書名 板谷式つまみ食いダイエット
著者 ゲッツ板谷
発行所 角川書店
発行年月日 2011.08.31
価格(税別) 1,200円
● 5年前にたまたま彼の紀行文の1冊を読んだら,これが面白いのなんの。その他の紀行文やエッセイ集を次々に読んでいった。たぶん,あらかた読んだと思う。
なんかこの人,ハズレがない。お見事。でも,この行き方だと量産はできないよな。
● が,圧倒的に驚いたのは『ワルボロ』だった。ピカレスク・ロマンというのか悪漢小説というのか。青春小説でもある。息をつかせぬスリリングなストーリーの展開。背景にはプラトニックな恋愛が彩りになってて。登場人物のひとり一人が魅力的。
この種の小説で第一に指を屈すべきは,阿佐田哲也の『麻雀放浪記』だろう。ぼくは麻雀には詳しくなくて,ルールもあまりよく知らないんだけど,そんなことはこの小説を読むのに何の障害にもならない。っていうか,そんなものを吹き飛ばすほどに面白かった。
吉川英治の『三国志』もここに加えていいかもしれない。
そして,ゲッツ板谷の『ワルボロ』をぼくらは読めることになった。
● ところが,先に「あらかた読んだ」と言ったんだけど,じつは『ワルボロ』の続編『メタボロ』『ズタボロ』をまだ読んでいない。何やってんだ,オレ。
この種の小説は文学賞には縁がない。こういうものにカスリもしない文学賞って何なんだとは思うんだけど,これは言っても仕方のないことだからね。
● 特にエッセイ集についてだけれど,タイトルが秀逸(っていうのも変か)。“情熱チャンジャリータ”とか“妄想シャーマンタンク”とか“直感サバンナ”とかね。別に内容を表しているわけじゃないしね。っていうか,そもそも何かの意味を持つような語じゃないもんな。
● そのゲッツさんも7年前に脳出血を患い,以後,やや生産性が落ちているかもしれない。死んでもおかしくなかったようだからね,それも当然。
煙草もやめて,ダイエットもして,健康指向。これまた,そうなるしかないものだろう。
● それでも,それを本書のような抱腹絶倒の読みものに仕立ててくれるわけだね。
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