著者 桜井 進
発行所 河出書房新社
発行年月日 2014.11.30
価格(税別) 1,300円
● 「14歳の世渡り術」シリーズの1冊。和算についての解説が豊富。吉田光由の『塵劫記』から始まって,関孝和『発微算法』,建部賢弘『研幾算法』『綴術算経』と続く。建部賢弘は円周率も追求していたんですね。
ゼロだった知識がわずかに増えた。
● 小数点が発明されたのはわずか400年前,ということも教えてもらった。
対数が天文学の要請(膨大な計算を何とかできないか)から生まれたこと。集合が論理回路の言葉であること。
そういうことも初めて知りました。
● 「教科書に書かれていない数学の最大の問題点は,数学がいかにつくられてきたかという時間の流れについて,語られていないことです」(p9)とある。
心から賛成。数学の授業では唐突にいろんなものが出てくる。順列,三角関数,対数,微積分。いきなり定義や例題に入って,それが生まれてきた時代背景は語られなかった。
微積分は何の要請があって登場したのか。どういうことに使われたのか。それがわかると,ぼくでももう少し理解できたかもしれない。少なくとも,理解しようという気になったかもしれない。
● ぼくは高校で早々に数学から脱落した。次のような事情だったらしい。
中学の数学は,問題と解法まで含めて暗記ができるのです。量的にも,全部覚えてしまえば,なんとかなる程度。すなわち,考えなくてもいいのです。 国語・算数(数学)・理科・社会,主要科目のなかで,「考えること」が先鋭化しているのが,実は数学という学問です。だからこそ高校になると,考えなければ解けなくなります。出題範囲も広がり,量も多くなるので暗記では済ませられません。そこで「暗記」から「考える」に転換しなければいけないのに,暗記で済ませようとするとしっぺ返しを食らってしまうのです。(p187)なるほどと思った。でも,ぼくは暗記すらしようとしなかったな。もう見た瞬間,これダメって感じだった。
● 逆の人もいるはずだ。中学校までの数学はつまらなかったけれども,高校になったら数学が面白くなった,という人。
じつはうちのヨメがそうなんですよ。わけのわからないことを言うヤツだなぁと思ってたんだけど,彼女は「考える」人だったのか。
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