著者 森 博嗣
発行所 講談社
発行年月日 2009.07.28
価格(税別) 3,000円
● ディープ。ここまで手間暇かけるか。国内だけでも数人はいるらしいのだ。敷地にレールを敷いて,実際に走る機関車(蒸気だったりバッテリーだったり)を走らせている人が。キットもあるが,自作もするのだ。
これに比べりゃ(比べる必要はないのだが),大方の人は趣味に対して入れ込みが足りない。入れ込もうと思って入れ込むものじゃないんだろうけど。気がついたら入れ込んでいた,というふうであるものだろうけど。
● 以下にいくつか転載。
庭園鉄道を始めた当初から,これを「本にしよう」と考えていました。この趣味を始めた頃,関連の情報を求めて雑誌や書籍を探したのですが,皆無といって良いほど見当たらなかったからです。(p6)
趣味というのは本来無駄なものではないでしょうか。それどころか,人間が生きていることさえ,目的は判然としません。日々が楽しく過ごせれば,それが有意義な人生になるでしょう。つまり,生きていることは,仕事ではなく,趣味なのです。(p7)
とても自分にはできないな,と思っていたものが,やってみるとできてしまうのです。苦労して失敗を重ねることもあれば,あっさりと上手くいくこともあります。工作の楽しさは,そこにあるのです。換言すれば,「自分の変化」を知ること。(p47)
結局,作ること,学ぶことの効用は生きていくうえでの「前向きさ」だと思います。きっと,前を向いている自分を体験できるから,楽しく感じるのでしょう。(p47)
この趣味を理解してもらおう,同好の士を少しでも増やそう,というのは,業界的な発想であって,趣味人の思考ではありません。自分の楽しみを持っている人は,他人の楽しみも基本的に理解しているものなのです。(p113)
どんな条件であっても,自分の目指すものを実現するために今できることがあります。これは間違いのないことです。(p189)
その楽しさは,その人のものです。使ったお金や時間にも無関係です。たとえば,子供を見ればそれがわかります。資金もないし,技術もないのに,どんなふうにしてでも自分の時間を精一杯楽しんでいます。(中略)もともと素直に行動すれば,きっと誰もが子供のように遊べるはずなのです。(p189)
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