書名 日本の最も美しい図書館
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2015.05.29
価格(税別) 1,800円
● 41の図書館が紹介されている。最も美しいのが41もあるのか。金沢の金沢海みらい図書館は注目されているようだね。もちろん,見たことはないけれど。
● 外見が目を引くような図書館っていうのは,意外に使いづらいってこともあるんだろうな。地元の図書館を貪欲に利用することを考えた方がいいよね。それしかないわけだし。
美しい図書館は遠きにありて思うものだよ。
読書で人生が変わるなどということは,まずもってないものでしょう。読書が人を賢くすることも,たぶん,ないと思います。 読書は安価でお手軽な娯楽であり,時間消費の手段です。それでいいというより,娯楽でない読書は可能な限り避けたいものです。 娯楽としての読書があれば,老後もなんとかしのげるのではないでしょうか。というか,しのげると思いたいわけですが。
2017年10月30日月曜日
2017年10月29日日曜日
2017.10.29 吉野朔実 『吉野朔実劇場 お父さんは時代小説が大好き』
書名 吉野朔実劇場 お父さんは時代小説が大好き
著者 吉野朔実
発行所 本の雑誌社
発行年月日 1996.12.10
価格(税別) 1,165円
● 故吉野朔実さんのこのシリーズ,何冊か読んできたが,ひょっとするとこれで全部だろうか。いや,まだまだあるのか。
● 「この連載で私が書こうとしたのは,本に纏わる日常でした。書評なら,上手にやる人は他にプロがたくさんいるから,素人のままのスタンスで行こう,と」書いている。
たぶん謙遜だろうけど,芸は身を助けるというのか,イラストというか漫画がこのシリーズの彩りですよね。
● 「子供の頃に読んでおけば良かった。そんなふうに思うことがある。そういう本がある」と言われると,たしかにと頷くしかない。
そういう本ってけっこうあると思う。後で読み返すとまた違った感興を覚えると言われるけれど,子どものときの感興には及ばないことがある。
● ぼくの例でいうと,シュトルムの『みずうみ』。小学5年生(だったと思う)のときに小学館の学年雑誌に2回にわたって掲載された。いたく感動した。よし,これは大人になってから読み返してみようと思った。エリーザベットとラインハルト,登場人物の名前もバッチリ頭に入った。こういうのは忘れることがない。
で,大学生になってから岩波文庫で読み返してみた。なんだ,これは,と思った。小学生のときに読んでおいてよかった。美しく誤解できる時期ってある。吉野さんが言っているのは,そういうことではないと思うんだけど。
著者 吉野朔実
発行所 本の雑誌社
発行年月日 1996.12.10
価格(税別) 1,165円
● 故吉野朔実さんのこのシリーズ,何冊か読んできたが,ひょっとするとこれで全部だろうか。いや,まだまだあるのか。
● 「この連載で私が書こうとしたのは,本に纏わる日常でした。書評なら,上手にやる人は他にプロがたくさんいるから,素人のままのスタンスで行こう,と」書いている。
たぶん謙遜だろうけど,芸は身を助けるというのか,イラストというか漫画がこのシリーズの彩りですよね。
● 「子供の頃に読んでおけば良かった。そんなふうに思うことがある。そういう本がある」と言われると,たしかにと頷くしかない。
そういう本ってけっこうあると思う。後で読み返すとまた違った感興を覚えると言われるけれど,子どものときの感興には及ばないことがある。
● ぼくの例でいうと,シュトルムの『みずうみ』。小学5年生(だったと思う)のときに小学館の学年雑誌に2回にわたって掲載された。いたく感動した。よし,これは大人になってから読み返してみようと思った。エリーザベットとラインハルト,登場人物の名前もバッチリ頭に入った。こういうのは忘れることがない。
で,大学生になってから岩波文庫で読み返してみた。なんだ,これは,と思った。小学生のときに読んでおいてよかった。美しく誤解できる時期ってある。吉野さんが言っているのは,そういうことではないと思うんだけど。
2017.10.29 清水玲奈 『世界の美しい本屋さん』
書名 世界の美しい本屋さん
著者 清水玲奈
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2015.04.17
価格(税別) 1,600円
● 「美しい本屋さん」の写真集。眺めて楽しむもの。想像力の豊かな人ならば,その書店に入っていけるかもしれない。
● 以下にいくつか転載。
著者 清水玲奈
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2015.04.17
価格(税別) 1,600円
● 「美しい本屋さん」の写真集。眺めて楽しむもの。想像力の豊かな人ならば,その書店に入っていけるかもしれない。
● 以下にいくつか転載。
イギリスで過ごした10代の頃は演劇に夢中で,本屋の経営には興味がなかったのですが,パリに戻ってきたときに「この店はまるで劇場だ」と気がつきました。個性的な人物が次々と登場しては消えていき,日々ドラマが展開します。(シェイクスピア・アンド・カンパニー店長 シルヴィア・ウィットマン p83)
プロのデザイナーであるスタッフの鑑識眼にかなった本だけを絞り込んで売るのがこの店のポリシーです。ジャンルはグラフィック,広告,ファッション,インテリア,写真の5つの分野のみ。(p107)これはアムステルダムの「メンド」のもの。銀座の蔦屋書店を連想した。
2017年10月28日土曜日
2017.10.28 漆原 宏 『ぼくは,やっぱり図書館がすき 漆原宏写真集』
書名 ぼくは,やっぱり図書館がすき 漆原宏写真集
著者 漆原 宏
発行所 日本図書館協会
発行年月日 2017.04.30
価格(税別) 2,500円
● 被写体のほとんどは子ども。1980年代の図書館内部の風景,つまり利用者が写っている。
1980年代といういと,ぼくの20代と重なる。その頃はパソコンもインターネットもなかったけれども,自分のライフスタイルはそれほど変わっていないので,日本や世界が大きく変わったという実感は持てないでいた。
● しかし,変わったのだね。何が違うかというと,服装が違う。ダサいんですよ。
首都圏の図書館が多いんだけど,写っている子どもやお母さんたちが田舎びているんですよね。今とぜんぜん違う。東京や神奈川でもこうだったのか,っていうね。
ちょうど,高度経済成長以前の日本の報道写真集を見たときに感じるものと同じもの。その頃の日本はこうだったのかぁという驚き。
著者 漆原 宏
発行所 日本図書館協会
発行年月日 2017.04.30
価格(税別) 2,500円
● 被写体のほとんどは子ども。1980年代の図書館内部の風景,つまり利用者が写っている。
1980年代といういと,ぼくの20代と重なる。その頃はパソコンもインターネットもなかったけれども,自分のライフスタイルはそれほど変わっていないので,日本や世界が大きく変わったという実感は持てないでいた。
● しかし,変わったのだね。何が違うかというと,服装が違う。ダサいんですよ。
首都圏の図書館が多いんだけど,写っている子どもやお母さんたちが田舎びているんですよね。今とぜんぜん違う。東京や神奈川でもこうだったのか,っていうね。
ちょうど,高度経済成長以前の日本の報道写真集を見たときに感じるものと同じもの。その頃の日本はこうだったのかぁという驚き。
2017年10月27日金曜日
2017.10.27 佐藤富雄 『90日間で細胞が元気になる』
書名 90日間で細胞が元気になる
著者 佐藤富雄
発行所 かんき出版
発行年月日 2004.06.14
価格(税別) 1,400円
● 最近,この人のものをいくつかまとめて読んでいるわけだが,さすがに同じことが書いてあると,もういいかと思う。本書は途中で読むのをやめてしまった。
● いくつか転載。
著者 佐藤富雄
発行所 かんき出版
発行年月日 2004.06.14
価格(税別) 1,400円
● 最近,この人のものをいくつかまとめて読んでいるわけだが,さすがに同じことが書いてあると,もういいかと思う。本書は途中で読むのをやめてしまった。
● いくつか転載。
つまりは私たちの考えることがホルモン系や,それと連動した神経系を支配し,ひいては健康状態とも密接にかかわってくるというわけです。そういうしくみがあるので,「自分は100歳まで元気に生きる」「自分は生涯現役でいるのだと強く信じていれば,行動がそれに沿ったものになるだけでなく,体自体もそれに応えようとします。信じていなければ,体は実現しようとはしません。(p48)
不快な心の状態が続くと,人間は老化が進んでしまうようにできているのです。(p49)
「私は悲観的に考えるタイプだから・・・・・・」という人でも,快のほうにハンドルを切り替える方法があります。それには,「良い口ぐせ」を身につけることです。(p50)
人間の筋肉の約70%は,脚部と臀部に集中しています。よく「太モモは第2の心臓」といわれるのも,筋肉量のたいへん多い大腿筋を動かすことが血液の循環を促す強い力になるからです。(p65)
動物実験の結果を見る限り,摂取カロリーを低く抑えることによって,60%程度の延命効果があるということが定説になっています。(p73)
2017年10月25日水曜日
2017.10.25 飯田史彦 『歩き続ける』
書名 歩き続ける
著者 飯田史彦
発行所 PHP
発行年月日 2014.08.05
価格(税別) 1,800円
● この人が書くものは眉唾だ,と思う人もいるはずだ。が,とことん落ちこんで,飲みに行くのも億劫,本を読む気にもならない,というときに,どうにか彼の本を読んでみたら救われた(気分になった)という人もいるはずだ。
プラグマティズムというと大げさだけれど,本は自分の都合の良いように使えばいい。ぼくは飯田さんのものはだいたい読んでいると思う。
● あたりさわりのないところをいくつか転載。
著者 飯田史彦
発行所 PHP
発行年月日 2014.08.05
価格(税別) 1,800円
● この人が書くものは眉唾だ,と思う人もいるはずだ。が,とことん落ちこんで,飲みに行くのも億劫,本を読む気にもならない,というときに,どうにか彼の本を読んでみたら救われた(気分になった)という人もいるはずだ。
プラグマティズムというと大げさだけれど,本は自分の都合の良いように使えばいい。ぼくは飯田さんのものはだいたい読んでいると思う。
● あたりさわりのないところをいくつか転載。
僕の長年のカウンセリング経験に基づいて分析すると,はっきりした原因が存在するかどうかに関係なく,「死にたい」と思ってしまうほどの悲観的思考の根底には,睡眠不足から来る脳の過度の疲労状態があるのです。(p106)
あらゆる人の人生の目的は,わずか一言に要約できるからです。(中略)学ぶことです。(中略)人生で体験するすべての出来事を通じて,学び,成長するために,人間は,この物質世界に生まれてくるからです。(p195)
僕も人間の端くれですから,面倒なことは大嫌いだし,安楽に,能天気に生きたいと,つい願ってしまいますよ。でも,それでも人間は,心の奥にある本当の自分,つまり,俗に言う「魂」の部分では「もっと学んで,どんどん成長したい」という,向上心に満ちているんです。(p196)
大学レベルで研究者をやっていた人であれば,理屈っぽくない人なんか,いないはずですよ。研究者が理屈っぽくないのでは,仕事になりませんからね。(p207)
2017年10月21日土曜日
2017.10.21 外山滋比古 『20歳からの人生の考え方』
書名 20歳からの人生の考え方
著者 外山滋比古
発行所 海竜社
発行年月日 2013.05.29
価格(税別) 1,300円
● 外山人気は今も持続しているようだ。90歳を超えてなお,出版ペースが落ちない。それ自体が人気の理由のひとつなのだろう。
● 20歳にここまで求めるのは酷のように思う。それは20歳の自分を顧みて感じることで,普通に優秀な人は,このあたりのことには気づいているのかもしれないけれど。
● 以下にいくつか転載。っていうか,少し多すぎるかもしれない。
著者 外山滋比古
発行所 海竜社
発行年月日 2013.05.29
価格(税別) 1,300円
● 外山人気は今も持続しているようだ。90歳を超えてなお,出版ペースが落ちない。それ自体が人気の理由のひとつなのだろう。
● 20歳にここまで求めるのは酷のように思う。それは20歳の自分を顧みて感じることで,普通に優秀な人は,このあたりのことには気づいているのかもしれないけれど。
● 以下にいくつか転載。っていうか,少し多すぎるかもしれない。
本に書いてあったことを自分の考え,知識のようにふりまわすのは趣味がよくない。いわゆる知識人に反感をもつことが,年とともに多くなった。知識,教養を疑うようになった。(中略)ものまねはやめよう。自分の責任で新しいことを考え出そう。(中略)たとえ間違っていても自分の頭で考えたことは独創である。人間は独創によってのみ進化する。模倣では変化を起こすことはできても,創造はできないのではないか(p9)
弱は能く強を制す,というが,そうではない。強は勝手に自滅するのである。(p15)
失敗をおそれては逆上がりだってできない。失敗先行である。成功先行を望むのは人情かもしれないが,それでは何もできない。(中略)マイナスがあってプラスが続く。そのマイナスが大きいほどプラスも大きくなる。(p18)
いけないのは三代目である。個人の問題ではない。その役まわりになったのはむしろ犠牲であった。だれがなっても三代目では勝ち目が少ない。(p24)
思考力は困ったとき,苦しいときに働くもののようである。何不足ない状況では思考はしばしば,眠っている。(p31)
思考を育てるにはあまりよけいな本など読まないことである。ことに,すぐれた本は敬遠するほうが賢明である。いささか困った矛盾である。(p33)
勉強家,博学多識の人は概して模倣的になりやすいのは是非もない。(p35)
発憤というのは,この内燃化した我慢をもとに大きなことを動かす心的活動だと考えることができると思われる。発憤には,内圧の高まった我慢の蓄積がないといけないのだが,そのストレスは多く,不幸,苦難によって生ずる。(中略)不幸(?)にして,恵まれた環境に育つものは,苦難,困窮にあうことも少なく,したがって,発憤のチャンスも少ない。恵まれた育ち方をした人間の背負っているハンディキャップである。(p42)
ある有名な女性の作家が,「描写が大切である。比喩に逃げるのはいけない」と述べていると聞いてひどく反発を覚えた。比喩に逃げるのではなく,描写できないものは比喩を援用して表現するほかはない。新しい考えを伝えるには比喩はもっとも有効な手法である。小説家は勝手な作り話をするしか能がない。未知,抽象などを相手にしないから比喩をバカにできる。(p50)
十九世紀までの歴史家は,歴史は過去を再現できると信じた。いまなお,そう考える歴史家がいるようだが,時というものの存在をよく考えないための錯覚である。歴史は過去のあるがままを再現することはできない。(中略)歴史は過去の現実,事実をそのものを表しているのではなく,時によって生まれたものだからである。(p64)
事実ということから言えば,歴史はウソを含んでいるが,ウソが入らないところからは歴史は生まれない。(p65)
富士山の近くに住む人は,そして遠望の富士を見たことのない人は,そもそも,富士が美しいなどと感ずることもない。(中略)遠くからやって来た人は,地元の人の知らなかった価値を苦もなく見つけることができる(p68)
ヨーロッパに“名著を読んだら著者に会うな”ということわざがある。(中略)読んで感銘を受けるのは,どこにいるかわからない人の書いた本だからである。(p69)
カネを出すほうが,受け取るほうより強いのである。供給が需要に追いつかなかった長い間,人々は,この大原則に気づかなかった。供給過剰になって初めて消費者は選択肢が自分の側にあることに気づいて自覚・自立する。(p81)
ことわざを読み解くのはへたな小説よりはるかにソフィスティケイション(洗練)のすすんだ思考を必要とする。(中略)正しい意味というのか,文字,文章ほどにはっきりしないことが多い。言い換えると誤解に寛大である。(p83)
本の知識から新しい発見の生まれることは少ない。創造は多く生活の中にある。(p100)
教育は小学校から大学まで,一貫して,目の勉強を強制する。知識は増えるけれども,自ら考える力は少しも伸びない。(中略)少し落ち着いたところで,そろそろ知力の枯渇を意識するようになったところで,あわてて耳で考える修行に入る。晩学は成り難し,と昔の人も言った。考えるのはものを知り,学ぶよりはるかに厄介である。(p101)
傷のあるリンゴは甘い。それを知らないから傷のあるリンゴは安い。少し黒い斑点のできたバナナがうまい。しかし面くい消費者から見向きもされないから捨てられる。(p119)
選ぶ人が賢くないと,選ばれる人も賢くなれないで,有権者のご機嫌をとるポピュリズムが流行する。弱者支援などと言って,バラマキを善政のように考える。心ある有権者はデモクラシーに懐疑的になるが,それを口にすることはタブーだから,口にするものは少ない。(p123)
台所に立つようになってから,頭の働きがよくなったような気がする。それまで,浮世ばなれたことばかり考えていたのに,炊事をするようになって,足が地についたというか,具体的,実践的な考え方が,わずかだができるようになった。(p128)
知識があれば,万事うまくいく,と思っていると,考えることの出番がなくなり,ひどいのになると,知識さえあれば考える必要はないと誤解するまでになる。(p140)
少しくらい悪く言われても,考えを変えるほど意気地なしではない。(p154)
あるとき,テキストを離れて,詩作について,ちょっと,おもしろそうな顔をされて,“かるたとり”方法という話をされた。ご自身(西脇順三郎),詩を創るときに試みられるものらしい。主題について頭に浮かぶことを,小さな紙片につぎつぎ書きとめる,ひとつひとつは短いフレーズである。出そろったら,しばらく風を入れる。寝させる。放っておく。そして,今度は,先の紙片を気の向くままに拾っていく。これが“かるたとり”である。全部拾ってしまったら,はじめから見直す。つながりがおもしろくないところは,前後の入れ替えをする。そしてまた分秒ながめる。これをくり返して,これでいい,となったら糊づけするなどして,順序が狂わないようにする。それが原型になる。それに基づいて詩を書いていくのだ,と言われた。(p183)
(T・S・エリオットは)詩人は新しい詩情を自ら生み出すのではなく,化合によって新しい詩情の結合の仲立ちをするのだというのである。(p185)
万物流転する中にあって,あえて,流れを否定,源泉を目指すのは誤った歴史的思考ではないだろうか。作品もほかのすべてのものごとと同じように時間の流れに沿って生きていくことができる。そういうように考えて,文献学の原理を批判し,文献学が,原稿,それにもっとも近いもののみをよしとし,他をすべて,乱れたテキスト,異本ときめつけるのに強い反感をもった。(p207)
平安朝の名作で,いま原稿に近いテキストの残っているものはひとつもない。現存する最古のテキストは鎌倉期になってからのものである。長い空白がある。文学史は,京都の大火によって古稿本がいっせいに焼失したという説明をしていたが,とても信じられない。やはり,鎌倉期に現れたすぐれて強力な異本によって,それまでのもろもろのテキストをすべて消滅させたと考えるほうがずっと自然である。(p211)
2017年10月19日木曜日
2017.10.19 永江 朗 『本の現場』
書名 本の現場
著者 永江 朗
発行所 ポット出版
発行年月日 2009.07.13
価格(税別) 1,800円
● 副題は「本はどう生まれ,だれに読まれているか」。
本は売れなくなったのか,そうだすれば理由は何か。若者の活字離れというのは本当なのか。出版社-取次-書店という流通経路に問題はないのか,あるとすればそれは何か。
そういったことを緻密に取材しながら,自身の考察を展開する。
● が,「本の現場」を素材にして,永江さんの世界観が述べられているものでもある。「本の現場」に興味がない人が読んでも面白いと思う。
って,そういう人は本なんか読まないか。
● 以下にいくつか転載。
著者 永江 朗
発行所 ポット出版
発行年月日 2009.07.13
価格(税別) 1,800円
● 副題は「本はどう生まれ,だれに読まれているか」。
本は売れなくなったのか,そうだすれば理由は何か。若者の活字離れというのは本当なのか。出版社-取次-書店という流通経路に問題はないのか,あるとすればそれは何か。
そういったことを緻密に取材しながら,自身の考察を展開する。
● が,「本の現場」を素材にして,永江さんの世界観が述べられているものでもある。「本の現場」に興味がない人が読んでも面白いと思う。
って,そういう人は本なんか読まないか。
● 以下にいくつか転載。
なぜ90年代に本が売れなくなったのだろう。(中略)「若者の時代が終わったから」と佐々木(利春)さんは言う。(中略)バブルの頂点で若者が雑誌や書籍にそっぽを向き始めた。いや,若者の数そのものが減り始めたのだ。 「やっぱり本は若者のものなんです。誰だって若いときは読んだ。でも,年をとったら読まなくなる」(p12)
中村(文隆:ジュンク堂書店)さんの実感でも,この十数年で新刊店数は倍以上,そして中村さん自身の作業量も倍以上に増えたという。(p16)
「2匹目のドジョウとはよく言うけど,いまは平均すると4匹目,5匹目までは出る。最近の新書なんて,ほとんどが一昔前なら雑誌で16頁の特集を組めば済んじゃうようなものですよ」(p17)
「共同出版」はお金の流れがブラックボックス化している。客(著者)は「出版社と著者が費用を折半している」と思っているが,現実には客が全額負担してさらに出版社にマージンを払っている。(p39)
まったく無名のアマチュアが自身のWebサイトでコツコツと作品を発表しても,それが編集者に発見されてプロになる可能性はほとんどない。評論家の福田和也が(中略)「ネットの文章って,最初に編集者を『ダマす』という行為を通過してないでしょう。学生によく言うんだけど,編集者一人ダマせないのに,読者をダマせるわけがない。プロを目指すんなら,原稿料にならない文章をネットにだらだら書かないほうがいいね。ネット経由で一発当てる人もいるけど,長くやっていけるとは思えない」と発言している。私も含めて,出版界でこう考える人は多いだろう。(p49)
ケータイ小説を読んでいると「こんな下らないもの!」と罵りたくなるが,しかしノベルス版で大量生産されるミステリーであるとか,文庫本の官能小説も似たようなものである。(p52)
本が売れるためには,まず有名にならなければならないのだ。(p55)
原稿料や印税率が低下する最大の理由は,出版不況が続いて出版社の経営が悪化しているからであるが,書き手の変化という要因も大きい。一言でいえば,書き手のアマチュア化である。たとえば大学の教員なり会社員なりが,自分の専門知識を生かした本を書く。本業ではないから,印税についてあまりうるさいことはいわない。(p59)
取り換え可能なのはライターだけではない。小説家だって似たようなものだ。(中略)表現物の唯一性と代替不可能性は,作家だけが信じているにすぎない。(p66)
「Webマガジンは選択したくなかった。志向性の強い読者しか来なくなりますから。偶然でも手にとってもらう機会がなくなるのは,雑誌にとってつらいことです(p88)
「朝の読書」と「読書マラソン」を取材してみて,「若者の読書ばなれ」という紋切り型の言い方が,いかに表面的なものでしかないかを痛感した。(p105)
むしろ大人の読書離れのほうが問題だと考える人が,最近は増えている。しかもそれは大人自身にとって問題であるだけでなく,子どもの読書環境としても問題である。(p106)
世の中には何の抵抗もなく本を読んで意味をつかむことができる人と,本を読むこと自体にたいへんな労力を要するだけでなく意味をつかむのに苦労する人とがいる。(中略)読書あるいは文字文化との親和性に関連した格差は存在するのではないか。(中略)しかもその格差は親から子へと拡大再生産される。(p106)
日常的に書店に足を運ぶ人は,世の中全体で見ると少数派なのかもしれない。もう何年も書店に行っていない,という人は意外と多い。いや,本を扱うことで生活しているはずの書店員・書店主のなかにも,ほとんど本を読まないという人がいるのだから。(p107)
よく「電車の中で本を読む人も減りましたね」なんて言うけれども,それは思い込みにすぎない。「読書ばなれが進んでいる」と思って電車内を見るから,「本を読む人が減ったなあ」と感じるのである。これは「青少年の犯罪が増えた」というのと同じ。統計を見ると青少年の犯罪は激減しているのに,犯罪が増えているように思わされているだけだ。(P124)
では,新書は誰が読んでいるのか。「学生か中年男性の二つですよね」と田口(久美子:ジュンク堂書店)さんは言う。学生は大学の授業で使う。(中略)「どうして女性は少ないんでしょうね。不思議よね」(p133)
新書はどれだけロングセラーにできるかが重要だと思う。でもそれは本の力だけじゃないのよね。たとえば背にある整理番号のつけかた一つで,棚の補充のしやすさが変わるの。些細なことなんだけど,長い目で見ると,それがロングセラーになるかどうかを決めていたりするのよ。(p134)
05年のベストセラー1位は『頭がいい人,悪い人の話し方』だった。06年の1位は『国家の品格』だった。07年の1位は『女性の品格』である。なんと3年連続で新書が首位だ。しかもこの3冊がそろいもそろってクズみないな内容である。(中略)クズ本の山に埋もれて,真っ当な本が見えなくなってしまっている。(p136)
08年春から大学に勤務して驚いたが,いまどきの大学生はほんとうにお金を持っていない。(中略)だた,みんな身なりがこざっぱりしているので,ひどく貧乏そうに見えないだけで。(p164)
文学賞に限らず,賞はどんな作品が選ばれるかでその後の性格が決まる。読ませ大賞も,第1回が『鏡の法則』でなければ,その後も続いていたかもしれない。(p165)
かつて私は,リリー・フランキーを出版業界のリトマス試験紙と呼んでいた。イラストレーター,エッセイストとしては,以前から一部で人気が高かった。だがそれはあくまで「一部」だった。編集者の間でも評価は二分していた。好悪ではない。「わかる」「面白い」と言う人と,「わからない」「つまらない」と言う人のギャップが激しかった。リリー・フランキーがわからない編集者に未来はない,というのが私の考えだ。(p168)
ベテランの書店員や編集者に聞くと,ベストセラーの「つくられかた」には変化があるようだ。誰もが指摘するのが「一極集中」である。売れるものはすごく売れるが,売れないものはぜんぜん売れない。だが,売れるものと売れないものの質的な差はそれほどでもない。(中略)消費者は売れているものに飛びつく。「売れている」という事実によって,さらに売れる,加速する。(p178)
私の半径3メートル以内だけの印象かもしれませんが,自分も含めて最近急速にネットに対する関心が薄れてきているんですよ。この前会った雑誌の編集者はメールはチェックするけど情報の収集にネットを使うのはもうやめた,と言ってました。(中略)ネタ集めにはネットはほとんど使えないと実感したそうです。僕もよく大学での講義のとき,学生にアンケートを取るんですけど,彼らもネットに関心を持っていないですね。まあ,対象が早稲田の編集者志望の学生ばかり,という特殊性はありますが。(p218)
2017年10月16日月曜日
2017.10.16 渡辺和子 『面倒だから,しよう』
書名 面倒だから,しよう
著者 渡辺和子
発行所 幻冬舎
発行年月日 2013.12.20
価格(税別) 952円
● 『置かれた場所で咲きなさい』もそうだけれども,タイトルがいい。内容をひと言で言い表してもいる。
しかし,こういう本を何度読んでも,自分は何も変わらない。凡夫の悲しさ。
● 以下にいくつか転載。
著者 渡辺和子
発行所 幻冬舎
発行年月日 2013.12.20
価格(税別) 952円
● 『置かれた場所で咲きなさい』もそうだけれども,タイトルがいい。内容をひと言で言い表してもいる。
しかし,こういう本を何度読んでも,自分は何も変わらない。凡夫の悲しさ。
● 以下にいくつか転載。
人には皆,苦労を厭い,面倒なことを避け,自分中心に生きようとする傾向があり,私もその例外ではありません。しかし,人間らしく,よりよく生きるということは,このような自然的傾向と闘うことなのです。(p17)
「何をおっしゃいます。一回一回が仕始めで,仕納めでございます」(p19)
マザー・テレサに,こんな言葉があります。「私はいつも心の中に,死んでゆく人々の最期のまなざしを忘れていません。この世で役立たずのように見えた人たちが,死の瞬間に“愛された”と感じながらこの世を去ることができるためなら,何でもしたいと思っているのです」(p23)
年齢のいかんにかかわらず,一人ひとりが忘れていけないのは,時間の使い方は,そのまま,命の使い方だということなのです。そんざいに生きていないか,不平不満が多くなっていないかを,時にチェックしてみないと,私たちの使える時間には限りがあるのです。(p26)
「神さまの教えとは何ですか」と問われたとしたら,「あたりまえのことを,心をこめて実行すること。与えられる一つひとつのいのちも,ものも,両手でいただくこと」と答えるでしょう。(p36)
「どうせまた同じことをするんだからいいわ」と思っても,一回一回をていねいにしなければいけないということ。人間にとって全く同じことは二度とあり得ませんから(p44)
つまずかない人生を送ることが,人間にとって大切なのではありません。人間のこと,つまずくのはあたりまえ,ただ,その時くじけてしまわないことが大切なのです。(p49)
時間の使い方はいのちの使い方。この世に“雑用”という用はない。用を雑にした時に,雑用が生まれるのだ(p53)
「あなた方には,脱いだはきものを揃える自由があります」(中略)自由に生きるということは,好き勝手をすることでは決してなくて,“よく生きる”自由を行使することなのです。(p61)
あまり人に流されないということです。(中略)相手がていねいに話をすれば,私もていねいに話しをする,相手が無愛想なら私も無愛想に,という態度ではなく,相手がどうであろうとも,私は私,人は人として生きるということです。(p69)
何もかもぶちまけるのが親しさではありません。親しさというのは開示性の度合いではなく,相手の独自性を尊重する度合いです。(p75)
人にいうと愚痴になることを抑えて自分の中に納めていくと,人はそれだけで美しくなります。(p77)
マザー・テレサはびっくりするほど,厳しいお顔をしていらっしゃいました。聖人のようなお優しい表情かと思っていたら,お目も,お顔つきも厳しくて,しかもある意味で憂いを持っていらっしゃいました。(p80)
働き盛りの五十歳の時いただいたうつ病,六十代半ばでかかった膠原病,その副作用による骨粗鬆症,三度の圧迫骨折とその痛み,そして逃れることのできない老いの重荷,その一つひとつを,両手でいただいて,これからもみことばに支えられて生きてまいりたいと存じます。(p102)
自分の好きなものだけを愛するのであれば,それは自己愛です。(p129)
相手の言うことに耳を傾ける,そしていうべき時にはいうけれども,いわなくていいことを相手の話を遮ってまでいわない。そこに「思いやり」があるのです。(p136)
私は,不機嫌は,立派な環境破壊だと思うのです。(中略)許すこと,ほほえみを交わし合うことを惜しまないようにしましょう。一生の終わりに残るものは,我々が集めたものではなくて,我々が与えたものなのですから。(p144)
看護の「看」という字は「手」と「目」と書きます。お薬などももちろん大事ですが,看護の原点は温かい手とまなざしであり,そのぬくもりにより人の心は癒され,満たされるのです。(p155)
2017年10月11日水曜日
2017.10.11 Workhack Project編 『手帳Hacks!』
書名 手帳Hacks!
編者 Workhack Project
発行所 技術評論社
発行年月日 2007.05.25
価格(税別) 1,380円
● Hacksというほどのことはないかも。手帳の使い方を説いているわけだから,内容上,古くなることはそんなにないと思うんだけど,わりと安直というか,手間暇をかけないで作っている本だと思う。
● とはいえ,以下にいくつか転載。
編者 Workhack Project
発行所 技術評論社
発行年月日 2007.05.25
価格(税別) 1,380円
● Hacksというほどのことはないかも。手帳の使い方を説いているわけだから,内容上,古くなることはそんなにないと思うんだけど,わりと安直というか,手間暇をかけないで作っている本だと思う。
● とはいえ,以下にいくつか転載。
手帳に書くときは,一切体裁にこだわらないというのが,手帳の達人たちに共通した意見です。(中略)こだわらないで,どんどん書き込んでいくことが,手帳を上手に使うための最低条件です。(p52)
人間の思考回路は,何かに関連付けられた情報でなければ,記憶の糸をたどることができません。単なる言葉やキーワードからは,どんなに素晴らしいアイデアだったのかを思い出せなくなってしまうのです。(p56)
書くスペースに余裕があると,ついつい余計なことを書いてしまいます。これはつまり,情報の取捨選択ができていない状態になっているのです。(p75)
アイデアを生み出すためには,脳を刺激することが一番です。手を使って鉛筆やペン,筆といった筆記用具で文字や絵を書くことは,それだけで脳を刺激することになっています。(中略)パソコンの前に座ってアイデアをひねり出すよりも,鉛筆を使っていろいろ書き出したほうがアイデアは出てきます。(p94)
最近の研究では,ワーキングメモリには短期記憶だけではなく,学習や経験で蓄積された長期の記憶を引き出す重要な機能があることがわかりました。(中略)ですから物忘れを防ぐには,手書きでメモを取ったり,自分の日記を付けたりして,短期記憶を活用し続けなくてはいけません。(p97)
スケジュール管理の最大のポイントは,まず仕事の完成図をつくることからはじめます。どんな仕事でもそうですが,完成図から逆算して考えると,何をすべきかが明確になり,無駄な作業が省け,最小の努力で最大限の効果を望むことも夢ではありません。(p100)
2017年10月9日月曜日
2017.10.09 渡辺和子 『幸せはあなたの心が決める』
書名 幸せはあなたの心が決める
著者 渡辺和子
発行所 PHP
発行年月日 2015.09.25
価格(税別) 1,000円
● 平易な文章だけれども,その平易さに力がある。ヨソから引っぱってきたものではなく,著者が自分の生身から絞りだしたものだからだろう。
● 以下にいくつか転載。
著者 渡辺和子
発行所 PHP
発行年月日 2015.09.25
価格(税別) 1,000円
● 平易な文章だけれども,その平易さに力がある。ヨソから引っぱってきたものではなく,著者が自分の生身から絞りだしたものだからだろう。
● 以下にいくつか転載。
「この世の中に,神以外のものはすべて被造物であり,不完全なものである」(p15)
「人を許さない人は,また,他人の支配下にある人なのです」(p18)
私たちの誰一人として,この世に自分から望んで生まれてきた人はいません。ということは,つまり皆,生きることに自信を持っていないのです。だからこそ,つらいこと,苦しいことの多い人生を生きてゆくためには,「あなたは生きていていいのだ」という,他人からの励ましと優しさが要るのです。(p28)
「人間の自由とうのは,諸条件からの自由ではなく,これら諸条件に対して,自分のあり方を決めていく自由である」(p44)
世の中のすべての人から見放されたように思う時も,決して自分で自分を見捨てることがない人でいてください。(p49)
所詮,人間が見通せることには限りがあって,長いめで見ると,案外,物事は異なる評価を持つものですから。(p61)
人間が人間であるために一つの条件は,実は「いつも幸せではあり得ない」ということ,「その生活の中には必ず幾分かの不幸せのかげが落とされている」ということではないでしょうか。(p63)
世の中,「かくかく,しかじかあるべきだ」という思いこみをたくさん持てば持つだけ,不自由になります。(中略)それは結局,思いこみというのは,その実現において他人に依存する部分が多いからでしょう。(p64)
ある人が,自分に負わされた十字架の重みに耐えかねて,神に願いました。「もっと軽いのに替えてください」。大小さまざまな十字架が林立している部屋に案内された彼は,その中から,大きさも重さも気に入ったものを選び出し,神の前に出ました。「これなら一生負ってゆけそうです」。そして気づいたのです。それは最前,自分が肩から外した十字架であったということに。(p72)
劣等感は誰しもが持つものです。しかしながら,劣等感のかたまりのような人は決して美しくありません。なぜなら,人は,「自分」のかけがえのない価値にめざめて,生き生きと自分の生活をしている時にのみ美しいからです。(p91)
「一つひとつ,音をさせないように,静かに置いてごらんなさい。さらに,そこに座る人が幸せになるようにと,心をこめて置いてごらんなさい」(p109)
「面倒だ」と思った瞬間,「だから,しない」のでなく,「だから,する」こと。他人様が入っていらしたら,立つ。他人様とお話しする時はマフラー,手袋を外し,コートも脱ぐ。ポケットから手を出す。(p115)
人間関係を和やかにするのに,「の」の字の哲学というのがあります。たとえば,夫が会社から戻ってきて,「ああ今日は疲れた」と言った時に,(中略)「ああそう,疲れたの」と,相手の気持ちをそのまま受け入れてあげることがたいせつなのです。(p129)
2017.10.09 帯津良一 『まぁるく生きる』
書名 まぁるく生きる
著者 帯津良一
発行所 海竜社
発行年月日 2014.07.02
価格(税別) 1,300円
● 著者がそちこちに起稿したエッセイを集めたもの。ので,テーマが線に沿って展開していくというものではない。
細かいことにこだわるな,歩け,早起きしろ。そういうことが元気な老後の秘訣なのだよ,と言っている。
● 以下にいくつか転載。
著者 帯津良一
発行所 海竜社
発行年月日 2014.07.02
価格(税別) 1,300円
● 著者がそちこちに起稿したエッセイを集めたもの。ので,テーマが線に沿って展開していくというものではない。
細かいことにこだわるな,歩け,早起きしろ。そういうことが元気な老後の秘訣なのだよ,と言っている。
● 以下にいくつか転載。
自分の時間が欲しいなどと思わないのはこの忙しさのすべてが自分の時間だからなのだ。(p47)
朝が好きだ。だから早起きの人が大好きだ。何の仕事であれプロフェッショナルは早起きである。良い仕事をするためにはかならず仕込みの時間が必要だからだ。(p48)
足腰が衰えると,どうしても世間が狭くなって,頭脳の衰えにつながるのではないだろうか?(p69)
卵管がんと闘いながら『がん患者学』なる力作を物にした柳原和子さんは,多くのがん患者さんたちに頼られて,交流を深めていた人だが,あるとき私に,永く生きている人の共通項は何だかわかりますかと問うたことがある。さあ? と口籠っていると,歩いている人ですよと言う。(p98)
気功の三要は調身,調息,調心。調身は上虚下実すなわち肩の力が抜けて下半身に力が漲っている状態。調息とは息を整えることで調心とは雑念を払って一つ事に集中できる心を用意することである。反対に調息,調心。調身の三要素を備えていれば気功ということになる。(中略)いちばん手っ取り早いのは呼吸法ではないだろうか。(中略)吸うことと吐くことに少し気持ちを込めればいいのである。(p102)
食とは大地のエネルギーが作物として結実したものを食物として体内に取り入れて,内なる生命場のエネルギーを高めることである。この場合,大地のエネルギーをふんだんに持ち合わせている作物とは,いま目の前でにょきにょきと生えて来たものであることは言うまでもない。そこで旬のもので地場のものが好いということになる。(p123)
この世は修行である。修行には困難が付き物である。というよりは困難によってこそいのちのエネルギーは飛躍的に高まるのである。(中略)その困難の一つが病なのである。(p155)
彼ががんになってよかったと話してくれたことがある。それは自分が宇宙人であることが確信できたことだという。広大な宇宙を構成するまぎれもない当事者であると。(p159)
まずは日用品に愛着をおぼえない。(中略)人さまのものを借りてすませて平気の平左なのだ。(中略)大体がこれでなければいけないということがないのである。(p183)
以前は早朝ということもあって観音像に向かうだけで声に出さずに心の中だけで読経をしていた。ところがある時,いまでも敬愛してやまない鎌田茂雄先生に一喝されたのである。腹の底から出る大声で唱えなければ駄目だと。たしかにその通りだ。すかっとした気分になる。(p190)
生命の謎はあくまでも深く,宇宙の広大無辺さはとても手の内に入らない。だから人間,いくつになっても初々しさを失わないのが道理なのだ。(p201)
主治医が生きているのが不思議なくらいだと言うほどの病状で,しかも感染性の病だというのに,彼らはものともせずにやって来るのだから,子規がいかに魅力的な男だったか想像がつくというものである。(p242)
2017年10月8日日曜日
2017.10.08 茂木健一郎・松岡修三 『ポジティブ会議』
書名 ポジティブ会議
著者 茂木健一郎・松岡修三
発行所 アスコム
発行年月日 2017.06.01
価格(税別) 1,000円
● 副題は「たった一度の人生をマックスに!」。
● 以下にいくつか転載。
著者 茂木健一郎・松岡修三
発行所 アスコム
発行年月日 2017.06.01
価格(税別) 1,000円
● 副題は「たった一度の人生をマックスに!」。
● 以下にいくつか転載。
いま,ここに,いかに浸るか。余計な過去とか未来とか考えないでいまに全力をつくすこと。それが結局,未来につながるというのがマインドフルネスの考え方。(茂木 p19)
自分と対話する習慣を身につけること。これを意識することなくできるようになると,ふだんから自分を客観的に把握できるようになる。(茂木 p22)
もともと脳にはとてつもない可塑性があって,無限に変わっていくことができる。変わるための最高の方法が感動すること。(茂木 p28)
ネガティブな記憶が求めているのはちゃんとした意味づけ。だから,その記憶を否定しようとすると戻ってくる。(茂木 p38)
想像しているときがいちばん怖いじゃない?(茂木 p57)
口角を上げて,目尻を下げる。笑顔になっていたら,マイナスのイメージも言葉もあまり浮かんでこないんです。(松岡 p63)
人生の3分の1といわれる睡眠の時間を楽しめなかったらどうするんだと僕は思うんです。だから,僕はどうやって寝るのをたのしもうかといつも考えています。(松岡 p72)
かなり現実的にイメージします。目を閉じたら,寿司屋の玄関を開けるところから始まり,カウンターで職人の技を堪能しながら1貫1貫食べていきます。もちろん,味もリアルです。そうすると5,6貫ぐらい食べたところで寝ていますね。多分,笑顔だと思います。(中略)羊を数えるというのもわかりますけど,僕はやらされている感があるんです。(松岡 p73)
でも,脳科学が究極の突き抜けた人の見方を教えてくれた。脳は機械なんだからと。ある意味では寂しい見方だと思うけど,いちばん人間を肯定しているような気もするんだよね。(茂木 p93)
マインドフルネスで最も根本的な考え方を教えるね。(中略)それは価値判断をしないこと。それが最もポジティブな態度なんだよね。(茂木 p95)
成功するための要素は,自分の中では賢いことだけど,他人から見ると愚かに見えることだって。(中略)成功するには,自分の中ではハッキリとした確信があっても,世間からは「あんなことやってバカじゃないの?」といわれるくらいじゃなきゃダメだってことなんだよね。(茂木 p104)
声を出すと力が抜けて体のキレが増すんですよ。キレがよくなるのは,呼吸法なんですけどね。スポーツはマネから入ったほうが上達は早いと思います。最初は,イメージと体の動きが一致しないでしょうけど,俺はコナーズだと勘違いすることで,コナーズのように正しくラケットを振るイメージがつくれますから。(松岡 p112)
じつは天才なんていないんだって説があってね。天才といわれる人たちは,ただずっとやってきただけだって。(茂木 p112)
人工知能がここまで急速に発達した理由のひとつは,手本になる人のことを徹底して学んでいることなんだよね。(中略)人間はそれをやってない気がする。まず,手本の観察をしていない。(茂木 p114)
しかも,観察してみると,すごくシンプルで,やってみると難しいものはそんなにないんですよ。(松岡 p115)
ある大学の授業を1学期の間,ずっと受け続けた生徒とその授業の様子を2秒だけ見せた生徒の,「この授業がどれくらい面白いか」という評価がほぼ一致するんだって。たったの2秒だよ。これは有名な研究で,人間は2秒ぐらいでものすごい量の情報を得ているということなんだよね。それなのに使ってないことが多いと思わない?(茂木 p120)
ずーっと首尾一貫して同じことを言わなきゃいけないというのは,かえって違う気がするんだよね。(茂木 p143)
僕には,「○○してやってる」という感覚はゼロ。応援は,自分のためにしかやってないというとらえ方でやってます。(中略)選手に気を使わせて,「応援ありがとうございます!」といわせてしまうのがいちばん嫌ですね。(松岡 p158)
マジシャンの前田知洋さんが面白いことをいっていたね。「最高のマジシャンは,自分がマジックをしていることを忘れている人だ」と。(茂木 p164)
スポーツ選手の厳しいトレーニングや緊迫するシーンって,脳にとっては快楽なんだよ。(茂木 p165)
登山なら,山を降りて帰ってくると,いつもの景色が違って見える。これが大事。それを人生の中で,いくつもつくっていく。(茂木 p166)
2017年10月7日土曜日
2017.10.07 日経デザイン編 『文具と雑貨づくりの教科書』
書名 文具と雑貨づくりの教科書
編者 日経デザイン
発行所 日経BP社
発行年月日 2016.03.23
価格(税別) 3,300円
● 日本の文具は世界に冠たるもの。車と同じ。高級感をまとわせるのはドイツやイタリアに遅れを取っているけれども,安心して使えて,ここまで考えているのかと驚かされるのは日本製の方。
というか,日本人が勝手にドイツ製やイタリア製に「高級」を感じたがっているだけかもしれない。バカは外国製品を使っていろ,と,かなり本気で思っている。
● 本書はその日本製品について,メーカーの責任者や担当者にインタビューをしたり,製品を解析したりして,その成果をまとめたもの。
● 以下にいくつか転載。
編者 日経デザイン
発行所 日経BP社
発行年月日 2016.03.23
価格(税別) 3,300円
● 日本の文具は世界に冠たるもの。車と同じ。高級感をまとわせるのはドイツやイタリアに遅れを取っているけれども,安心して使えて,ここまで考えているのかと驚かされるのは日本製の方。
というか,日本人が勝手にドイツ製やイタリア製に「高級」を感じたがっているだけかもしれない。バカは外国製品を使っていろ,と,かなり本気で思っている。
● 本書はその日本製品について,メーカーの責任者や担当者にインタビューをしたり,製品を解析したりして,その成果をまとめたもの。
● 以下にいくつか転載。
多くのメーカーが高い海外販売率を実現しており,日本の文具・雑貨は一目置かれる存在です。その秘密は,潜在的な不満やニーズをいち早く見つける観察力と,その観察から導かれた豊かな発想力にあります。そして絶え間ない技術開発を続ける姿勢です。(p3)
消しゴムだってそう。きちんと消せないとそこにとらわれてしまい,考えが止まる。いわば,思考の用心棒のような存在が文具なんだと思っています。だから,最小限の機能であっても品質が良いものでないといけません。(小川晃弘:トンボ鉛筆社長 p24)
「これは,本当に使えるのだろうか」というものはダメです。ユーザー自身も気付いていない,「こうだったらいいな」という気付きを形にして見せ,習慣さえも変えてみせるのがプロの仕事です。(中略)行動を観察することはもちろん,人間そのものをよく知ることが,文具の開発には欠かせません。(小川 p25)
ヒット商品というと,いかにも大勢の人から支持を受けているような感じがしますよね。でも,皆が皆買っているわけではないモノがほとんどなんです。(中略)ヒット商品というのは「10人に1人」が買ってくれるモノなんだと気付いたんです。(宮本彰:キングジム社長 p68)
「これが欲しかった」「出たら,必ず買う」という,“待ちに待った”商品でなければ売れない。裏を返せば,「まあま欲しい」という人が10人中7人いる商品ではなく,9人が「全然欲しくない」と言っても,「必ず買う」という強烈な支持者が1人いる商品の方が可能性はずっと高い。(宮本 p70)
文房具は身近な商品だから,「自分だったら欲しいか」という観点で皆が判断しがちです。それが間違いのもの。自分の気持ちは置いておいて「『これが欲しい』と言う人がどれくらいいるか」という計算をできないといけません。(宮本 p70)
自分として理解できる商品だと「イケるんじゃないのか」とつい思ってしまう。でも,「イケるんじゃないのか」程度の商品なんて,今は誰も買いませんよ。(宮本 p70)
皆さんに結構ほめていただいているのに,全然売れない商品というのは多いんですよ。「欲しい」と言われても,「買うほど欲しい」とは限らない。(宮本 p71)
「失敗したら社名に傷が付く」などと言いますけれど,全然,傷なんて付きませんよ。失敗したら売れないわけですよね。そんな商品,すぐに忘れられて商品名すら人の記憶に残らないでしょう。だから,失敗しても誰にも何にも傷なんて付きません。(宮本 p71)
リサイクルペーパーの用途が限られているのは,紙がオフィスの中に留まっているためと分析した。つまり,上手に「運ぶ」ことができれば,リサイクルペーパーの用途が広がると考えたのだ。(p87)
海外製品でも,評判のいいノートはいろいろあります。そういう製品はなかなか考えられているとは思いますが,いろんなことを細かく煮詰めていない製品が多い。(名児耶秀美 p121)
日本の文具の特徴は,商品の良さをきちんと評価できる市場と,それに応えて改善や改良を重ねていくメーカーのモノづくりの姿勢が,うまく合致している点にあると言えるでしょう。(高畑正幸 p122)
それはメーカーのインハウスのデザイナーたちの努力を抜きにしては語れません。(高畑 p125)
デジタル機器の普及が,かえって紙とペンの持つ本質的な特性の見直しを促し,(中略)書く行為そのものを楽しむ商品が多数登場してきました。(高畑 p125)
Y2のデザインの発想は,今ある「モノ」や「仕組み」を何も否定しないことから始まる。(中略)企画を依頼するメーカーも,依頼されるデザイナーも大抵は「何か新しいことをしなければ」と思う。しかし,今を単純に否定すれば,無理が生じ,見当違いな商品になる。(p145)
消費者はモノを買うとき,伝統工芸品だから買うのではない。素敵だと思うから選ぶ。(p149)
アイデアを持っているのは我々ではない。そこで,外からのアイデアをどう吸収して商品に生かせるか,ということに集中してきた。(p197)
自分たちには,マスキングテープしかない。ならばやれることは1つ。テープ1つで世界がこんなに変わる,こんなにいろんな楽しみ方ができる,という圧倒的な体験を顧客に絶え間なく提供し続けることだ。(p200)
人気商品が常に抱える問題として類似品が多いことも事実だ。(中略)そうした状況で,一般消費者はどのように違いを見出すのか。ゼブラに聞いたところ,意外なことに「価格だ」と言う。(p246)
2017年10月6日金曜日
2017.10.06 内田 樹・釈徹宗 『聖地巡礼 コンティニュード』
書名 聖地巡礼 コンティニュード
著者 内田 樹・釈徹宗
発行所 東京書籍
発行年月日 2017.09.01
価格(税別) 1,800円
● シリーズ,4冊目。今回は対馬。副題は「対馬へ日本の源流を求めて!」。
本書で蒙を啓かれたところは2つある。ひとつは,日本神話は対馬発祥であるらしいこと。古き日本が対馬には残っていること。
もうひとつは,対馬に朝鮮半島から受けた文化的影響の痕跡は皆無であること。地理的に近いから影響を受けるという単純なことではないらしい。
● 案内役の永留史彦さんが主役。情報の提供役。著者二人はそれに乗って勝手に喋っているだけ。もっとも,それが編集方針かもしれない。
● 以下にいくつか転載。
著者 内田 樹・釈徹宗
発行所 東京書籍
発行年月日 2017.09.01
価格(税別) 1,800円
● シリーズ,4冊目。今回は対馬。副題は「対馬へ日本の源流を求めて!」。
本書で蒙を啓かれたところは2つある。ひとつは,日本神話は対馬発祥であるらしいこと。古き日本が対馬には残っていること。
もうひとつは,対馬に朝鮮半島から受けた文化的影響の痕跡は皆無であること。地理的に近いから影響を受けるという単純なことではないらしい。
● 案内役の永留史彦さんが主役。情報の提供役。著者二人はそれに乗って勝手に喋っているだけ。もっとも,それが編集方針かもしれない。
● 以下にいくつか転載。
やっぱり旅の友は司馬遼太郎ですよ。『街道をゆく』です。頁折りすぎて,一体どこが大事なんだかわかんなくなっちゃいましたけど。(内田 p13)
「じゃあ対馬では朝鮮の文化と日本の文化が融合しながら発達していったような形跡があるのか」と,よく聞かれるんですが,そういうものはほとんどありません。(中略)言葉なんかもですね,対馬の言葉,特に対馬の南端の豆酘という所には,対馬の中でもまたちょっと独特の方言が残っていたりします。(中略)対馬に残るそういう言葉は,中世以来の日本の古い言葉だということがわかりました。(中略)古い朝鮮語の影響というのはまったくない。(永留 p16)
対州ソバは名物ですね。源流がわからないんですが,対馬では,縄文時代の貝塚から蕎麦の実が見つかっています。だから,それがそのまま続いていたとしたら,対馬の蕎麦はもっとも古代の蕎麦に近いんじゃないかと。(永留 p68)
植生ですね,やっぱり,風土感というのは。(内田 p77)
近代化があれほど早く可能になったのも,幕藩体制があったからだと思います。日本中に人材がいたわけだから。中央集権一極集中だったら,あんなことできませんよ。(内田 p93)
体制が腐るときは頭から腐っていくわけだから,一極集中で頭が腐ったら手がつけられませんよ。(内田 p93)
永留 南のほうも対馬海流は流れてはいるけど,幅が広い分,流れは穏やか,航海しやすいです。水道にホースをつないで,口を細くすると勢いが強くなる。あれと同じです。(中略) 内田 離れているほうが渡りやすくて,近いほうが渡りにくい。ここは流れが速いんですね。 釈 距離じゃないんだ。(p106)
対馬に阿麻氐留(あまてる)神社というのがあります。この阿麻氐留神社というのも,天照大神を祀るようになって阿麻氐留神社になったんじゃなくて,その逆じゃないかというのが神話研究者の定説なんですね。(永留 p137)
永留 海で生活する人たちにとってはね,遭難した人は助けるというのが,これがまず原則なんですね。 内田 そうか,海民の常識なんだ。海民というのはね,砂漠のノマドと同じだという話を,前にしていましたよね。(中略)砂漠でもね,荒野の彼方から到来して旅人は必ず幕屋を上げて歓待しなければならない。(p183)
聖地は大体この世とあの世の境界線上にあるんです。海と陸の境界は「さき」と呼ばれるんだと中沢新一さんの『アースダイバー』に書いてありました。(中略)今は海岸線が遠ざかって,海なんか見えないような町中でも,古い岬の突端だった地には今も神社仏閣,病院,大学,墓場,そしてラブホテルがあるのです。(p241)
釈 ここに来たら,日本神話をリアルに実感できますね。 内田 本で読むとリアリティーないけど,ここに来るとリアルですね。(p243)
対馬を巡って,あらためて「日本の宗教は神道で,仏教は外来の宗教だ」などといった捉え方がいかに見識がせまいかっていうのがよくわかりました。神道もかなり外来ですから。(釈 p252)
政治が絡むと聖地は力を失います。でも,延喜式から延々とやっているわけだよね。千年以上前から政治は宗教に介入している。(内田 p257)
昔,天安門の前で行進するとき毛沢東がいたり朱徳がいたりして,後ろのほうにレーニンとかマルクスとかエンゲルスの写真も一緒に行進してたじゃないですか。あれは中国共産党の境内に,ご祭神としてマルクスやレーニンを勧請しているんですよ。(中略)毛沢東神社に合祀しちゃうの。毛沢東神社の神格を高めるために,いろいろと有名で霊験あらたかなご祭神を勧請してくる。(内田 p258)
考えてみたら,パレスチナ地方の一民族の神話が,キリスト教の展開によって世界中で共有されることになったわけです。我々が日本人の神話として共有しているのも,いくつかある部族の一つの神話だったのでしょう。(釈 p263)
全く国境を閉ざされてしまうと,ほんとうの日本の辺境になっちゃうんですよ。(中略)国境が開かれていると,外国への窓口になるんです。閉ざされると条件が一八〇度変わります。(永留 p274)
「貧すれば鈍す」って,ほんとうに汎用性の高い教訓ですよ。経済的余裕がなくなると,人間は思考力が衰えるんです。(中略)「金がある人」というのは「金のことを考えない人」のことです。ですから,逆も同じで,実際はどれほど貧乏でも,「金のことを考えない人」は「金のある人」なんです。暇だから。(中略)自分は「貧乏だ」と思っている人は四六時中お金のことばかり考えて,お金さえあればすべてが解決するというシンプルな思考にはまり込んでしまう。(内田 p331)
釈 何度も聖地巡礼をやっていて,体感的にわかったことなのですけど,「ある程度歩いて到達しないとダメ」な気がします。 内田 ダメです。いきなり,「はい,聖地に着きました」というのは。(p338)
倍音声明で面白いのは,自分は声を出さないで,ただ他人の声を聴いているだけの人には,倍音がちゃんと聴こえてこないということです。超越的な音,誰のものでもないその音を聴き取るためには,自分のパーソナルな,自分に固有の声をその場に差し出さなければならない。(内田 p357)
2017年10月2日月曜日
2017.10.02 中川 裕 『図解! 頭のいい人のメモ・ノート』
書名 図解! 頭のいい人のメモ・ノート
著者 中川 裕
発行所 ぱる出版
発行年月日 2017.01.30
価格(税別) 1,300円
● 本書で役に立つのは次の一文。これさえ憶えておいて拳々服膺すれば,あとはすべて忘れてよい。
これはダメだ。やりもしないうちから,どうして計画が立てられるのか。やりもしないうちに立てた計画に何の意味があるのか。
まず「D(実行)」がある。「D(実行)」→「C(評価)=A(改善)=P(計画)」の2サイクルだ。これ以上,細かく分けない方がよい。
とにかく,手始めは無手勝流で「D(実行)」。やってみることだ。
著者 中川 裕
発行所 ぱる出版
発行年月日 2017.01.30
価格(税別) 1,300円
● 本書で役に立つのは次の一文。これさえ憶えておいて拳々服膺すれば,あとはすべて忘れてよい。
「めんどうだから・・・・・・」とメモを取らない人は多いと思いますが,実はメモするほうがずっと楽なのです。(p19)● 仕事はつねに「P(計画)」→「D(実行)」→「C(評価)」→「A(改善)」という「PDCA」サイクルを意識して取り組みましょう。(p56)
これはダメだ。やりもしないうちから,どうして計画が立てられるのか。やりもしないうちに立てた計画に何の意味があるのか。
まず「D(実行)」がある。「D(実行)」→「C(評価)=A(改善)=P(計画)」の2サイクルだ。これ以上,細かく分けない方がよい。
とにかく,手始めは無手勝流で「D(実行)」。やってみることだ。
2017年10月1日日曜日
2017.10.01 和田秀樹 『上流に昇れる人,下流に落ちる人』
書名 上流に昇れる人,下流に落ちる人
著者 和田秀樹
発行所 幻冬舎
発行年月日 2006.08.25
価格(税別) 1,300円
● この性癖は○(→上流),これは×(→下流)と,大括りする。たいていの人は,その両方を持っていると思う。自分はどっちが多いかと楽しみながら読めば良いのではないか。
ちなみに,ぼくは×の方が多かった。下流に向かうタイプだ。何とはなしに納得している。
● 具体的にこれは自分が批判されているのではないかと思ったところも,何ヶ所かあった。ギクッとした。
しかし,参考になるところも多いだろう。こういうのをバカにしてはいけないと思う。膝を打ちたくなる一文もあった。
● 茂木健一郎さんが書いているところと,かなりの部分は同じ結論になっている。生活の知恵・ノウハウとして信憑性の高いもの,と受けとめていいのじゃないか。
● 以下に,転載する。
著者 和田秀樹
発行所 幻冬舎
発行年月日 2006.08.25
価格(税別) 1,300円
● この性癖は○(→上流),これは×(→下流)と,大括りする。たいていの人は,その両方を持っていると思う。自分はどっちが多いかと楽しみながら読めば良いのではないか。
ちなみに,ぼくは×の方が多かった。下流に向かうタイプだ。何とはなしに納得している。
● 具体的にこれは自分が批判されているのではないかと思ったところも,何ヶ所かあった。ギクッとした。
しかし,参考になるところも多いだろう。こういうのをバカにしてはいけないと思う。膝を打ちたくなる一文もあった。
● 茂木健一郎さんが書いているところと,かなりの部分は同じ結論になっている。生活の知恵・ノウハウとして信憑性の高いもの,と受けとめていいのじゃないか。
● 以下に,転載する。
私のみるところ,上流力は,「自分の頭で考える力」と「人とうまくやっていく力」の掛け算になる。足し算ではなく,掛け算である。掛け算である以上,いずれかの数値が高くても,もう一方の数値が極端に低ければ,その「積」としての能力値はゼロに等しくなってしまう。(p5)
人間は,何歳になっても変わることができる--これは,私の精神科医としての確信である。(p6)
「オリジナリティがある」というのを最高の褒め言葉だと,いまだに信じている人。「自分らしく生きたいなどと,なんの疑問もなく思っている人-こういう人は,まず上流には昇れない。多くの場合,そういう人は「オリジナリティ」とか「自分らしさ」を,「自分だけが持っている他の人と違う美点」と解釈している。そもそも,それが間違いなのだ。(p16)
「オリジナリティ」「自分らしさ」を見つけたければ,まず人の真似をすることだ。(中略)そっくりそのままなぞったつもりでも,まったく同じにはできないはずだ。(中略)そのちょっとした違い,それこそがあなたの“個性”なのだ。(p17)
「見た目と中身が違う」っていう言い方するでしょ。だけども,それは嘘だと思うのね。っていうか,表面だけが本当だと思うのね。(p23)
服装に無頓着な人は,どこかで社会とのつながりを拒否したいと考えている。(p24)
持って生まれた気質はそう簡単に変わるものではないが,考え方にちょっとしたアクセントをつければ,よりよい方向に向けることはできるものだ。そのキーワードは「バカなことを考える」である。(p36)
グッドアイデアというものの多くは,まだ誰も実行したことのないアイデアのこと。つまり,その時点では風変わりであって当たり前なのだ。それを「そんなもの聞いたこともない」と退けていては,いつまでたってもいいアイデアは生み出せない。(p37)
完璧主義という言葉は真面目さの代名詞のようにも使われるが,現実のビジネスシーンでは,好結果をもたらさないことが少なくない。(p39)
先にあいさつをするかどうかで,明るい人か暗い人か,好感を持たれるかどうかの印象は,まず分かれる。心理的に言ってあいさつは先手必勝なのである。(p46)
自己愛型,あるいは境界型のパーソナリティの偏りを抱えている人に多いが,そういう人は,アドバイスの内容が何であれ,「ネガティブなことを言われた」ことを「否定された」「攻撃された」と受け止めるのである。(p50)
忠告やアドバイスというのは,親しい間柄でもそうそうできるものではない。相手を怒らせたり,気まずくなるリスクを覚悟のうえで,相手はあえて指摘してくれているのだ。(p50)
大人が子供に言って聞かせるような「みんな仲よく」という“方針”は,大人社会ではとても貫けるものではない。「嫌いな人は嫌い」,それでいいのだ。(p55)
たとえ組織内にいたとしても,「デキる人」というのは,たぶんに一匹狼的な要素を持っているものである。それは,人づき合いが悪いとか,孤独を愛するなどという情緒的なものではなく,ひとりで考え,行動し,結果を出すことができるという意味だ。すなわち,組織の流儀ではなく,自分流の仕事の方法論を持っている人である。(p59)
他人に甘えることを恥ずかしいと思い込むのは,かたくなすぎる生き方だ。実際問題,人に上手に甘えられる人は,他人の好意を引き出し,協力を仰ぐのが得意な人といえる。(p64)
上手に甘えるには,相手の自尊心を思い切りくすぐることだ。具体的にいえば,「教えてください」「助けてください」という言葉を使うといい。(p65)
大きな仕事をしようとすれば,決断を下す場面で,敵をつくる覚悟を必要とするものだ。「敵もつくれないヤツは仕事もできない」というのは,まんざら嘘ではない。(p66)
自分自身の怠け心と戦うためにも,敵は必要なのだ。(p67)
未処理の「to do list」をたくさん抱えるよりも,すぐに処理済みにしてしまって,さっさと次の段階に駒を進める。何事も即時処理がいちばん効率的なのだ。(p75)
ニンジンは「手の届きそうなところ」に置くからこそ効果的で,はるか彼方にあっても馬は走ってくれない(p77)
コピーライターの仲畑貴志氏は,キャッチコピーを書くときに,まず「早い話が○○○○」と書いてみるという。「早い話が・・・・・・」-心の中でいつもそうつぶやいていれば,必ずやコミュニケーションの達人になれるはずである。(p82)
適度な自信を心中に抱いていれば,適度な「自己有能感」に満たされるはずである。「自分はできる」「自分ががんばれば,何事かを変えられる」という自信は,自然にやる気へとつながっていく。(p84)
自分ひとりの力には限界があることをよく認識して,人の協力を上手に得られる人のほうが,はるかに“頭のいい人”といっていい。(p90)
考え込んでいる間,あるいはそう装っている間は,実際に行動しなくてもすむ。その間,プレッシャーや不安,恐れから,身をかわすことができる。(中略)スポーツ選手がトレーニング方法について頭をめぐらせるばかりで,実際に体を動かして練習していないようなものだ。(p92)
相手にいらぬ敵意を植えつければ,いつどんなしっぺ返しを食らわぬとも限らない。さらにそういう下手な勝ち方は,周りの人々の心まで冷え冷えとさせてしまう。(中略)仮に,それまでは非礼を受けた側への同情心があったとしても,怒りを爆発させる姿を見れば,たちまちその同情心は消えてしまう。(p98)
チャーチルは,「人間から性的感情を取り除いたら,何も残らない」とまで言い切っている。口説いてみたり,わざとそ知らぬフリをしてみたり,騙し騙されの男と女の奇々怪々な関係。それを面倒くさがって避けるようでは,仕事での成功もおぼつかないといえるのだろう(p103)
「これはおかしい」「あれもいかがなものか」と,いつまでもいまいましい気持ちを抱え込むのは,おおむね“笑い欠乏症”にかかっているときである。(中略)逆にいえば,成功を願うなら,よく笑い,よく人を笑わせる人になることだ。(p104)
ユーモアの真骨頂は「自分自身を笑える能力」である。たとえば,失敗感に打ちのめされているときは,深刻になって,なかなか笑えないものだ。だが,それを乗り越えたあとになってみれば,「あんなバカなことをして」と笑えるようになるものだ。(p105)
仕事でミスをしたときは,「仕事が立て込んでいて忙しかったから」-知らず知らずのうちに,自分の責任を回避し,他者や環境に理由を求めようとするのである。だが,自分を守ろうとして,人のせいにしたり,環境のせいにしても,失敗を乗り越えて成長することはできない。(p108)
「不満」が現状打破のカギになると気づけば,たとえそれが上司や部下への小さな不満であっても,単なる酔っぱらいの愚痴で終わることはなくなるはずだ。具体的な対策がもし見つかれば,マネジメントのスペシャリストにだってなれるのだから。(p114)
そんな無価値な禁欲生活を送るよりは,(中略)仕事(勉強)と遊びの両立を図ったほうがいい。(中略)「遊ぶ人ほど,仕事がよくできる」というのは,ビジネスをめぐる不変の法則といっていい。(p119)
“常識”や“良識”は,社会生活を送るために必要なものだが,あまりにそれに縛られると,生産的な発想はできなくなってしまう。最初に気をつけたいのは,自分自身の言動に縛られることである。(中略)自分らしさというものは,意識しないでも自然に表れるものであり,むしろ,そのときに思ったとおりに素直に考えたほうが,「自分らしさ」は発揮されると,私は信じている。(p123)
二兎を追うものは一兎をも得ずは,すでに昔の話。いまや,一石二鳥を狙うのが,成功への近道といえる。(p132)
私たちは,当てにならない記憶力をどのようにカバーすればいいのか。私は,原始的ではあっても「頻繁にメモをとる」,それ以外の方法はないと思う。(p138)
持って生まれた性格には,変わらない部分もある。たとえば「気が小さい」と言われる人は,子供のときから気が小さかった,というケースが多い。(p145)
クエ博士は,自己暗示の効果を上げるコツとして,「マイナス言葉の省略」を挙げている。たとえば,「痛みは消える,痛みは消える,痛みは消える」と繰り返し唱えるより,「痛み」という言葉をなるべく使わずに,「痛みは消える,消える,消える・・・・・・」と唱えたほうが,効果が上がるというのだ。(p156)
「男は黙ってサッポロビール」というコピーがあったように,かつては男は口数の少ないことが美徳とされたものだ。しかし,そんな時代でも,口数の少ない人はなにかと損をしていたものである。(p158)
プラス情報は,相手に言うと喜ばれ,喜ぶ顔を見るとこちらもうれしいという心理が働くので,もともと伝わりやすい。(p175)
たとえ論理的説明であっても,大勢の前で上司に赤恥をかかせるのは,情のない話である。情を欠いては,いくら論理的でも人を動かすことはできない。(p179)
安定とマンネリは紙一重である。機械的な刺激に乏しい日常から,斬新なアイデアが生まれる確率はきわめて低い。(中略)人間というものは,だいたい保守的にできているから,ある「型」を見つけて,その方法が安全だと気づくと,そこで思考停止する傾向が強い。(中略)重要なことは,ときには「自分の型を壊す」こと(p183)
デキるビジネスマンは,総じて読書家とみてまちがいない。(p194)
自宅まで届けてくれる通販は便利ではあるが,“デキる”といわれている人物なら,おそらく時間をやりくりしてでも,書店へ足を運んでいるはずだ。書店は時代の空気を読むのに,最適の場所だからである。(p195)
メニュー選びに限らず,“小さな決断”を棚上げし,人にまかせるような人には,重要場面でも決断を下せないタイプが多い。そして,その傾向は決断を避けるたびに深まっていく。(p198)
何かの着想を得たいとき,一時間机に向かって何も浮かばないのであれば,二時間,三時間粘ったところで,結果はほぼ見えている。そんなときは,一五分でも外に出てみて,脳をリフレッシュさせたほうが,望外のアイデアに恵まれる確率はよほど高まるはずである。(p203)
前向きになれないから落ち込んでいる人に,「前向きになれ」と言っても,それは何の解決策にもなっていない。むしろ,そんなときは“後ろ向き”というか,過去をふりかえったほうが,自信回復のきっかけになることがある。「過去の自分に自信をもらう」といってもいい。(p205)
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