著者 松浦弥太郎
発行所 講談社
発行年月日 2014.11.27
価格(税別) 1,300円
● 引き続き,松浦さんのエッセイを読んでいく。何とかマネをしたいというのではなく,一服の清涼剤を服用するという感じ。
● 読書はそれでいいと思っている。1冊の本との出会いが自分を変えた的なことは,少年期を含めてもそうそうはないだろう。滅多にないことだから,あるとそれ自体が本になったりするのだ。
ましてや,大人が本で変われるなんて,ぼくには信じることができない。
● 以下にいくつか転載。
人間というのは言葉でいくらでも酔える動物です。それなりのスキンシップや,それなりの言葉や,態度による愛情表現はなくてはならないと思います。(p17)
一人で生きていけない人が,人と一緒に何かできるはずがありません。一人でいられない人が,二人でいられるはずもないのです。(p22)
ルールなんていらない。ルールだからやるのではなく,自ら気づいてやりたい。(p33)
偶然は,目的をもたない人に訪れない。(p52)
旅というと,「自由で何でもあり!」という雰囲気を感じてしまう人もいるかもしれませんが,その刹那が楽しいだけで,何も残らなかったりします。(中略)観光というのは飽きるもの。遊園地のアトラクションを順番にこなすように,つくられたお楽しみをクリアしていくだけ。(p53)
避けるべきは働くのが嫌いな男。働くのが嫌いな人は,他人に興味がありません。なぜなら働くというのは,社会のため,人のためになること。仕事とは,その先にいる人を喜ばせるために,自分を役立てることです。(p62)
友人の女性に「どういう男性がタイプですか?」と(中略)聞くと,「才能のある男性が好き」と即答しました。「何かひとつでいいから,私が絶対かなわないと思う才能のある人がいいな。私はそういう人を尊敬する」と話を続けました。(p68)
「この人にはかなわない」と痛烈に感じる瞬間。それは「相手は本気だ」と感じたときです。どんなことがあろうと,どんな場面であろうと,本気の人が勝ちます。(p74)
世の中は,二つのタイプに分かれます。量を欲しがる人と,質を求める人。人間関係ですらこれは同じです。(中略)人間関係において質を求めるなら,大切なのは個であることです。孤独というのは,人が生きていく絶対条件だと僕は考えています。(p76)
人にいばるすてきな大人を,僕は見たことがありません。(p82)
何でも知っているけれど,知らないふりをする。これぞ,ダンディズムに通じる男のあり方だと思います。(中略)自分が知っているつもりでも,実はたいして知らない。知っていても,さらに深いところがある。(p84)
個人的で小さなことにとらわれていると,大きなことはできない。自分のプライドなんて後まわし,最優先することじゃない。(p89)
家族からも仕事からも切り離された一人の人間として,やりたいことがある。これはなんとも素晴らしいことだし,野心がある人は個を保っているので,生活感がにじみ出てこないのではないでしょうか。(p99)
真面目なだけの男はつまらないものですが,真面目に欲が加わった男は人をひきつける魅力をもちます。なぜなら,欲というのは,命に直接つながった部分。おいしいもの,美しいもの,どきどきするものに欲を抱くのが人間です。(p102)
世の中のすべては,人を助け,人の役に立つことで成り立っています。(p108)
客である自分のほうから挨拶するのです。スーパーマーケットでもコンビニエンスストアでも,お店の人が言う前に「ありがとうございます」と頭を下げる。そうすると相手は和らぎ,自分は豊かになっていきます。(p118)
僕は一生懸命聞き,心から感動してしまいました。もともと僕は質問魔なのでどんどん質問し,面白ければ「面白い,面白い!」と手を叩いて笑うほど。やがてその紳士は,こうおっしゃいました。「君は聞き上手だから,嬉しくてどんどん話してしまうよ。みんな,仕事の指示は真剣に聞くけれど,普通の話をこんなに聞いてくれる人はいないからね」(p121)
人は,押されれば押されるほど押し返したくなります。「わかってほしい!」と勢いで詰め寄られると,逆に受け入れられなくなる心理があります。(p126)
女性にもてる男を観察すると,たいてい無口な人です。(p131)
背もたれがないスツールに座っていても背筋はぴしっと伸びており,カウンターに寄りかかってもいない。リラックスしているのに,行儀のいい子どものように,小さくちょこんと座っています。(p140)
自意識過剰でもなく,ナルシストでもなく,ごく普通のたしなみとして,男はもっと鏡を見るべきだと思っています。(中略)できれば見たくないものも,鏡は遠慮なく本当を映し出します。(p142)
仕事で失敗が多くても,絶対に休まない人は,それだけで信用されます。(p144)
上等な店での支払いの際,僕はカードを使いません。極上の食材は現金で仕入れるので,カードという“ツケ払い”は客ぶりとして不親切なのです。(p147)
普段の生活の中でも,耐えなければいけないことはたくさんありますが,我慢すればするほど,すてきな男に近づけるのではないでしょうか。(p150)
教養とは,日々を生き延びるための解決能力である。(p155)
一人でできる自分磨きなど,たかが知れていると僕は思います。(p156)
「外見はおしゃれをしているけれど中身は別にどうでもいい」というのは空疎な人ですし,「いろいろなことを学んで内面を磨いているから服装はどうでもいい」というのは無作法な人です。(p181)
人を愛するとは,どういうことでしょうか? 人を愛するとは,その人を生かすということです。(p195)
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