著者 和田秀樹
発行所 幻冬舎
発行年月日 2006.08.25
価格(税別) 1,300円
● この性癖は○(→上流),これは×(→下流)と,大括りする。たいていの人は,その両方を持っていると思う。自分はどっちが多いかと楽しみながら読めば良いのではないか。
ちなみに,ぼくは×の方が多かった。下流に向かうタイプだ。何とはなしに納得している。
● 具体的にこれは自分が批判されているのではないかと思ったところも,何ヶ所かあった。ギクッとした。
しかし,参考になるところも多いだろう。こういうのをバカにしてはいけないと思う。膝を打ちたくなる一文もあった。
● 茂木健一郎さんが書いているところと,かなりの部分は同じ結論になっている。生活の知恵・ノウハウとして信憑性の高いもの,と受けとめていいのじゃないか。
● 以下に,転載する。
私のみるところ,上流力は,「自分の頭で考える力」と「人とうまくやっていく力」の掛け算になる。足し算ではなく,掛け算である。掛け算である以上,いずれかの数値が高くても,もう一方の数値が極端に低ければ,その「積」としての能力値はゼロに等しくなってしまう。(p5)
人間は,何歳になっても変わることができる--これは,私の精神科医としての確信である。(p6)
「オリジナリティがある」というのを最高の褒め言葉だと,いまだに信じている人。「自分らしく生きたいなどと,なんの疑問もなく思っている人-こういう人は,まず上流には昇れない。多くの場合,そういう人は「オリジナリティ」とか「自分らしさ」を,「自分だけが持っている他の人と違う美点」と解釈している。そもそも,それが間違いなのだ。(p16)
「オリジナリティ」「自分らしさ」を見つけたければ,まず人の真似をすることだ。(中略)そっくりそのままなぞったつもりでも,まったく同じにはできないはずだ。(中略)そのちょっとした違い,それこそがあなたの“個性”なのだ。(p17)
「見た目と中身が違う」っていう言い方するでしょ。だけども,それは嘘だと思うのね。っていうか,表面だけが本当だと思うのね。(p23)
服装に無頓着な人は,どこかで社会とのつながりを拒否したいと考えている。(p24)
持って生まれた気質はそう簡単に変わるものではないが,考え方にちょっとしたアクセントをつければ,よりよい方向に向けることはできるものだ。そのキーワードは「バカなことを考える」である。(p36)
グッドアイデアというものの多くは,まだ誰も実行したことのないアイデアのこと。つまり,その時点では風変わりであって当たり前なのだ。それを「そんなもの聞いたこともない」と退けていては,いつまでたってもいいアイデアは生み出せない。(p37)
完璧主義という言葉は真面目さの代名詞のようにも使われるが,現実のビジネスシーンでは,好結果をもたらさないことが少なくない。(p39)
先にあいさつをするかどうかで,明るい人か暗い人か,好感を持たれるかどうかの印象は,まず分かれる。心理的に言ってあいさつは先手必勝なのである。(p46)
自己愛型,あるいは境界型のパーソナリティの偏りを抱えている人に多いが,そういう人は,アドバイスの内容が何であれ,「ネガティブなことを言われた」ことを「否定された」「攻撃された」と受け止めるのである。(p50)
忠告やアドバイスというのは,親しい間柄でもそうそうできるものではない。相手を怒らせたり,気まずくなるリスクを覚悟のうえで,相手はあえて指摘してくれているのだ。(p50)
大人が子供に言って聞かせるような「みんな仲よく」という“方針”は,大人社会ではとても貫けるものではない。「嫌いな人は嫌い」,それでいいのだ。(p55)
たとえ組織内にいたとしても,「デキる人」というのは,たぶんに一匹狼的な要素を持っているものである。それは,人づき合いが悪いとか,孤独を愛するなどという情緒的なものではなく,ひとりで考え,行動し,結果を出すことができるという意味だ。すなわち,組織の流儀ではなく,自分流の仕事の方法論を持っている人である。(p59)
他人に甘えることを恥ずかしいと思い込むのは,かたくなすぎる生き方だ。実際問題,人に上手に甘えられる人は,他人の好意を引き出し,協力を仰ぐのが得意な人といえる。(p64)
上手に甘えるには,相手の自尊心を思い切りくすぐることだ。具体的にいえば,「教えてください」「助けてください」という言葉を使うといい。(p65)
大きな仕事をしようとすれば,決断を下す場面で,敵をつくる覚悟を必要とするものだ。「敵もつくれないヤツは仕事もできない」というのは,まんざら嘘ではない。(p66)
自分自身の怠け心と戦うためにも,敵は必要なのだ。(p67)
未処理の「to do list」をたくさん抱えるよりも,すぐに処理済みにしてしまって,さっさと次の段階に駒を進める。何事も即時処理がいちばん効率的なのだ。(p75)
ニンジンは「手の届きそうなところ」に置くからこそ効果的で,はるか彼方にあっても馬は走ってくれない(p77)
コピーライターの仲畑貴志氏は,キャッチコピーを書くときに,まず「早い話が○○○○」と書いてみるという。「早い話が・・・・・・」-心の中でいつもそうつぶやいていれば,必ずやコミュニケーションの達人になれるはずである。(p82)
適度な自信を心中に抱いていれば,適度な「自己有能感」に満たされるはずである。「自分はできる」「自分ががんばれば,何事かを変えられる」という自信は,自然にやる気へとつながっていく。(p84)
自分ひとりの力には限界があることをよく認識して,人の協力を上手に得られる人のほうが,はるかに“頭のいい人”といっていい。(p90)
考え込んでいる間,あるいはそう装っている間は,実際に行動しなくてもすむ。その間,プレッシャーや不安,恐れから,身をかわすことができる。(中略)スポーツ選手がトレーニング方法について頭をめぐらせるばかりで,実際に体を動かして練習していないようなものだ。(p92)
相手にいらぬ敵意を植えつければ,いつどんなしっぺ返しを食らわぬとも限らない。さらにそういう下手な勝ち方は,周りの人々の心まで冷え冷えとさせてしまう。(中略)仮に,それまでは非礼を受けた側への同情心があったとしても,怒りを爆発させる姿を見れば,たちまちその同情心は消えてしまう。(p98)
チャーチルは,「人間から性的感情を取り除いたら,何も残らない」とまで言い切っている。口説いてみたり,わざとそ知らぬフリをしてみたり,騙し騙されの男と女の奇々怪々な関係。それを面倒くさがって避けるようでは,仕事での成功もおぼつかないといえるのだろう(p103)
「これはおかしい」「あれもいかがなものか」と,いつまでもいまいましい気持ちを抱え込むのは,おおむね“笑い欠乏症”にかかっているときである。(中略)逆にいえば,成功を願うなら,よく笑い,よく人を笑わせる人になることだ。(p104)
ユーモアの真骨頂は「自分自身を笑える能力」である。たとえば,失敗感に打ちのめされているときは,深刻になって,なかなか笑えないものだ。だが,それを乗り越えたあとになってみれば,「あんなバカなことをして」と笑えるようになるものだ。(p105)
仕事でミスをしたときは,「仕事が立て込んでいて忙しかったから」-知らず知らずのうちに,自分の責任を回避し,他者や環境に理由を求めようとするのである。だが,自分を守ろうとして,人のせいにしたり,環境のせいにしても,失敗を乗り越えて成長することはできない。(p108)
「不満」が現状打破のカギになると気づけば,たとえそれが上司や部下への小さな不満であっても,単なる酔っぱらいの愚痴で終わることはなくなるはずだ。具体的な対策がもし見つかれば,マネジメントのスペシャリストにだってなれるのだから。(p114)
そんな無価値な禁欲生活を送るよりは,(中略)仕事(勉強)と遊びの両立を図ったほうがいい。(中略)「遊ぶ人ほど,仕事がよくできる」というのは,ビジネスをめぐる不変の法則といっていい。(p119)
“常識”や“良識”は,社会生活を送るために必要なものだが,あまりにそれに縛られると,生産的な発想はできなくなってしまう。最初に気をつけたいのは,自分自身の言動に縛られることである。(中略)自分らしさというものは,意識しないでも自然に表れるものであり,むしろ,そのときに思ったとおりに素直に考えたほうが,「自分らしさ」は発揮されると,私は信じている。(p123)
二兎を追うものは一兎をも得ずは,すでに昔の話。いまや,一石二鳥を狙うのが,成功への近道といえる。(p132)
私たちは,当てにならない記憶力をどのようにカバーすればいいのか。私は,原始的ではあっても「頻繁にメモをとる」,それ以外の方法はないと思う。(p138)
持って生まれた性格には,変わらない部分もある。たとえば「気が小さい」と言われる人は,子供のときから気が小さかった,というケースが多い。(p145)
クエ博士は,自己暗示の効果を上げるコツとして,「マイナス言葉の省略」を挙げている。たとえば,「痛みは消える,痛みは消える,痛みは消える」と繰り返し唱えるより,「痛み」という言葉をなるべく使わずに,「痛みは消える,消える,消える・・・・・・」と唱えたほうが,効果が上がるというのだ。(p156)
「男は黙ってサッポロビール」というコピーがあったように,かつては男は口数の少ないことが美徳とされたものだ。しかし,そんな時代でも,口数の少ない人はなにかと損をしていたものである。(p158)
プラス情報は,相手に言うと喜ばれ,喜ぶ顔を見るとこちらもうれしいという心理が働くので,もともと伝わりやすい。(p175)
たとえ論理的説明であっても,大勢の前で上司に赤恥をかかせるのは,情のない話である。情を欠いては,いくら論理的でも人を動かすことはできない。(p179)
安定とマンネリは紙一重である。機械的な刺激に乏しい日常から,斬新なアイデアが生まれる確率はきわめて低い。(中略)人間というものは,だいたい保守的にできているから,ある「型」を見つけて,その方法が安全だと気づくと,そこで思考停止する傾向が強い。(中略)重要なことは,ときには「自分の型を壊す」こと(p183)
デキるビジネスマンは,総じて読書家とみてまちがいない。(p194)
自宅まで届けてくれる通販は便利ではあるが,“デキる”といわれている人物なら,おそらく時間をやりくりしてでも,書店へ足を運んでいるはずだ。書店は時代の空気を読むのに,最適の場所だからである。(p195)
メニュー選びに限らず,“小さな決断”を棚上げし,人にまかせるような人には,重要場面でも決断を下せないタイプが多い。そして,その傾向は決断を避けるたびに深まっていく。(p198)
何かの着想を得たいとき,一時間机に向かって何も浮かばないのであれば,二時間,三時間粘ったところで,結果はほぼ見えている。そんなときは,一五分でも外に出てみて,脳をリフレッシュさせたほうが,望外のアイデアに恵まれる確率はよほど高まるはずである。(p203)
前向きになれないから落ち込んでいる人に,「前向きになれ」と言っても,それは何の解決策にもなっていない。むしろ,そんなときは“後ろ向き”というか,過去をふりかえったほうが,自信回復のきっかけになることがある。「過去の自分に自信をもらう」といってもいい。(p205)
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