこ。手作りの味噌,納豆。
ただし,その昔と今のファストフードのどちらがいいかと問われれば,圧倒的に今の方がいいと答える。ぼく一個はそう思っている。
● 日本人が世界に冠たる少食民俗であることも関係しているかもしれない。食が細いから,そんなには食べられない。
韓国人と比べても日本人は少食だ。だいたい,日本人は口で食べるが,韓国人は全身で喰う。韓国の料理は旨いから,それはそれでわかる気もするんだけど,アメリカ人ときたら,不味いものを大量に喰う。あれは訳がわからない。どうなっているんだ?
● 経済と食の多彩さは比例しない。これは当然な話で,人は食だけで生きているのではない。
昔,高橋義孝さんが,錠剤を一粒飲めばすむようになればいいのに,と書いているのを読んだことがあって,それが妙に記憶に残っている。高橋義孝さんは食通でもあると思うんだけど,食にも飽きる人がいる。
そういうのもありなのが豊かということだと思う。
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