著者 有限会社養老研究所
関由香(写真)
発行所 講談社文庫
発行年月日 2013.02.15
価格(税別) 838円
● 養老家の飼い猫“まる”を関由香さんが撮影した写真を1冊にまとめたもの。養老さんのエッセイ付き。
これはアレですよ,猫好きじゃないと撮れない写真だ。それくらいのことは,ぼくにでもわかる。っていうか,ぼくにでもわかるくらいに,猫好きじゃないと撮れない写真なのだ。
● どうでもいいことをひとつ。養老孟司さんが使っているパソコンはレッツノートだ。
● 養老さんのエッセイからいくつか転載。
動物はいい。気持ちが休まる。なによりいいのは,人間世界の価値観が通用しないことである。(p112)
人間はもちろんだが,動物の習性を即断してはいけない。生きものなら,たとえ虫だって,やることはなかなか複雑なのである。(p119)
動物は反応だけで生きているわけじゃない。「自分で動く」ものである。でも現代社会では,タバコですら吸いにくいのだから,「自分でなにかをする」機会がきわめて限定されてしまう。(中略)「自分から出す」のは,ほとんど言葉しかないから,クレーマーが増えるのと違うか。(p121)
ネコのような孤独性の動物をペットにするために,人間はおそらく「ネコの幼児性を延長する」という選択をしてきたのだと思う。(中略)だから歳をとると,だんだん可愛くなくなる。どうしたって,幼児性が消えていくからである。(p122)
欧米人は自立を尊ぶ。だから可愛くない。(中略)その代わり,状況に上手に反応できる。相手に依存しないからである。(中略)だから欧米人は世界のどこにでも広がる。状況がちゃんと判断できて,適当な行動を自分で選択できるなら,どこに行こうが,心配はない。その代わり可愛くないのである。(p123)
ここまで利口な動物はサルだけだと思う。ただし,ここまで利口だと,死なれるとたまらない。(中略)やっぱりペットはかなりバカでないと,ペットにはならない。本当の家族になってしまうのである。(p125)

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