著者 高城 剛
発行所 宝島社
発行年月日 2012.02.06
価格(税別) 1,400円
● 最初に次のような文章を読まされることになる。
2011年3月11日に突如襲った東日本大震災,そしていまも放射能を放出し続ける福島第一原子力発電所の事故は,まるで「なかったこと」のような日常が,いまの日本にはある。(p2)
このままで平穏に日々が過ぎるとはとても思えない。昨年露呈した大王製紙やオリンパスの問題は,企業統治と株式公開の在り方に疑問を投げかけるものだったが,それ以前に株式公開企業とは思えない杜撰さは,日本の「なかったこと」にする力によるものなのだろう。(p3)
なんのことはない,日本は復興どころか,一層激しく破滅への道をたどり続けているのだ。 東日本大震災によってそのスピードが確実に速まったのにもかかわらず,いまが平穏な日常に戻ったかのように見えているとしたら,僕は非常に危険だと思う。「ただちに影響がない」からとあきらめてしまったが,国民がそう思うように仕向けた既得権益者の術数にはまってしまったかのどちらかだ。(p16)
原発事故は起こるべくして起こってしまった人災だ。立地上,構造上の問題を抱えていたにもかかわらず,この地震の多い日本であのような原発を稼働させたままにしていたのは人為的な判断ミスだ。(p32)こうしたあまりできの良くないアジテーションを越えて次に進むと,著者の世界をフンフンと言いながら読み進めることができる。
● とはいえ,さほどに強烈な主張があるわけでもないようだ。すでにどこかで読んだか聞いたかしたことがらが多いようではある。
ただ,現状を変えようよというわけだから,若い人にはアピールするところもあるのじゃないかと思う。軽挙妄動するなよ,と付け加えたいのでもあるが。
0 件のコメント:
コメントを投稿