2020年6月24日水曜日

2020.06.24 櫻井秀勲 『80歳からの人生の楽しみ方』

書名 80歳からの人生の楽しみ方
著者 櫻井秀勲
発行所 きずな出版
発行年月日 2020.03.04
価格(税別) 1,500円

● タイトルが凄い。80歳なんだからそろそろ準備しよう,じゃないんですよ。80歳になってなお不楽是如何ということね。
 著者は89歳にして文字どおりの生涯現役を遂行中の人。努力や心がけでなれるものなのか,もって生まれたDNAによるのか。

● 以下に転載。
 「80歳」になったときには,もう人生で驚くようなことはないだろうと思っていました。それまでに,たいていのことは経験していたつもりでしたから,よくも悪くも,こうして人生は静かに終わっていくのだろうと思っていたのです。(中略)けれども,「そんなことはなかった」というのが,いまの私の結論です。(p3)
 何もしなくても時間は過ぎていきます。逆にいえば,何もしても時間は過ぎていきます。どうせ時間が過ぎていくのだとしたら,何かをしたほうがトクじゃないですか? 少なくとも,何もしないより,はるかに面白そうです。(p12)
 まずは,「おじいちゃん」「おばあちゃん」になることをやめましょう。(中略)年をとると,勝手に「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれることがありますが,それには返事をしないことです。(p25)
 80歳になったからといって,80歳らしくすることはないのです。何歳になっても,自分らしくあることが一番です。(p26)
 80歳になったら,文明の利器には頼るべきです。(中略)私の補聴器や白内障の手術も,やはり今の時代だからこそ,こんなに簡単に享受できたのだと思うのです。(p29)
 自分が「年をとったな」と思ってしまうと,どうしても若い人に対して遠慮する気落ちが芽生えます。(中略)何より,相手と真剣につき合うことです。(中略)80歳になったら,誰にも遠慮はいりません。自分を出すことと,自分を通すことは,また別の話です。自分をただ引っ込めてしまうのは,つまらないと私は思うのです。(p37)
 私は,たとえ相手が自分より地位も年齢も下の人であっても,言葉を換えないことが大事だと思っています。私は女性に対して,自分のことを「俺」「オレ」という男性は信用しません。(p39)
 私にとって「働くこと」は,生きることそのものです。たぶん,死ぬ直前まで働いていると思いますし,死の床となるベッドでも原稿を書けなければ,生きていても仕方がないとさえ思うほどです。(p41)
 ケチになるのはソンです。仲間から爪はじきされる危険性があるからです。(p50)
 仕事が少なくなっても,手帳を持つことです。この手帳を毎日見ているだけでも,その一年は鈍くならないと思います。これも毎年,繰り返すことです。(p50)
 年老いていくというのは,力を失っていくことだと,私は思っています。ここでいう「力」とは,生命力と経済力です。(中略)これらの力を失っていくことが老いるということであるなら,この生命力と経済力さえあれば,老いとは無縁の生活が送れるということではないでしょうか。(中略)必要最小限のお金は,いざとなったら自分で稼ぐことができる,という自信を持てるかどうかが大事だと思います。(p53)
 いま注意するべきことがあるとしたら,詐欺に遭わないことです。たいていの人が,「自分は絶対にだまされたりしない」と思っているのです。そして実際にだまされてしまった人も,「自分だけはこんな詐欺には引っかからない」と思っていたのです。(p59)
 人生100年とすれば,あと20年は残っている計算になりますが,10年後も同じくらい健康とは限りません。(中略)いまできることは,先延ばしにしないことです。(p62)
 健康を維持するには,自分の「適量」を知り,それを超えないことです。(p64)
 自慢にはなりませんが,私は何年も定期的な健康診断を受けてもいなければ,人間ドッグにも入っていません。(p67)
 私は特に,健康のための運動というのは,若いときからしていません。(中略)体相学では,人の人生を若年,中年,老年の三つに分けて,それぞれの年代で,鍛えるべき(大事な)場所を示しています。若年とは最近では30代までの時代ですが,そのあいだは「頭」を鍛えるのです。(中略)60歳までの中年においては「内臓」を鍛えることが肝心です。(中略)そして60歳以降の老年は,どこを鍛えるかといえば,「腰」と「脚」なのです。(p71)
 嫌いなものを食べる必要はありません。ここまで生きてきて,いまさら好き嫌いを克服する必要はないわけです。(p74)
 松本清張という作家は,超天才でありながら,努力することを死ぬまでやめなかった人だといえるでしょう。いや天才とは努力家なのです。(p83)
 エネルギーというのは「情熱」です。(中略)年齢がいけばいくほど,情熱を持つことが大事になっていくと思うのです。(p83)
 80代は1000万人以上いるのです。ところが現実には,ほとんど街や仕事場で見かけません。つまりは,家に閉じこもってしまっています。そこで外に出た場合には,自分以外の,そこにいる人たちはすべて,年下の若い友人となるわけです。(中略)そんな人たちとの話は,聞いているだけで楽しくなり,若返ります。そういう人たちと,どこい行けば出会えるのかといえば,まずは表に飛び出すことです。(p88)
 人間というのは,じつはそれほど大きな違いがあるわけではありません。だからレベルの高い人と会っても,オドオドする必要もないのです。(p90)
 私は相手のことを聞くより,むしろ自分自身のことを話したほうが,若い人は関心を示すように思います。それに,じつはそれこそが,年長者が若い人たちにしてあげられることです。(中略)成功談ばかり話す大人からは,若い人たちは去っていく気がします。それよりも,笑われるくらいの失敗談を話すほうが喜ばれるし,ついてくるような気がします。(p97)
 人と向き合うときには,姿勢はまっすぐに正す,ということを心がけましょう。そのほうが,若々しく,堂々と見えます。(p98)
 叱るときは本気で叱る。本気ですることは,相手の心にも響き,伝わるものだと私は思っています。(p103)
 チャンスとは「好機」です。「それをするのに,最高のタイミング」ということですが,年をとると,何をするにしても「遅すぎる」と考えてしまいます。でも,それこそチャンスを逃しています。(中略)やるとなったら,いまです。それがチャンスをつかむということです。(p104)
 若い人たちは「未来に起こることは過去にも起こっている」と考えています。それを知っているのは,私たち高齢者です。彼らはその経験と知識を欲しがっているのです。(p110)
 80歳近くになると,「この先のこと」というのを考えられなくなります。いや,考えたくないのです。(中略)けれども,そう思ってしまうから,何もないということがあります。(p112)
 これは櫻井流の生き方ですが,「7年先まで元気でいる」と信じてしまうのです。(中略)7年先の自分から,いまの自分を見るわけです。「そんなことではダメだ」といいたくなるようであれば,今日からでも,すぐに改善しなければなりません。(p117)
 私自身でいえば,82歳できずな出版を起ち上げましたが,それをしたことによって,「まだまだ死ねない」と強く思うわけです。(中略)自分に責任を課したことで,寿命が伸びているように思うのです。(p119)
 いまは誰もがステージに上がれる時代であり,それを積極的にしている人が成功する,としています。(中略)生きていて,一番つまらないのは,傍観者になることです。(中略)いまからでも遅くありません。自分が主役になるのです。(p122)
 日常では,外の景色を眺めるよりも,自分自身が,その外の景色の中に立つほうがいいのです。つまり主役になれるからです。(p124)
 原稿は速く書くよりも,締切を守ることが肝心です。(中略)プロとアマの差は,締切を守れるかどうかだ,という人もいるくらいです。(中略)若いときには,一気呵成にがんばることも可能ですが,80代になると,そういうことは難しくなります。というより,そういう無理はしないことです。私は,自分が健康なのは,毎日のリズムを崩さないからではないか,と思っています。(中略)何事も,張り切りすぎては,あとが続きません。(p126)
 何かしたいことがあるなら,それを口に出してみることです。これは長年の私の習慣ですが,不思議なことに実現性が非常に高くなります。(p132)
 ここで気づかなくてはならないのは,あなたにはまだ他人に喜ばれる能力がある,ということです。(中略)ぜひ,積極的に身体を動かしていきましょう。(p139)
 時間の使い方を見直したいときには,「相手に合わせすぎない」ということが大切です。(p141)
 私は,相手を待たせないことが大事だと思っています。(中略)そういう注意を毎日,重ねることが大事です。(p152)
 人生は,まだまだ,これからです。死んでるヒマはない,というのが,80歳を過ぎた人間の正しい生き方だと,私は思っています。(p156)
 どんなことでも,「学ぶ」というのは,若さを保つ一番の特効薬です。(p159)
 不思議なことに,60代,70代の人たちよりも,80代,90代の人のほうが元気なような気がします。言葉はおかしいですが,病の峠を越えて,健康の平野に立つことができたからでしょうか?(p165)
 80代,90代でも元気な人は,これからの時代の手本となる人です。(中略)「年をとったら,あの人のようになりたい」若い人たちが,そんなふうに思える人が多ければ多いほど,若い人たちも元気になります。(p165)
 人間というのは,その立場になってみると,案外できてしまう,ということがあります。(中略)80歳だからといって,心配することはありません。やりたいことがあるなら,それをやるだけのエネルギーは,あるはずです。そのエネルギーがあるからこそ,それをやってみたいと思うわけです。(p184)
 ただ寿命を全うするだけでは,私は申し訳ないような気がするのです。せめて,寿命プラス1割増しの分を生きて,その1割増し分で,社会やお世話になった人たちに恩返しをしたいと思っているのです。つまり,80歳からの人生というのは,すべて恩返しです。(p195)

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