2017年9月13日水曜日

2017.09.13 松浦弥太郎 『「自分らしさ」はいらない』

書名 「自分らしさ」はいらない
著者 松浦弥太郎
発行所 講談社
発行年月日 2017.01.25
価格(税別) 1,300円

● 本書で説かれていることをひと言で要約すれば,自分らしさ(と自分が考えるところのもの)に捕らわれるな,ということ。
 そのうえで,「心で考える」「想像力と感受性を働かせる」こと(p34)が重要だよ,と。

● 以下にいくつか転載。
 「何かを始めたいなら,『自分らしさ』など捨てたほうがいい」 このルールを発見した時,ぼくは自由になりました。(p3)
 ずっと休業していたのに,ある時点でぱちんとスイッチを切り替えるように,心で考えられるようになる人もいます。そういう人はどんどん伸びていくし,これまでつかってなかった能力が一気に吹き出すようです。「そのスイッチとは,なんだろう?」 僕なりに考えた答えは,プライドを捨てること。(p35)
 意思決定する際の「核」はおそらく,情報を理性で分析する性質を持つ,頭の中にはないのでしょう。感受性や洞察力などを備えた心の中にこそ,意思決定の「核」があるのです。(p40)
 根っこには愛情が必要です。感受性や想像力から生まれたものだとしても,愛情を伴わない行動は,相手に届かなくなります。また,(中略)愛情がなければ感受性も想像力も働かないものです。(p47)
 僕はメディアでコンテンツを作ったり,こうして文章を書いたりしているわけですが,絶えず注意しているのは,「教えてあげよう」あるいは「このメッセージを伝えよう」と思わないこと。そう思った途端,何一つ成し遂げられず,すべて無駄になるような気がしています。(p54)
 頭だけで考えて,いくら斬新なこと,面白いことを発信しようとしても,既存のメディアよりも優れたことはなかなか出てきません。メディアや起業は頭をつかうプロフェッショナルが集まり,アイデアを送り出すシステムを持っているのですから,同じやり方を一人でやっても,なかなか難しいものです。しかし,心の働きであれば,常に一対一の試合となります。プレイヤーその人の心のあり方が問われます。(p55)
 さんざん雑誌を作り,今もメディアをやっていて実感するのは,「人はまったく見慣れない初めてのものに対して,一切,興味を持たない」ということ。なぜなら経験値がないから,解釈しようがないのです。(中略)人は,自分がよく知っているものをもっと知りたい気持ちが強いから。まったく知らない新しいことを知るよりも,よく知っていることのなかの新しさを知りたいのです。(p58)
 世の中のみんなの欲しいものや困りごとと,自分自身の欲しいものや困りごとは,イコールではありません。世の中の求めているものは,自分の感覚の角度の外にあることのほうが多いはずです。(p67)
 長く残っている会社は,「自分らしさの更新」をしています。馬具づくりからスタートしたエルメスが,「自社らしさ」にこだわって鞍や鐙だけつくっていたら,今の一流メゾンでいられたでしょうか? 答えは明白です。(p85)
 変化のスピードに対応する訓練として最適だと思い,自分プロジェクトとして僕が取り組んでいるのは,「一瞬で慣れる」ということ。その状況,その環境,その場所に,すぐに慣れること。時間をかけて馴染んでいくのではなく,スタートしてすぐに慣れることを自分に課しています。(p85)
 自分らしさを捨てること。素直でまっさらな自分になれば,いろんなことを受け入れ,いろんなことを猛スピードで学べ,一瞬で慣れることができるでしょう。(p88)
 読む人がどう捉えるか,どう受け取るのかを想像して書く。誰も傷つけないように,誰も悲しまないように,注意して書く。その答えをどんどん自分で突き詰めていくとふと思ったことがあります。「結局、僕は,自分が愛している人のために文章を書いているんだな」読んでくれるのが知らない人で,不特定多数の相手だとしても,僕はその人たちのことを愛しています。愛している人に対してどう書くかをいつも心で考えています。(p126)
 僕たちはなんとなく,「冷静沈着なのが頭で,自由気ままなのが心」というとらえかたをしがちですが,うまくいっていない兆候に敏感なのは,心のほうです。(p135)
 僕は前向きな自己否定を続けているので,いつもトライアル&エラーです。人より失敗の数は多いけれど,それだけトライしている証拠なので,構わないと思っています。(p143)
 「人事異動はくじ引きでいい」 僕がメンターにしている経営者が,ある時,こうおっしゃっていました。(中略)彼はこんな話もしてくれたのです。「能力のある人というのは,何でもできるんです。一流の羊飼いとして暮らしてきた人を草原から連れてきて会社の社長にしても,本当に一流の羊飼いなら,なんとかこなしてしまうものだよ」(p143)
 僕が尊敬してやまないメンターの一人は,真摯で賢い事業家です。彼のもとにはいろいろな人やメディアから「ぜひ,話を聞かせてください」という依頼がくるのですが,全部断っているのだそうです。(中略)「僕は言うことがしょっちゅうころころ変わるから,だめなんですよ」(中略)毎日いろんなことに興味を持って,いろんなことを学んでいるから,考えがそれに応じて変わってしまう。そこを指摘されるのは嫌だから,応じられない,と。(p146)
 その先に人がいてこそ,僕たちは夢中で,時間を忘れて打ち込めるのです。(中略)目的のその先に人がいる。それこそ,心をつかえる一番の理由です。なぜかというと,人はそこにしか幸せを見つけられないから。役に立つこと,ほめられること,必要とされること,愛されること。人が幸せを感じるのは,この四つしかありません。(p167)

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