著者 成毛 眞
発行所 朝新聞出版
発行年月日 2014.09.30
価格(税別) 1,300円
● 4年前に出版されたもの。ので,この中から投資先を選ぼうとするなら,追跡調査が必要。この本から学ぶべきは目の付け方であって,100%本書に倚りかかるのはそもそも不可。
スルガ銀行も推奨されている。故意に隠されたものを見破るのは難しい。いよいよにならないと表に出てこない。東芝しかり。
● 以下にいくつか転載。
2008年に韓国銀行がおもしろい報告書を発表している。タイトルは『日本企業の長寿要因および示唆点』だ。それによると,世界には創業200年以上の企業が41カ国に5586社あり,実にその半分以上に当たる3146社が日本に集中しているというのだ。(中略)韓国には創業200年以上の企業は1社もなく,創業100年まで条件を緩めてみても2社に限られる。同様に,中国にも老舗企業はほとんど存在しない。(中略)日本は職人をリスペクトするくにだ。(中略)優れたものを作る技術が強化され尊ばれるからこそ,職人はその仕事を選び,続けるのだ。ドイツにも長寿企業が多いのも理由は同じで,マイスター制度によって,技術が伝承される仕組みがあるからだ。(p90)
東京をコンパクトにまとめたミニ東京=イオンがあるおかげで,マイルドヤンキーはそういった生活ができる。一方で,模倣された側の東京には,ほとんどイオンはない。(中略)これは興味深い現象を引き起こしている。(中略)イオンは東京のコピーのはずが,オリジナリティを持っている。これが,地方に新しい経済圏と文化をもたらしているのだ。(p133)
少子高齢化は確かに日本の課題かもしれない。しかし,過去を振り返ると,日本の企業は課題を解決し,困難を克服することで伸びてきた。たとえばオイルショックのときには,できるだけ石油を使わない省資源,省エネルギー,リサイクルなどの技術が急伸した。これらがその後,世界がエコに注目したときに重宝されるようになった。それと同じことが,少子高齢化先進国の日本で再び起こる可能性がある。(p147)
私は常々,社会人にとっての最終学歴は最初に入った会社名だと考えています。いい会社ほど,誰がどこの大学を出ているかを重視しなくなっているという印象を受けます。(p181)
単に資格を多く持っているからといって転職が有利になることはありません。今まで一度もありませんでした。(武元康明 p182)
武元 歴史ある土地の歴史ある企業には,MBA取得者というだけで門前払いというところもあります。 成毛 言葉を選ばずにいうと「うざい」ということでしょうね。(p183)
中小企業でも,倒産後もオーナーと一緒に残務整理をし,部下を転職させた人が,そろそろ自分もというケースは,すぐに再就職先が決まります。(武元 p184)
あまり簡単に転職を考えないほうがいいと思います。会社がなくなってしまうのであれば仕方ありませんが,新しい企業カルチャーに対してキャッチアップするのははたから見るよりもずっと大変なことですから。(武元 p185)
日本の場合,ある企業でキャリアを築いたとしても,新たな環境ではそれは評価されないからです。選考の段階ではキャリアが評価されたとしても,転職したとたんにそれはリセットされてしまいます。(中略)ですから,キャリアがあっても,転職でステップアップできる人はごくわずかです。(武元 p185)
海外でも,製造業関係者は転職を繰り返さないですね。(中略)日本は製造業が多い国なので,仕事を変わらない国になっているのかもしれません。(p185)
かつては我々も,最初から決裁権者が出てきたほうが話が早いと思い込んでいました。権限がオーナーに一極集中されているような組織ですね。ところが場数を踏んでいくうちに,まずは担当窓口を通して話を詰め,商談の最後になって初めてトップが登場する企業のほうがいいと気が付きました。これは,組織としてしっかりした企業であることの証明です。(武元 p187)
成毛 有望な企業に共通している特徴はありますか。 武元 あります。何と言ってもスピード感と先行投資です。(中略)トライする前にある程度は机上でも考えますが,実際のところは,やってみないとわからないと知っています。やってみてダメだったら,修復,修正,改善して,次の手を打てばいいという感覚です。今うまくいっている企業の共通点は,これです。(p189)
ベンチャーキャピタルも同じです。千三つと言いますが,投資した企業のうち千に三つ,つまり0.3%しか成功しないのは仕方のないことです。その千に三つの企業の株価が1000倍になれば十分という認識です。プロでもそれぐらいの確率なのですから,個人が百発百中で的中させるのは難しいですね。(p190)
よくない企業を千知っていないと,優良企業を,三つと言わず一つでも発掘するのは難しいですね。(武元 p191)
市場変化に対応できなかった三洋電機やソニーのパソコン部門などに投資したり,就職したりしてはならない。人手不足に気づかずに人件費圧縮に明け暮れた「すき家」でアルバイトするのは無謀というものだ。(p193)
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