著者 堀江貴文
発行所 宝島社新書
発行年月日 2009.07.24
価格(税別) 648円
● これはね,貧困問題に取り組んでいる福祉系の人たちにまず読んでもらいたいと思った。ぶっちゃけ,福祉系の人って,福祉の世界に引きこもって思考を停止しているっていう印象があるんで。
発行は2009年。リーマンで揺れていた時期。でも,今読んでも,古くなっているとは思わない。
● 以下にいくつか転載。
そういう人たちをも救うシステムをつくるべきだとは思う。ただ,それは現状の経済が悪いからっていう問題ではないよねってことです。そういう人は経済が豊かなときもみんなの視界の外にいる可能性が高い。全体の経済の問題と一部の国民の生活ぶりとを一緒くたにして語ってしまうと,論点が見えなくなると思うんですよ。(中略)自分で殻に閉じこもっちゃったりするタイプの人っていうのは,どちらかっていうと個別の病理の類い,範疇に含まれることで,別の対策が必要になってくると思うんです。(p12)
お金は最初から「しるし」である以上でも以下でもないわけです。経済活動の信用を媒介する道具であって,そもそもがバーチャルなものなのです。(中略)価値を交換する際の媒介は,デジタル信号でも何ら問題はない。(p21)
信用は,結論的にいえば,自分なりの成功体験にもとづく自信からしか生まれません。(中略)僕は,これを「自分の心の中に打ち出の小槌をもつ」と言っています。(p23)
その信用っていうのはコミュニケーションによって成り立つんですよ。(中略)居候してる人,何人もいますよ,結構いるんですよ。金持ちの人の家には,だいたい一人ぐらいは住んでる,いまいことやってる奴が。で,うまいもん食ってね。だから,すごいなぁって思いますよね,その違いが。コミュニケーション能力一つで,これだけ変わるんだって。(p40)
貯めろ貯めろっていう人たちって,お金というものそのものに執着しているだけなんじゃないか(p47)
バブルとその崩壊との間隔は,次第に短期化していくとは思います。インターネットの普及が大きいと思っていますが,どんどんどんどん,ノウハウやシステムは洗練されていっています。(中略)そうなると,バブルである期間の幅がものすごく短くなって,ショートタームでボラタリティ(価格変動)が繰り返されるようになるでしょう。(中略)みんなもそれをまた学習してきて,「あ,バブルって弾けたけど,また来るな」っていうふうに,気づいたり備えたりするんじゃないか。(p54)
信用をつくる一番の方法は,投資をすることです。(中略)投資も,何もお金だけのことを指すのではありません。時間であることもあるでしょうし,じぶんができることをやってあげる=能力を投資するというケースもあり得るでしょう。重要なのは,リスクを取って自ら動く,ということです。(p59)
ただ,分割で買った方がいいものもあります。たとえば車はローンで買うべきです,いまは絶対。(p73)
クレジットカードといえば,使い過ぎによる多重債務ばかりがクローズアップされてしまう。(中略)でも,視線がそこだけに集中してしまうのは,かえって生活を豊かでないものにしてしまいます。支払いを最大で一ヵ月弱先延ばしできるというのは,クレジットカードが持つ機能の一つであり,使い過ぎの多重債務はクレジットカードを使う「人」の問題です。(p83)
そもそも,企業社会で資本主義社会なのだから,企業とか経済に興味を持たないというのは考え方がおかしい。本当は,興味を持って当たり前なんです。ただ,そのきっかけが教育の現場に非常に少ない。(p87)
額に汗をかいて働くというのはわかりやすいけれども,実際の労働は,頭の中で汗をかいたり背中に冷や汗をかいたり,いろいろな汗のかきかたがあるわけです。(p88)
それぞれの人生においては,とりわけお金を巡る状況においては,必ずしも平等ではない。それが現実なのです。この現実を過不足なく直視できない人が,考えることを止めて逃避してしまう。現実と誰かに刷り込まれた理想とのダブルスタンダードを自分のなかに共存させておいておかしいと思わない。これが思い込みの始まり,短絡的な理解というものの正体なのではないでしょうか。思い込みに従うのは楽で簡単です。しかし,思い込みにはまってしまっているうちは,いつまで経っても悪賢い人たち,あざとい人たちによって不当に搾取され続けてしまいます。(p90)
間に銀行が入ることに何のメリットがあるのか,と。普通の人々には審査機能がないっていうだろうけど,銀行にだって実質的には審査機能なんかないでしょうって。(p98)
ルールを恣意的に運用するなんて簡単ですよ。情報格差を利用してるんです。(p104)
ネット上にあるウソはもちろん,現実世界に何食わぬ顔で存在するウソにしても,ウソを見抜くためには「ウソであると論理的に導きさせる力」が必要です。この「ウソをウソであると論理的に導きさせる力」こそが,インターネット時代の基本的な「リテラシー」なのではないでしょうか。リテラシーは,自分が獲得してきた知識や体験,それにコミュニケーション力の総体だと思います。(p114)
個人投資家はポートフォリオを組めません。手元の資金が小さいから,何百円という少額にならないとできないのです。(中略)個人投資家がポートフォリオを汲み出すと,今度は投資信託といった金融商品が成り立たなくなる。(p120)
そこの経理をやっているのが,昔,うちの会社で経理をやっていた人なんですね。その人は,東大の僕よりも少し先輩なんですけど,結構,頭のいい人なんです。記憶力が抜群にいい。でも,その人は頭いいんですけど,起業はできないんですね。一方で,やっと高校を卒業したみたいな,大して頭も良くない彼は社長になって,その先輩を使ってるんですよ。なんだろう,マインドとかやる気とかがすごいんじゃないかな,彼は。だから,そういう人が会社をつくっちゃうんですよ。ああ,理屈じゃないんだなと思いますよ。だから,それはもうモチベーションの持たせ方,やらせ方の問題なんじゃないか。誰だってできるよ,という雰囲気をつくってあげるべきでしょう?(p133)
僕に言わせれば,格差や不況は起こるべくして起こっている。そうさせるバイアスがかかっている,と言い換えてもいいかもしれません。「一番の原因は?」と問われたなら,既得権益にしがみついている人が多いから,としか言いようがない。自分,あるいは自分の身内というミクロなメリットを優先するあまり,全体の利益を損ねている人たちが想像以上にいるとしか思えないのです。(p148)
ロケット自体は秋葉原で売っている部品を使って,国内にある技術力でつくれば,そう難しくなくできてしまいます。なのに,なぜ失敗続きなのか。それは,わざわざコントロールの難しい燃料を使い,ハードルの高いエンジンの製作を目指しているからです。(中略)目的が「汎用性のある商品を開発し,ビジネスとして成立させて,多くの人に夢やサプライズを与える」ということであれば,まずは利用可能なものを使い,ビジネスを文字どおり「テイク・オフ」させることが重要です。ところが,日本のロケット開発では,扱いや開発の難しいエンジンを自力で開発するという呪縛にとらわれてしまっている。(p150)
飲食店はやはり水商売なので,あまりお勧めしません。誰にでもできる商売というのは,そのぶん競争も激しい。他人にない自分の特徴=情報格差が一つでもあったら,それをうまく利用することを考えたほうがいい。(p153)
僕がよく見ているサイトに,全国の滑走路を網羅しているものがあります。(中略)もしアフィリエイトやネット通販をやれば,見ている人たちにとっては,超便利なサイトになるだろうと思うのです。そう,管理者自身も趣味や興味で始めたサイト(ブログ)が,ユーザーにとってはまたとない,スーパー・コンビニエントな「ポータルサイト」になるのです。(p156)
ビジネスの基本は,みな同じです。少し真剣に考えたり,勉強したり,問題意識をもちながらネットを巡回していれば,そんな不安を抱く間もなくあなたのなかにアイデアが生まれるでしょう。あとは,おかしなところからお金を借りずに,思い切って行動することが肝心です。(p158)
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