2017年7月27日木曜日

2017.07.27 茂木健一郎 『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかいかた』

書名 もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかいかた
著者 茂木健一郎
発行所 学研プラス
発行年月日 2016.05.03
価格(税別) 1,300円

● 茂木さんの一般書というか啓発書というか,だいぶ読んできた。どんどん出すから読んでも読んでもきりがない。
 茂木さんは言いたいことが次から次へと出てくるんだろうし,読者(ぼくもその一人であるわけだが)もそれを求めている。ので,出れば買ってしまう。

● このやり方っていうのは,中谷彰宏さんと同じですか。茂木さんの場合は,中谷さんほど意識的ではないと思うんだけど。
 まず,固定読者を作って,あとはその固定読者に向けて,次々に本を出す。出せば一定の販売数が見込めるから,出版社も安心だ。
 世相の移り変わりとともに,話材はいくらでも出てくるから,ネタが枯れることはない。

● けど,ぼくが言っちゃいけないんだけど,読者のレベルはあまり高くないと思われる。読んでもぜんぜん変われない人たち。変われないから次々に同じ本を読む。
 結局,出版に限らず,本であれ装飾品であれ文具であれ洋服であれ,愚かな大衆が市場を支えているんでしょうね。
 重ねて言うけど,こういうことを愚かな大衆のひとりであるぼくが言っちゃいけないんだよ。

● 以下にいくつか転載。
 なぜ,こうした“前向きな考え方”がニセモノ・ポジティブなのかをご説明しましょう。 なぜなら“前向きな考え方”とは,脳のエネルギーを消費して,行動するためのエネルギーを消耗させてしまいがちな存在だからです。(中略)脳活動のエネルギーには限りがあります。無理やりに前向きな考え方や,非現実的ともいえるほど壮大な空想で脳を高揚させてばかりいると,脳が本来やるべきことにつかうエネルギーがどんどんなくなっていくのです。(p4)
 行動に結びつくポジティブのキーワードは「身体性」です。(中略)「ポジティブでいよう」などと頭で考えなくても,仕事や勉強でまず先に体を動かす習慣を持っている人は,その時点で「ポジティブ脳」が発揮できているといえます。(p28)
 「私,考えすぎてしまって,動けないんです・・・・・・」 こんな悩みを持つ人も多いようですが,(中略)そういった人は「動かないで済ます」という目的のために,無理やりに考えてばかりいる,ということなのです。(p31)
 まずは動く。そうすると,あとからそこに気持ちがついてくる・・・・・・。どうか軽い気持ちでやってみてください。(p32)
 目の前のことを「良い」とも「悪い」ともとらえずに,ただ淡々と「今,ここ」に集中する。そしてそれを,毎日わずかでもいいから続ける。これって「あの人たちだからできたこと」でしょうか? 違いますよね。(p42)
 ネガティブな性格でさえも,「良い」「悪い」ではなく,“フラット”に考えるのが「ポジティブ脳」のつかい方です。(p43)
 退屈とはネガティブな感情だと思いますよね。けれどもこの退屈は,新しいものを欲している「好奇心に満ちた状態」ともとらえることができるわけです。(中略)人間は,ネガティブな感情が強いほど,ポジティブな感情も強くなる。それさえわかっていれば,この二つの反発をうまく利用することで,簡単に,大きな変化を起こすことができます。(p45)
 たとえ世間からは評価されなくても,「とにかく私はなぜかこれが気になる」,あるいは「なぜか好きで仕方がない」というものを見つけてください。それを掘り下げていけば,一生分楽しいことがある。そういう視点を見つけることが重要だといえます。(p63)
 現状でストレスを感じているという人は,ある意味では自分の中に基準が持てていない人ともいいかえることができるのです。特に,真面目で優等生の人ほど「自分の外」に基準がある場合が多いでしょう。(p69)
 ひとつの組織の中で出世しようと頑張ることは,脳のエネルギーの振り分け方が,一極集中となりすぎるのです。(p69)
 もともと,脳は「まったく別のこと」をすることでリラックスします。違う世界の人と知り合いになり,自分の環境を相対化することで,ちょっとした発想の転換が生まれやすくなります。(p77)
 一八〇度違う“逆方向”に向かうことは,結局は同じ軌道上ということになり,脳の気分転換にはあまり適していません。それよりも,九〇度,つまり直角に曲がって「別方向」へと向かったほうが,いい気分転換になるのです。(p79)
 意外なことに人間は,気分転換のために休憩を取ることが苦手です。(p79)
 コスプレとはもともと,アニメファンのみなさんが始めた活動で,マンガやアニメの登場人物にそっくりなコスチュームやメイクで「なりきり」を楽しむこと。(中略)それほどまでに「なりきり」は,人間の脳に快感を引き起こすアクションだということもできるでしょう。じつをいうと,これは「ごっこ遊び」,英語では「pretend play」と呼ばれ,脳の前頭葉の働きからいっても非常に高度な作業なのです。これを,プロとして仕事でやっているのが役者さんです。(p84)
 自分のキャラクターを「ひとつの人格でなければいけない」と考えてしまうからこそ,余計なストレスが発生してくるのです。(p87)
 あまり好きではないルーティンワークと,大好きなクリエイティブワークがあったとします。あなたなら,どちらを先に片付けますか? 私なら,雑用を中心としたルーティンワークをなるべう前倒しでやってから,大好きなクリエイティブワークにかかります。なぜなら,大好きなクリエイティブワークをやっているときに,好きではないルーティンワークのことが気になると,楽しくないからです。(p92)
 人々の印象に強烈に残っている人とはどんな人かと考えてみると,弱点と長所がとても素直に,あからさまに出ている人ではないでしょうか。(p96)
 今では世界中のほとんどすべての地域がインターネットでつながっていて,どんな情報でもあっという間に伝わってしまうような時代です。そこでは玉石混淆の情報が入り乱れていますが,単なる「普通の情報」は見向きもされません。企業でも個人でも,人にプラスの関心を与えるためには,オリジナリティ,つまり,どこがほかと違うのか,どこがほかより強いのかという情報でアピールする必要があります。(p101)
 オリジナリティとは,不要なものを捨て去ったあとに残る「自分の核」と考えてよいと思います。(中略)つまり,最も捨てなければいけないものとは「優等生になろうとしている自分」なのです。(p104)
 「自分らしさ」という個性を受け入れられるかどうかが,「ポジティブ脳」を手に入れるための大きなカギになってくるでしょう。(p121)
 ビジネスパーソンの方々を見ていると,どうも上司や他人の目を,必要以上に気にしながら仕事をしている人が多いように感じます。(中略) 組織や世間と自分がズレていて,自分が少数派だと感じたときは,それが「自分の個性を磨くチャンス」なのだ(p126)
 子どもはごく自然に,友だちの「すごいこと」に感動します。批判したり,ねたんだりすることはほとんどありません。(中略)ほめるという行為は,相手ばかりではなく自分の自尊心さえも高めてくれるのです。(p134)
 何かに対して,自分自身が真剣に努力しているときに,人の評価を気にするのはナンセンスであり,もったいないことではないでしょうか。なぜならそれは,その時点ですでに,自分が目の前のことに集中していない証拠だからです。(p138)
 自分が今どう思っているのか,そして本当はどのように行動すべきなのか。その冷静な見極めができるようになると,自分のやるべきことがどんどん明確化されていくはずです。そこに,「やる気」などはまったく必要ありません。やる気が必要だと感じてしまうのは,自分との対話をせずに,感情ばかりが空回りしている状態。つまり,自分の動きが止まっているときに発せられるネガティブな心理状態に過ぎないのです。(p169)
 いわゆる秀才と呼ばれる人たちは,頭がいい,賢い,お金持ちである,容姿がいいといった基準を捨てられず,結果としてそこから外れてしまったとき,とても苦しんでしまうのです。私たちは,そうした「正解」を捨てて,心の自由を持っておきたいものですね。そうすれば,どんな苦境におちいっても落ち込むことがありません。(p177)
 結果を求めないほうが,かえって「大きな結果」がついてくる。この事実を,必要以上に難しく考えることはないのです。ただリラックスして平然と「今,ここ」に集中する。それが「ポジティブ脳」のつかい方の基本なのです。(p183)
 その方が話す英語は,なまりが強すぎて英語が母国語の人でもわからないほどのものでした。けれどもその方は,そんなことはまったく気にせず,堂々と自分の夢や将来の計画を語り,それは堂々とスピーチをしていたのです。 彼はどうして,そんなふうに堂々とふるまうことができたのでしょうか。もちろん国民性もあったと思いますが,私はそれ以上に「彼にはどうしても伝えたいことがあった」からだと思うのです。ところが,日本人にはそのような「伝えたいことに対する情熱」が少しばかり欠けているような気がしています。(p195)

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