著者 美月あきこ
発行所 祥伝社
発行年月日 2009.12.10
価格(税別) 1,400円
● 「ファーストクラスに乗る人」というタイトルは,いくつかのパクリを産んだと思う(本書が最初に使ったのかどうか,わからないけど)。吸引力がある。いつかはファーストクラスに乗ってみたいっていう人,多いだろうからなぁ。ぼくも一度は乗ってみたいけどね。
で,ファーストクラスに乗れる人の「シンプルな習慣」を教えてくれるっていうんだから。
● 社会人としてのマナーを説いている。えっ,知らなかったよ,っていうのはあんまりない。たいていは誰でも知っていることだと思う。
ただし,ほとんどできてないわ,オレ,っていうね。
● 最も印象に残った文章。
ある搭乗の際に私がサービス担当となった某社の社長さんは,別のフライトで再会した途端,「美月さん,その後はどうなったの?」と声をかけてくださいました。前回,私が話した内容を覚えていてくださったのです。その方の記憶力に驚き,やはり身体がふるえるような感動を覚えました。自分を個として接してくださった証だからです。(p180)サービスを提供する側にしてみれば,これは本当に嬉しかったに違いない。自分が個として扱ってもらえたっていうことが。逆に,個として接してもらえることが,いかに少ないかということだね。
CAに限らない。ホテルマンも書店員もコンサートホールの案内スタッフも吉野家のアルバイト店員も,個として接してもらうことなんかほとんどないだろうな。彼や彼女の役割しか,お客は見ていない。
しかも,それは自分に対するサーバント的なものだと思っている。自分を優位に立たせている。お客が話しかけてくるときは,要求かクレームだろう。モチベーションを維持するのも難しいのではないかと思う。
● この文章を読めただけで,収穫としては充分かな。こちらも名前を憶えるとか,個として興味を持つとか,心がけなければならないことが色々あることに気づかせてもらえたからね。
っていうかね,これも知ってはいたよね。今までしてこなかっただけで。では,これからできるのかってことなんだけど,正直,自信はないかな。ファーストクラスには乗れないね。
● 顔相の話も出てくる。ぼくの印象ではね,異形がいいですね。伸していく人って,異形ですよ。言い換えると,幼児が見たら泣きだすような怖い顔。
いわゆる福相というのがあるけれども(耳が大きいとか),福相じゃないとダメかっていうとさ,そんなことはないと思うんですよ。
ただね,この部分,うちの豚児に読ませてやりたい。目を切れ長にとか,鼻を高くとか,整形させろと騒いでいるバカ者なんで。そんなことをしたらせっかくお金持ちになれる相なのにもったいないだろ,って。
● ファーストクラスに乗る人は「じつにこまめにメモを取る」そうだ。「手のひらに載るような小さなメモ帳やカード,あるいは手帳をいつも持って」いる。ビジネスやエコノミーでは,「ペンを貸して」と頼まれることが多いんだけども,ファーストではそれはない。
手帳もシンプルなものが多いらしい。「分厚い多機能タイプ」(システム手帳のことだろう)はあまり見ないという。ぼく,分厚くはないけれどもシステム手帳派。
● メモでいうと,著者のおすすめは,今泉浩晃氏考案のマンダラート。先日読んだ藤原敬之さんもこれをA4で使っているらしいから,企画とか発想とかにわりと使われているんでしょうかねぇ。
● その他,いくつか転載。
ファーストクラスを利用する人たちの多くは,平素は時間に追われ、分刻みで仕事をしています。しかし,ファーストクラスであくせくと働く方を,私は見たことがありません。(p33)
ファーストクラスのお客様は,とにかく姿勢がいいのです。そして目線の角度が高いのが特徴です。(p145)
人の気持ちにお金を使う(p196)
ファーストクラスのお客様は,お好きなものをお好きなタイミングで,いくらでも召し上がれます。それでも,たとえ機内で提供されるお料理が高級割烹とのコラボレーションであっても,それほど召し上がりません。ワインのリクエストもあまりありません。 本当に,手間のかからないお客様です。(p206)● 事実を見ているんじゃなくて,自分が見たいものを見ているっていうところはあるかもね。
ただし,ファーストクラスにも「困ったちゃん」はいるのであって,それは章末の「コラム」で紹介されている。
0 件のコメント:
コメントを投稿